雑話もしくは蛇足(シナリオライター 仲)

2019.10.24

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』メインシナリオ担当 仲です。

8月末の発売からあっという間に月日が流れましたので、再度登場させていただきました。まだまだこれから遊んでくださる方もいらっしゃると思いますので、今回は主人公たちを取り巻くさまざまな設定についての小ネタを書いてみようと思います。

 
– 隊員[たい・いん]

まずはネウロン隊員について。
メインシナリオ以外に各種ケースにおいても彼らに関わることがあるかと思いますが、お気に入りの隊員は居ますか?

私は、オカルト好きの不思議さんシズと何をやるにもダルそうなケイ、二人の眼鏡さんが気に入っています。

ここではそんな彼らの設定をどのように考えていったのかを書いてみます。……といっても私のキャラクターの作り方はとてもシンプルで、性格や話し方のイメージを「一言」にする、というものです。

「インテリ」「虚弱」「元気が取り柄」「動物好き」「チャラい」などなど。最終的にはディレクター、アーティストと話す中で変更も入るのですが、ベースは変わっていません。
当時の資料を見直してみると、先に挙げたシズは「オカルト好き」で最後まで変わらず、ケイは「アイテムマニア」とあり、キャラクターの役割としてはそのままに、実装された喋り方やモーションを見て、後から特徴をつけていった形です。

名前についても特にモデルはなく、出来上がったイメージに合わせてつけていきました。街の人たちのほぼ全てに名前を付ける必要があったため、名前の候補はかなりの量をリストアップしており、そこから選んだりもしています。

また実は2名ほど、開発スタッフから名前をもらったキャラクターがいます。誰とは書きませんが、クレジットと見比べていただくと分かるはずです。
クレジットはFile01のゲーム中にも見ることができるので、本体のスクショ&動画撮影機能を駆使すれば確認できるのですが、バイク運転中なのでそれどころではないかも知れません……無理な場合は頑張ってクリアしてください。

ちなみにバイクですが……個人的に『マッハライダー』のオマージュだと信じています。機銃が据え付けられたバイクに、やられた際の爆発……きっと間違いありません。

……話が逸れました。隊員の話題に戻します。

隊員達は原則ペアという設定があったのですが、全員がレギオンを持っているという設定ではなくなったため、二人一組程度では力不足ということもあり、原則ペアの設定もなくなってしまいました。
ですがその名残として、ゲーム中の会話からもわかるようにレオナとジュリアが一緒に住んでいたり、サラのように普段「…………」と三点リーダーのみで話し、ジョイを通じてでないと意思疎通が難しい人がいたり、ミツルのようにパートナーキャラについて悩んでいる人もいたりします。

そういえばサラは本編中一度だけ、一言だけ喋ることがあるのですが気づきましたか?

 
– 饒舌[じょう・ぜつ]

次は人気キャラクター? 喋る自動販売機こと『ベンダー3号』について。

警察署にいる「ノーマル」以外に、「おどおど」「朗らか」「ロボ」「ツンツン」「ネクラ」「クール」、それにアストラル界に引き込まれたベンダー……と、いろんな性格のベンダーさんが存在するのですが、実はこんなに種類ができるなんて想定していませんでした。

喋る自販機を置く、ということは開発当初から揺ぎなく決めていたのですが、それも警察署の中にいるベンダー3号と、廃棄されたものがハーミットたちに拾われて改造されたベンダー0号の2種類のみのはずでした。

それが最終的にはいろんな人の頑張りによって、ベンダー3号のバリエーションが7種類も追加されることに……ましてやアストラル界にまで設置されるというのは全くの想定外でした。

数が数だったので、ボイス付きの台詞を短くするなどの修正もしていたのですが、後から「折角のフェイシャルが全然再生されない」と怒られ、ボイス収録の台本締め切り直前に全て再修正したのも今となっては良い思い出です……

ゲーム中ではロケーションごとに違った性格のベンダーが置かれているので、探して話しかけてみてください。

ベンダーに限ったことではありませんが、音声付きの台詞については、音声の言語設定を切り替えることで、いつもとは違った印象も楽しめるのではないかと思いますので、是非試していただければと思います。

 
– 双子[ふた・ご]

アキラと主人公が当初は双子ではなかった、という話を田浦ディレクターが桂先生との対談でしていましたが、その当時は「オリーヴ」と「ブレンダ」が双子でした。

その後、アキラと主人公が双子という設定になったときに、警察内の同じ部署という限られた関係の中に双子がたくさんいるのもどうだろうと思い、二人には他人になってもらいました。ですが、仲が良いのは今も変わっておりません。

 
– 認証[にん・しょう]

File6で確認できる「業務報告」の中に、閲覧のためパスコードの入力が必要なものが3つほど存在しています。
この活動記録は全てマックスのものです。
仮にも2児の父であるマックスが使いそうな4桁の数字と言えば……

 
– 些末[さ・まつ]

本作の舞台設定は、かなり近い未来を想定しています。
ネウロンの最年長者であるヨゼフは、アイリスで覗いてみてもらえばわかりますが、実は我々の生きる現代で既に生まれていることになっています。

 
最後に。


とあるタイミングで、イージス研究所にて目撃できます。
なお彼を見つけても何もありません、悪しからず……

最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はここまでです。




naka仲 晃照 Akiteru Naka
2011年にプラチナゲームズに入社。ゲームデザイナーとして『MAX ANARCHY』、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』、『BAYONETTA 2』、『スターフォックス ゼロ』などで、主にUIやテキスト編集・管理を担当。現在は、『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』でメインシナリオおよびサブシナリオ監修に携わった。

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『ASTRAL CHAIN』を国際化しよう! (ローカライズリード ジョン)

2019.10.17

はじめまして!『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』のローカライズ担当、ジョン・ニールと申します。
2015年にプラチナゲームズに入社してからローカライザーとしていろいろなタイトルに関わってきましたが、『ASTRAL CHAIN』では初めてローカライズリードを務めさせていただきました。

早速ですが、“ローカライズ担当”とは「翻訳者」ということでしょうか? もちろんシナリオやメニューなどの翻訳作業が仕事の大部分ですが、それだけではありません。プラチナゲームズでは、必要に応じて社内のローカライズチームが開発チームの他のメンバーと直接やり取りをします。その目的は“開発スタッフのビジョンを世界中のユーザーに正確に伝える”ために必要なことだからです。

今回は、ゲーム中の“とある人気キャラクター”を一例としてローカライズ過程の一部を紹介させていただきます!

 
 

世界のラッピーくん

『ASTRAL CHAIN』の発売日からしばらくの間、僕はネット上で海外のユーザーの感想を追っていました。その感想を日本の開発チームと共有できるようにまとめていると、1つの大きなポイントに気づきました:どの国でも、どの言語でも、ラッピーが大人気!
シナリオ全体から言えば、ネウロンのマスコットであるこの愉快なゆるキャラは比較的脇役なのですが、それでも彼は本作の遊び心の典型だと言っても過言ではないでしょう。

もちろん、日本人の方はラッピーのようなゆるキャラは見慣れていますね。(ちなみに僕の好きなゆるキャラは、僕のかつての住まい滋賀県彦根市の「ひこにゃん」です。)

さすがアーク警察庁、ラッピーグッズも発売しています。

しかしゆるキャラを見慣れていない海外の方の観点から見ると、会社や街のシンボルが可愛いキャラだと、ちょっと違和感があります。まして警察のそれがゆるキャラだと、なおさら変に思われるはずです! ローカライズを行っていた当時、僕はそう考えました。

でも日本のマスコット文化を知らない海外ユーザーの混乱を避けるためだけにラッピーのデザインを根本的に変更するのは非常にもったいない。ローカライズから見た問題点は、「どうすればラッピーのユーモアや魅力を守りつつ国際化できるか」でした。

日本語版のボイスでは、ネウロンの庶務担当のマリーは裏声で「~だっぴー」という語尾をつけることでラッピーになりきります。

ラッピーの日本語ボイス:その1

ラッピーの日本語ボイス:その2

こういった特徴的な語尾を付ける手法は日本のアニメやゲームなどでよく用いられますが、同じような語尾を英文でも使おうとしたらかなり不自然になってしまいます! このラッピーっぽさを英語版でも正しく伝えるために、他の方法を検討する必要がありました。
その結果、ラッピーを他のキャラクターよりもかなり元気に喋るようにしました。更にそれだけでも物足りなさを感じ、警察犬という設定を踏まえて主人公をPartner(相棒)と呼ぶ癖も付けました。

そしてセリフに犬のダジャレを散りばめました。
上記の画像のセリフを直訳すると、「ブレンダさんはもしかして、ボクのこと何かの実験に……いやだ、僕は実験用のネズミ(lab rat)じゃなくて、ラブラドール(labrador)だよ!」

ラッピーの英語ボイスに関しては、「マリーと同じ声だと分かるけれど、マリーの通常の声に似すぎない」というのが最重要ポイントでした。マリーとラッピーの英語声優(カサンドラ・リー・モリスさん)にはラッピーであることを隠しきれない演技が下手なマリーを演じてもらいました。これはかなりの難易度だったと思います!

英語圏の人は英語版ラッピーの声を聞くとアメリカ南部の訛りだと思うはずなのですが、英語の台本では特に訛りは指定していませんでした。ボイス収録の際に声優のモリスさんがいろいろな喋り方で演じてみてくださり、最終的にアメリカ南部の訛りに決まりました。大当たりっぴー!

ラッピーの英語版の声と日本語版の声とを聞き比べていただけるように、先ほどのボイスの英語版も紹介しましょう!

 
「試しにちょっとやってみるっぴ?」

“So whaddya say, partner? Ready to learn a few new tricks?”

 
「じゃ、ボクは行くっぴ。またあとで連絡するから、トレーニング頑張るっぴよ!」

“Welp, ol’ Lappy’ll be back in a jiff, partner! Enjoy your training!”

 
いかがでしょうか? ラッピーを再現するアプローチは各言語によってかなり異なりますが、キャラクターは変わりません。フレンドリーで元気、熱心で憎めない、そして少しだけウザい。どの言語でも、それはラッピー!

ローカライズ担当としては当初、ラッピーのキャラクターは日本とは違って海外からは不自然な設定と思われる懸念もありましたが、そんな不安をよそに世界中のユーザーから愛される結果となり、大変嬉しく思います!

 
 

国際的な町並み

おまけにもう一点! ここまで主に英語版だけに関して書いてきましたが、『ASTRAL CHAIN』は合計10か国語でプレイ可能です! もちろんこれはひとえにアジアとヨーロッパの翻訳者の協力やコミュニケーションのお陰です。

設定メニューで選ばれた言語はアークの共通語になりますが、街の景観を見てみるとアーク国民はいろいろな言語を話すことが分かるはずです。どこを見ても日本語と英語のみならず、中国語、韓国語、ロシア語、アラビア語などの看板や広告が溢れる街並みとなっています。

この看板などに表示される英語テキストは、基本的にローカライズチームとエンバイロメントアーティストとの話し合いで決まりましたが、その他の言語の表現に関してはそれぞれのネイティブに手伝ってもらう必要がありました! しかしラッキーなことにプラチナゲームズには17か国(2019年9月時点)から来たスタッフがいるので、いくつかの言語は同じ開発フロアの中でネイティブにチェックしてもらうことができましたし、すぐに確認できなかった言語に関しても、有り難いことに任天堂ヨーロッパの翻訳者の方達からフィードバックと指導をいただけました。その結果、ゲーム内のアークに住む人々と、ゲームの外でゲームに関わった全開発スタッフの両方の国際的なルーツを表す見ごたえのある背景を作ることができました。





johnジョン・ニール John Neal
2015年にローカライザーとしてプラチナゲームズに入社。『NieR:Automata』、『TRANSFORMERS: Devastation』などではローカライズサポートを担当。『ASTRAL CHAIN』ではローカライズリードとしてシナリオ英訳や英語音声収録の監修などに携わった。

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真似したくなる!? アストラルUV芸(エンバイロメントアーティスト 亀岡)

2019.10.10

どうも!エンバイロメントアーティストの亀岡です。
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』では主にアストラル界やホログラムなどを作っていました。

本作の魅力の一つは舞台となる近未来都市です。
近未来都市といえばホログラム! そして、ホログラムといえばアニメーションしますよね!
それらを表現するために本作で(個人的に)多用したのが “UVアニメーション” というテクニックです。
UVアニメーションは古くからあるテクニックですが、使い方一つでさまざまな表現が可能です。
というわけで、今回はUVアニメーションを使った表現についてご紹介していきます!

 
・・・と、その前に「そもそもUVアニメーションって何やねん!」という方のために簡単な解説をしていきます。

 
■UVアニメーションとは?
まずUVについてです。
UVは2Dテクスチャを3Dモデルの面に貼り付けていくために3Dモデルを平面に展開したもののことです。

↑UV展開図  →テクスチャを貼り付けた3D立方体

UVアニメーションはこの展開図を動かすことによって、モデルの表面の2Dテクスチャをアニメーションさせる手法のことを言います。

(うごくぞ……!)

 
これでUVアニメーションについてご理解いただけたはず! ということで、これを本作にどのように使用したのかを、実際に簡単なものを作成してご説明します。

 
■ホログラムをつくってみよう!


こちらの動画はショッピングモールのホログラムです。
投影が乱れて像がぶれていますね。
実はこの像のぶれをUVアニメーションで制御しています。
上記のUVの説明で使用した立方体を、この動画のように「ぶれるホログラム」へと編集していきます。

 

  1. まず “ASTRAL” の文字が入ったテクスチャとは別に出たり消えたりするためのマスクテクスチャを画像の上半分に作成します。
    ↑マスクテクスチャ(白が表示されて黒が透過します)
    →マスクテクスチャを適用して一部透過した例
  2.  

  3. 上半分を白黒反転した画像を下半分に割り当てます。
  4.  

  5. 次に3Dモデルの作業に移り、先ほどのマスクテクスチャ用のUVmapを追加で作成します。
  6.  

  7. 作成したUVをZ方向に投影します。
    上:Z方向に投影したUV 下:Z方向投影のイメージ図
  8.  

  9. 投影したUVを左上の白い領域に縮小して配置します。
    ↑UVを左上の白い領域に配置したことによって3Dモデルの透過部分がなくなった。
  10.  

  11. 3Dモデルの位置をずらして複製します。ずらし具合は適当で大丈夫です。
  12.  

  13. 複製したモデルのUVを画像半分下に移動します。
    ↑複製したモデルのUVを下半分に移動したことによって完全に透明になった。
  14.  

  15. 両方のモデルのUVを選択して動かすと・・・

  16. ・・・片方のモデルが表示しているときにもう一つは消え、あたかも映像が乱れてぶれているかのようになります。

 
他にも本作でのUVアニメーション表現をいくつかご紹介します。

 
・ネウロンロゴ
UI担当者が作成したネウロン部隊のアニメーションロゴをUVアニメーションで再現しました。

 
・フレームホログラム
証拠を強調するフレームです。
出現や消失をUVアニメーションで表現しています。

 
・電飾風看板
明滅のパターンをUVアニメーションで表現しています。

 
・???
アストラル界にいる謎の物体、真相はぜひ本編でご確認ください!

 
ぜひ皆さんもUVアニメーションを活用してみてください!
それでは!




kameoka亀岡 昇平 Shohei Kameoka
『NieR:Automata』ではライティングアーティスト、『VANQUISH』、『MAX ANARCHY』、『ベヨネッタ2』ではエンバイロメントアーティストとして参加。背景に関する特殊な表現を担当することが多い。

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警察官になりきって事件を解決! 探索しがいのあるステージになった理由とは?(ゲームデザイナー 答島)

2019.10.03

こんにちは。
ゲームデザイナーの答島です。

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』という、「デュアルアクション」と銘打った完全新作のゲームを開発する中では、さまざまな迷走があり、いろいろな仕様変更があり、波乱もたくさんありました。その中でも個人的に印象的なのは、以下の三つです。

  1. 世界観+シナリオが西洋ダークファンタジーからSFに変更!
  2. デュアルアクションが音ゲーみたいになっていた時があった!
  3. 開発初期は警察署でケース*を一つずつ受注するゲーム進行だった!

もちろん三つどころか、他にもたくさんあるんですけどね……

今回は、このうち③の「開発初期は警察署でケース*を一つずつ受注するゲーム進行だった!」に絞って書かせていただきます。
※ケースとは、ミッションやクエストのことを指しています。

マップ画面の右側にそのとき発生しているケースが一覧で表示されているので、メインストーリーを進める以外にも、寄り道を楽しんだりできる。

本作では、出動した先のステージ内に複数のケースが発生しており、プレイヤーが自由に事件を解決していく内容になっています。

しかし、もともとの設計ではステージ内に寄り道ができるような他のケースは存在していませんでした。

全ケースいずれも拠点となる警察署で一件ずつ受注してから毎回ステージに出動して、クリアしたら拠点に強制帰還する、というゲーム進行だったのです。

このようなゲーム進行になっていた理由は「デュアルアクションで敵と戦う」というところをゲームの中心としてフォーカスしていたからなのですが、やがて開発を進めていく中で “警察官”、“事件現場” という体験のブラッシュアップが課題となりました。“警察官による事件捜査感” をもっと体験してもらいたい、と考えたのです。

そのため、ステージ内を探索する要素がケースという形で組み込まれることとなり、現在のように「警察官が事件に遭遇するところから始まり、それを解決していく」という体験ができるようになりました。

警察官らしい体験ができるよう、事件捜査現場も作りこまれていますので、ぜひ堪能してください!

ちなみに、初期の頃のような「一件ずつ依頼を選んで受注し、現場に出動する」というゲーム進行は、メインシナリオクリア後のやり込み要素として用意されています!

ここで受注できるケースをクリアしていくと、さまざまな隠しコスチュームがゲットできますし、本作最強の!?キメラも待ち構えているので、ぜひチャレンジしてください!!!

ではでは、このへんで失礼します。




kotajima答島 惣太 Sota Kotajima
2014年に入社。
ゲームデザイナーとして、『The Legend of Korra』『Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutants in Manhattan』の開発に携わる。

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ドット絵世界の『ASTRAL CHAIN』(プログラマー 田渕)

2019.09.26

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』の世界から、プログラマーのタブチが本記事をお送りさせていただきます。

『ASTRAL CHAIN』をお買い求めいただき、誠にありがとうございます。

まだ買ってないぞ?ですって?
……でしたらもう遅いです。
たった今、まだお買い上げ頂いていない方に、アストラル界に引き込まれる呪いをかけました……。

すいません冗談です。

本記事は、『ASTRAL CHAIN』をまだ購入されていない方でも、楽しく安全にご覧いただける内容となっております。
では、短い間ですが、お付き合いくださいませ。

私は、本作では主にUI(ユーザーインターフェース)のプログラムを担当させていただきました。

「UI」、なんやそれ?
その疑問は当社のUIアーティストの記事が解消してくれるでしょう。

『ASTRAL CHAIN』のUIについて:前編(UIアーティスト 大西&斉藤)
『ASTRAL CHAIN』のUIについて:後編(UIアーティスト 大倉&小波)

さて、では私は何を語るのかと。
UIの実務内容……その殆どは、語らざるも惜しいが、語るにも地味な組み込み作業。
今いち訴求力に欠ける……。
そこで、ビジュアル面での成果の一部を披露致しましょう。

『ASTRAL CHAIN』では、ゲーム内にカメラによる撮影機能があり、時には事件の証拠写真を押さえたり、あるいは未知の生命体をデータベースに記録する為の資料として写真を残したり(するかもしれません)。

任務中に任意のタイミングでカメラ機能を起動して、弊社アーティストによって形作られた美しく荘厳なロケーションを撮影することにも利用できます。

このカメラ機能のオマケ要素として、とある条件を満たすことで開放される、「ドット絵フィルター」なるものがあります。

ネウロン指令室です。
オリーヴさん、今日も美しいですね。
そんな華やかな職場でカメラを構え、この「ドット絵フィルター」を設定すると……。

このように!
どこかレトロな雰囲気の絵になりました。

勿論、これはカメラを構えている時であれば常に有効な設定ですので、リアルタイムでレトロな雰囲気を味わい尽くすことも出来ます!

ここで特別に、僕が選定した「ドット絵世界の『ASTRAL CHAIN』」をドドーンと公開致しましょう!




そして最後に、私のお気に入りのオカルト女子「シズ」をひと推し……。

ん~ドット絵世界でもかわいい!!

……ゴホン


いかがでしたか?

『ASTRAL CHAIN』の美しい世界を、昔懐かしいグラフィックで楽しみたい!そう思われた方は、ぜひ本作をプレイし、「ドット絵フィルター」を開放してみて下さいね!

コール。車両整備係の「タブチ」っス。
現場からは以上っス!





Yamamoto田渕 晶紀 Akinori Tabuchi
2017年にプラチナゲームズに入社したプログラマー。本作では、UI関連の各種業務を担当し、ドット絵フィルターなどで絵作りに貢献した。
オカルト&ショートのシズ好きが高じたのか、自分とは似て非なる存在をアストラルチェイン世界内に感じるという。本人は語る。「オカルティックな能力に目覚めた」と。

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おっさんアーティストが紹介する “プラチナ流” VFXのこだわり!(VFXアーティスト 山本)

2019.09.19

皆様、はじめまして。

若手主体の『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』において数少ない「おっさん」枠のVFXアーティストの山本です。今回は『ASTRAL CHAIN』のVFX(視覚効果)において大事にしたことや実際の事例などをちょっとだけ真面目に解説したいと思います。

まずは大前提として、「プラチナゲームズのVFXにおいて一番重要視しているものは何か」をお話ししたいと思います。当然『ASTRAL CHAIN』のVFXもそれを重要視していて、それに基づいて各VFXを構築&調整しています。

それは何なのかというと……

「インタラクティブな爽快感」 を最大限に際立たせる!!

ババーン! これこそがプラチナゲームズのVFXの最大の特徴であり一番重要視していることであります。

これは「プレイヤーの干渉によって起こるリアクションに対してビジュアルの変化などを駆使し、何をしたのか、何が起こったのかを視覚的に強調する」ことを意味しており、これによってキャラクターを操作した時の手触り感や、仕掛けなどを作動させた時の気持ちよさを増幅し、ユーザーの感情を揺さぶりまくることを狙っています。

『ASTRAL CHAIN』はプレイヤー&レギオンの2体が基本となるゲームであり、状況によってはそれ以上のシチュエーションもあり得るため、特にリアクションに関するVFXにおいては “強調” と “記号としてのわかりやすさ” を両立するためギリギリまで調整した作品であります。(プラチナの作風として、強調や派手さに若干重きを置いてはいますが……)



◆敵の死亡

敵の死亡においても「インタラクティブな爽快感」を念頭に置いて構築しています。

アクションゲームにおいては攻撃中(コンボ中)に敵の死亡が確定したのかどうかが直感的にわからなければいけません。そのうえで “倒した” という爽快感が必要となります。

そのため『ASTRAL CHAIN』ではプラチナの王道スタイルである「死亡確定時に敵の動きを止め、死亡予兆で目立たせてから爆散*」という流れを導入しています。

※死亡した敵に無駄に攻撃を続けてしまうのを避けるため、特に攻撃のテンポや動きの速い、複数の敵が出る戦闘では必須



◆死亡コンセプトはデータ分解

今回『ASTRAL CHAIN』でどうしても実現したかったのが「リアルタイム粒子化死亡」です。(最近の特撮などでおなじみの表現ですね)

実現方法を簡単に解説すると、死亡の瞬間、画面の色を取り込んでそれを大量のGPUパーティクルに貼り付け、敵の形で画面上にマスクを切ることで実現しています。

『ASTRAL CHAIN』のVFXはデータっぽさを表現するうえで「キューブ」を構成要素として重要視しているため、死亡時の粒子も実は一粒一粒がキューブ状になっており、光源の影響も受けています。ただ、そのまま粒子でサラサラ崩すとアクションゲームとしての爽快感が減るので、爆散する粒子と崩れ落ちる粒子を混ぜることによって気持ち良さも感じられるように調整しています。



◆ひび割れ表現

これもリアクションを強調するため今回多用した表現になります。視差マッピングを利用して、あたかも攻撃などで本当に凹んでいるかのように見せています。エフェクトで発生させているため、どこにでも投影で馴染ませつつ乗せられます。またこれの応用として、敵キャラの表面に投影することで全身ひび割れ状態の表現などにも活用しています。


 


◆IRIS(アイリス)表現

ゲーム中どこでも使えるIRIS(アイリス)起動中の表現もメイン部分はVFXで構成されています。これは「ややこしそうなことはとりあえずVFXに振ってみる」というプラチナの謎の伝統?から実現した、とても(内部的には)ややこしい表現になります。

VFXでやっていることを簡単に解説すると、

  • 起動と同時に画面にノイズを入れ、
  • 空間に3D的にグリッドを描画し、
  • 地形にもグリッドの線を投影し、
  • なおかつラインを地形上に走らせ、
  • 画面全体を取り込んで彩度や色味を調整し、
  • 画面全体のオブジェクトに距離に応じてアウトラインを描画し、
  • さらにキャラクターにはシルエットの形で切り抜いて別の効果をのせるetc……

といった具合に、文章だけ見るとわけのわからんことをいろいろやっております。

これも起動時の動きや表現などに「インタラクティブな爽快感」を意識したこだわりを入れ込んでいます。


 
という訳で、まだまだ「インタラクティブな爽快感」を際立たせるために仕込んでいるVFXは多数存在するのですが、キリがないので今回はこの辺で終わりたいと思います。

VFXは開発の工程では下流に位置する存在ですが、プラチナゲームズにおいてはゲームのクオリティをビジュアル面や手触り感の両面から左右する最後の砦だと思っています。そんなVFXの存在を少しでもわかってもらえたら嬉しいです。

『ASTRAL CHAIN』では田浦Dを始めとする皆の「こだわり」と若手のパワー&「おっさん」の奮闘で魅力満載の作品に仕上がっていますので、是非お手に取って楽しんでください!

ゲームは触ってナンボです!! よろしくお願い致します!!





Yamamoto山本 拓生 Takuo Yamamoto
1999年にカプコンに入社。『デビルメイクライ』『バイオハザードGC』『バイオハザード4』『大神』などの開発に携わった後、プラチナゲームズへ。プラチナゲームズの創立当時から、VFXアーティストとして『BAYONETTA(ベヨネッタ)』『VANQUISH(ヴァンキッシュ)』『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』『ベヨネッタ2』や『スターフォックス ゼロ』(お手伝い)『NieR:Automata』(お手伝い)などの開発に従事。
平成仮面ライダーといまだに浅香唯が大好きな「おっさん」VFXアーティスト。
自分の周りに平成仮面ライダーのフィギュアがないと落ち着いて仕事ができない特性を持つ。

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『ASTRAL CHAIN』サウンドメイキング!~SE(効果音)編~(サウンドデザイナー 平岩)

2019.09.12

皆さんこんにちは!
サウンドデザイナーの平岩です。

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』では主にSE(効果音)の制作、制作データの実装などを担当させていただきました。

私の方からは、本作における見どころ(聴きどころ)やSE制作でのこだわり、ちょっとした小ネタについてお話できればと思います。

アーティスト系の職種と比べると、デザイン画等が無く地味な記事になってしまいましたが、ゲームサウンドのメイキング紹介を通して『ASTRAL CHAIN』の魅力を感じていただけると嬉しいです。



周回必至!?“選べる主人公&アキラ”の魅力!

本作の主人公と双子の弟妹“アキラ”

本作では、プレイアブルキャラクターとして男女2人のキャラクターから1人を選択してストーリーが展開していきます。男女の選択が可能ということで、ビジュアル的にもたまらない話ですが、選択したキャラクターによって当然、音声も変わります。

カットシーンの台詞やアクションボイス等、聞こえてくる声の違いだけでもゲームを遊ぶ感覚は大きく違うと思いますので、豪華声優陣による迫真の演技を是非お楽しみいただければと思います。



敵キャラクターのSEについて

本作で登場する敵キャラクターに、スライム型(カエルの見た目)のキャラクターがいます。ムニムニしているかわいい奴で結構お気に入りなのですが、火/雷/氷などの属性を持っていて、それぞれ大小さまざまなサイズで存在します。属性やサイズが違うということで、動作音(属性音)を変えているのですが、作中では聞き比べる機会があまり無いと思いますので、ここで属性によるSEの違いを聞いてください。


 
サウンドミドルウェア「Wwise」上では、ベースとなる効果音に対して属性ごとに制作した効果音素材を重ねて鳴らす手法を取りました。こうした工夫により、急な属性の変更やバリエーションの追加が発生しても、最小限の手間で素早く対応できるようになっています。



ここ掘れワンワン! 埋もれたお宝を発見??

本作では、音によってプレイヤーをサポートする仕組みがいくつか入っています。

その内の1つが、ビースト・レギオンがアイテムの埋まっている場所を教えてくれる機能です。聞こえてくる音の方向を追って、隠されたお宝をゲットしちゃいましょう! 捜査シーンに限らず、道端を連れて歩くだけでその力を発揮することもあります。

「ピッ!ピッ!ピッ!」っと音が鳴ればお宝が近くに埋まっている合図かも!?

この他にも、隠しルートへのヒントなど、音を使った仕組みや遊びを幾つか入れていますので、是非遊びながら見つけてください! 楽しんでいただけると嬉しいです。

『ASTRAL CHAIN』を多くの方々にプレイしてもらえますように!!





hiraiwa平岩 尚樹 Naoki Hiraiwa
専門学校を卒業後、2014年にプラチナゲームズに入社。
『ASTRAL CHAIN』ではボス敵をはじめ、ゲーム全体のSE制作、実装を担当。

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流転と帰結(シナリオライター 仲)

2019.09.05

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』メインシナリオ担当、仲と申します。

シナリオについてはゲーム本編で確認していただくとして、今回は自己紹介と深部には触れない紆余曲折の一端を書いてみます。

まずは、唐突に「シナリオ担当の仲」と言われても何者なのか?と思われたのではないかと思います。

普段は裏方に徹するタイプのゲームデザイナーをやらせていただいており、プラチナ歴は約8年、ゲーム業界にはもう少し長く関わっています。趣味もアクションゲームをプレイすること、ドット絵やイラストを描いたりすること、とゲーム漬け。ゲームが無ければ消滅してもおかしくない人間です。

ゲームデザイナーとしての仕事歴は長いので、『MAX ANARCHY』、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』、『BAYONETTA 2』、『スターフォックス ゼロ』……といろいろ関わってはいるのですが、実は開発の始めから携わるという機会はなかなか無いまま今まで来ました。

そんな私に目を付けたのがディレクターの田浦でした。
プラチナゲームズのゲームづくりに、これと言った定石はないように思いますので、私見ですが、シナリオは作品をまとめるために必要不可欠なもので、ゲーム性にも深く関わりを持つため、ディレクターが書くものと思っておりました。

『ASTRAL CHAIN』もディレクターの田浦自身が書いても良かったように思うのですが、当時まだ固まっていなかったデュアルアクションの掘り下げとシナリオ作業を並行するのはなかなか大変ということで、UIやゲーム内テキストについてよく担当している私に「シナリオを担当して欲しい」と依頼してきたのです。

田浦の話を聞く限り、当初は口述筆記の筆記係程度に思えたので、最初から関われるのは貴重な機会だ、と軽い気持ちで受けてしまったのですが、まぁ当然そんなはずはなく……
そこには長く険しい道が待っていたのでした。

初期作業は、田浦、アートディレクターの木村と私の3人でネタを持ち寄り話し合ったり、任天堂さんにも適宜アドバイスをいただきながら、今のベースとなる、「ヒーロー」「警察」「近未来」という、3人がともに好きな要素で進めることに決まりました。あとレギオンを呼び出すときのアクションや掛け声、NPCのキャラクター設定など、中二な要素が多いのも、この3人が案を出し合った結果かも知れません。

ネタやシーンを考える際は、このようにラクガキをしながら考えることが多いです。関係のない絵が進み、作業が進まないこともあります……。もっといろいろ画像をと思いましたが、余計な事が書かれ過ぎており現時点ではお見せできない物ばかりでした。

そんなこんなで、ベースを好きな要素で固めたので直ぐに草案は出せたのですが、これらを筋立てて、深堀りし、ゲームにも繋げるというところで混迷を極めることに……



二転三転と変化するシナリオ。

何も決まらぬまま設定を作り直してはつぶす、ということを繰り返し時間ばかりが過ぎていく中、自分だけでは力が及ばず、任天堂さんにご助力いただいたり、弊社のチーフゲームデザイナーの神谷にも助言を求めたりして、ようやくそれまで考えてきた設定、シナリオにゲーム内容など、バラバラに点として存在していたもの達が、連鎖的に一気に線としてまとまり、現在の形に落ち着いてくれました。

中でもレギオンと主人公の関係は、当初「武器とそれを操る人」という関係でしかなかったのですが、「敵であるキメラを元に作り出した」とすることで、“凶暴でいつ暴走するか分からないパートナーを連れている”という、本作ならではの関係を作り出すことができました。

この設定はレギオンのモーションにも影響し、当初は格好良いアクションだけがメインだったのですが、設定を反映するために端々に凶暴性を表すアクションが加わったお陰で、ただならない存在感が出ています。


 
……というわけで、紆余曲折もありましたが、多くの人に支えられた結果、今では自信をもってお薦めできるものになりました。

本編以外にもゲーム中にはゲームデザイナーの皆が考えてくれたクエストが多数用意されています。(私は台詞のリライトで関わっています)
主人公以外の隊員達や、いろんな個性を持った人物が登場する、それらの事件の数々を解決することで、『ASTRAL CHAIN』の世界をより深く知っていただけるのではないかと思いますので、隅から隅まで遊び尽くしてみてください。

それでは、今回はこのあたりで失礼致します。
次回書く機会があれば、その際はキャラクター誕生秘話、世界観の小ネタなどを書ければと思います!



naka仲 晃照 Akiteru Naka
2011年にプラチナゲームズに入社。ゲームデザイナーとして『MAX ANARCHY』、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』、『BAYONETTA 2』、『スターフォックス ゼロ』などで、主にUIやテキスト編集・管理を担当。現在は、『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』でメインシナリオおよびサブシナリオ監修に携わっている。

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『ASTRAL CHAIN』発売です!!(ディレクター 田浦)

2019.08.30

こんにちは!
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』ディレクターの田浦です。

初回以来となる2度目の登場です。なぜなのか。
……そう、本日8/30は、プラチナゲームズの新元号「令和」第一弾となるNintendo Switch専用ソフト『ASTRAL CHAIN』の発売日なのです!!

こうして無事に発売日を迎えることができたのも、開発や宣伝など、今日までにたくさんの方々のお力添えがあったことに加え、何より、この日をお待ちくださったみなさまのおかげであります。
本当に、ありがとうございます!!

携わったゲームの発売日というものは、これまでも例外なく特別な日となってきたわけなのですが、
今回は初めてのディレクターとして……
そして完全新規のタイトル……
さらに一癖も二癖もある世界観に目新しいアクション……
とにかく、気が気でなりません!!

さっそくこの後、無事に陳列されているのかどうかの確認と、もしかしたら手に取ってくれる人がいるかもしれない!……という期待を胸に、近場のお店のゲーム売り場を一人挙動不審気味に巡りたいと思います。

というわけで、この何者かもわからない新規タイトルを気にかけていただき、ご購入いただいたみなさまへ、この場を借りて深くお礼申し上げますとともに、その期待に応えられることを切に、切に願っております。

他にはない『ASTRAL CHAIN』独自の雰囲気やゲームプレイを、存分に楽しんでいただければ幸いです。

どうぞ、よろしくお願いいたします!




taura田浦貴久 Takahisa Taura
2011年にプラチナゲームズに入社後、ゲームデザイナーとして『MADWORLD』、『MAX ANARCHY』、『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』、『The Wonderful 101』、『The Legend of Korra』の開発に従事。主にプレイヤーキャラクターや敵キャラクターのアクションに関するパートを担当。『NieR:Automata』ではシニアゲームデザイナーを務めるなど、アクション制作の要として活躍。自身初のディレクション作品となる『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』が絶賛発売中。



『ASTRAL CHAIN』情報まとめ


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「カメラ機能」でステージを歩くのが楽しくなる! おすすめの撮影ポイントもご紹介(リードエンバイロメントアーティスト 横山)

2019.08.26

みなさんこんにちは!

『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』 リードエンバイロメントアーティストの横山です。

本作ではアクションだけでなく、探索、収集要素など、寄り道を楽しめる要素が盛りだくさん!

そんな中、私イチオシの『カメラ機能』を通して、本作の世界の魅力をご紹介したいと思います。


  • 『ASTRAL CHAIN』のカメラ機能

『ASTRAL CHAIN』には『カメラ』という要素が存在し、ゲーム中カメラを構えることで、いろいろなフィルターをかけたりして、スクリーンショットを撮ることができます。

ただのおまけ機能だと思ったら大間違い!

ズームイン/アウトは勿論、被写界深度(ボケ表現)や色味を変えるフィルター、そしてなんと、自撮りまで出来てしまいます。

※各種機能の紹介やUIのこだわりなどが書かれたUIセクションの記事も、是非ご覧ください!

『ASTRAL CHAIN』のUIについて:前編(UIアーティスト 大西&斉藤)
『ASTRAL CHAIN』のUIについて:後編(UIアーティスト 大倉&小波)

  • ライティングとカラーグレーディングについて

と、カメラの話に入る前に、まずは本作の絵作りに大きな影響を与えている、ライティングとカラーグレーディングについて、少しだけ触れてみたいと思います。

ライティングが全くされていない状態。光源の影響がないため、奥行き感がなくのっぺりしています。ここに、Maya上で行ったライティングを焼き付けたり、ゲーム上でライトを置いたりしていきます。

ライティングを行い、光や反射が見られるようになった状態。面に光が当たることで、詳細なディテールが確認できるようになり、オブジェクトのシルエットに立体感が出てきました。

カラーグレーディングやフィルター調整が入った最終結果。Photoshopを触ったことがある方は、色調補正やトーンカーブをイメージして頂けたら良いかと。青をベースに赤を差し色としたツートーンにまとめました。色と明るさにコントラストが出て、全体的にメリハリがついたと思います。

このように、エンバイロメントではアセットの制作や配置をするだけでなく、その後の調整が、絵作りにとても重要な要素となっているのです。

さて、何故いきなりこんな説明をしたかというと、本作の『カメラ』撮影モードの機能『カラーフィルター』は、このカラーグレーディングを、まるっと追加してしまう機能だからなのです!

ということは……

ガラッと映像の印象を変えてお好みの絵柄が出せるということ! とてもたのしい!!

※何もかも自由に調整できるわけではないですが、いくつものパターンから選択することができます。


  • アークの街中

本作の舞台となる人工島アークは、その特徴的な構造から、地区によって全く異なった表情を見ることができます。

今回はその中からいくつかピックアップして、写真好きのアナタも、そうでないアナタも、ステージを歩くのが楽しくなるオススメの撮影ポイントをご紹介します!

※世界観については、須田さんの記事「美術設定から見る、アークの歩き方!(コンセプトアーティスト 須田)」で詳しく書かれていますので、是非そちらもご覧下さい!

以下のスクリーンショットは、全て実際にカメラ機能で撮影した「撮って出し」のものです。

【第33地区】
建物を埋め尽くすように並んだ看板が印象的な、通称ハーモニースクエア。物語中何度も訪れることになるこの街は、訪れるたび、異なった表情を見せてくれます。

個人的なお気に入りは、「ハーモニーメディアセンター」側から横断歩道側の看板をがっつりとらえた構図!情報量の多い看板は、どこから撮っても映えるので楽しいです。

歩道橋の下を撮るのも、なかなかマニアックな香りがします!ここはちょっと見つけ辛いですね。「LARGER BURGER」前から撮影しました。

【第36地区】
東洋風の塔や漢字の看板が特徴の第36地区。雑然と建物が増築されたこの街は、どう写真に切り取るかによって、大きく印象が変わります。

「ユニオンシティ」へと繋がるトンネル前からパシャリ!青と赤のコントラストが印象的な街です。

漢字の看板が印象的。モノトーンが好きなので、3種類もフィルターを用意してしまいましたが、「何が違うの?」とよく突っ込まれました……。

【第09地区】
屋上に増築された街並みと、それを見下ろすような巨大な壁が存在する第9地区。開けた視界と高低差のある建物のシルエットが印象的です。

壁の存在感が凄いです。思わず撮らずにはいられません。こちらは「伍番街新電脳廣場」の入口から、ぐるっと逆を向いたところです。

ジャンク街も第09地区の魅力の一つ。ちょっとレトロなフィルターで仕上げてみました。


  • 最後に……

駆け足となってしまいましたが、いかがでしたでしょうか?少しでも歩いてみたいと思って頂ける場所があれば、とても嬉しいのですが……。

まだまだ、ご紹介できていない魅力的なところはたくさんあるので、物語を追いかける傍ら、是非、カメラを片手にふらっと歩きまわってみて下さい。

そして、今まで気づかなかった側面を楽しんで頂けることができたなら、エンバイロメントアーティストの一人として、とても光栄に思います。
『ASTRAL CHAIN』 を、どうぞよろしくお願いします。

整備中のヘリコプター。いつもお世話になっています。

出動待ちのバイク! ロボットみたいでかっこいいです。

事件現場を巡回する警察官。トランシーバーに手をかけた姿に、緊張感が漂っています。

民間人とネコ。とても仲が良さそうで、ゆったりとした時間の流れを感じます。

高所から街を見下ろす人影。彼はこの街に何を思うのでしょうか。




ishida横山直哉 Yokoyama Naoya
武蔵野美術大学を卒業後、2015年にプラチナゲームズ入社。
『Teenage Mutant Ninja Turtles: Mutants in Manhattan』 『NieR:Automata』ではステージ制作を担当。
本作『ASTRAL CHAIN』ではリードエンバイロメントアーティストとして、幅広い範囲を担当している。

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