早いもので、4月に入社してきた新人アーティストたちが一連の研修を終え、先日、社内で研修成果物の発表会が行われました。

当社のアーティスト職は、以下の専門に分かれていて、それぞれの適性と希望を考慮して入社後に配属が決まります。とはいえ、新卒入社の場合は各専門セクションに関する充分な経験や予備知識があるわけではありませんので、まずは各セクションにおける工程を実際に経験してゲーム制作の流れを理解してもらうべく、入社後に全セクションの仕事を一から学ぶ実技研修を行っています。

  • コンセプトアーティスト
    ゲームのコンセプトアートや、タイトルロゴ、キャラクター、背景、武器、メカなどのデザイン画を担当
  • エンバイロメントアーティスト(背景モデリング)
    コンセプトアートを元に、プレイヤーがゲーム内で動き回るステージを3Dでつくる仕事です
  • キャラクターモデリングアーティスト
    コンセプトアートを元にキャラクターの立体化を担当します
  • アニメーター(モーションデザイン)
    キャラクターから背景まで、ゲーム内のあらゆるものに動きを与える仕事です
  • VFXアーティスト
    自然現象や特殊効果など、場面に応じたビジュアルエフェクトをつくる仕事です
  • UIアーティスト
    体力ゲージや選択画面、メニュー画面などを分かりやすく機能的にデザインする仕事です
  • シネマティックアーティスト
    カメラ/キャラクター/フェイシャルアニメーション、ライティングなどによりゲーム内のドラマ的演出を担当します

実際のゲーム制作の現場では、それぞれの工程を別のスタッフが担当するので、研修でも同じ経験ができるようにということで、今年の研修では、他の新人が描いたキャラクターの設定画を元に3Dモデリングを行ったり、モデリングしたキャラクターに別のスタッフがアニメーションやエフェクトをつけたりと、他のスタッフと連携を取りながら制作を進めたそうです。作品発表会では、新人がホワイトボードやPCモニターに成果物を展示し、さまざまな職種の先輩スタッフ達が観覧・講評にきていました。

車やメカ系のデザインに強く、キャラクターや武器の設定画にはかなり力が入っていたこちらのスタッフ(画像:右)。実は大学で製品デザインを学んでいたそうです。「他の分野は苦手なんです」と、メモを取りながら先輩からのアドバイスに熱心に耳を傾けていて、「その造形に至った経緯も把握しておくことで、デザインに説得力が増すよ」「世界観が分かるよう、コンセプトアートはもっと引きで描いた方がいいよ」「UIデザインのここがいいね」など、アドバイスをもらっていました。

こちらの女性スタッフ(画像:左)は、別のスタッフが描いた“花の妖精の騎士”のモデリングを担当。油絵専攻だっため、ZBrushやMayaなどのモデリングツールを使うのはほとんど初めてで、帽子に施された花びらを模したディテールや、そのフワフワ感を表現するのにかなり苦労したそうですが、難しいながらもその部分にはとことんこだわり、さまざまな技術を習得したとのこと。頼もしいです。

エンバイロメント研修では、実際のゲーム画面に敵やアセット(制作物)を配置し、ステージをつくるレベルデザインを体験。自分でプレイしながら調整を重ねたにもかかわらず、先輩スタッフにプレイしてもらうと、ふさいでいるつもりでも進行できてしまって、はまって抜けられなくなったというトラブルなども発生していましたが、そういった失敗エピソードも微笑ましかったです。

さらに同期がデザイン→モデリングしたオリジナルキャラをエンバイロメント研修でつくったステージに配置し、アニメーションやエフェクトをつけるといった研修も実施されました。成果物については、キャラデザはAさん、モデリングはBくん、エンバイロメントはCさん、アニメーションはDくん、エフェクトはEくんといった具合で、実際のゲームとしてワンステージが遊べるようになっています。皆真剣にプレイしていて、「敵のアニメーションだけど、プレイしている人に対してもうちょっと隙があった方がいいんじゃない?こんな感じで」と、アニメーターの先輩が身振り手振りでタイミングを教えていたり、アドバイスする方も力が入っていました。

シネマティック研修では、ムービーシーンを作るべく絵コンテを一から描いて、キャラクターを配置→動かし、カメラアングルやライティングを調整するといった作業を体験したそうです。「この演出でこのキャラクターの感情を表現したいなら、こうした方が……」など、まさに実際のゲーム制作現場さながらの大盛況の発表会となりました!

今まではあまり接点がなく、大人しそうにみえた新人たちとも、作品を通していろいろ話をすることができ、少しずつですがそれぞれの個性が垣間見れたような気がします。

新人たちは、これから順次プロジェクトに配属されていくことになるそうです。今後の活躍が楽しみです!