→『ASTRAL CHAIN』のUIについて:
前編(UIアーティスト 大西&斉藤)はこちら



はじめまして、UIアーティストの大倉です。
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』では主にHUD(Head Up Display)、一部のメニューやモニター等を担当しました。

いろいろと担当させていただいたので何を紹介するのが良いかすごく悩みましたが、なかでも個人的に苦労したHUDのインアニメーション制作についてご紹介しようと思います。

HUDのインアニメーションとは、イベントシーンなどからインゲームに移る際にHUDが起動するアニメーションになります。

プレイヤーが直接操作するUI(ユーザーインターフェイス)ではないですが、表示される頻度はかなり高いものなので可能な限りクオリティを上げるように意識して制作しました。

そのために今回は意識的に資料収集とデザイン指針の確立に時間を割きました。デザインをする上では必須の工程なので当然のことではあるのですが、この工程を疎かにするとたちまち説得力のないブレたものになってしまうので、今回は特に念入りに行うよう心がけました。

全般的なUIデザインの資料準備とコンセプトの確立はリードUIアーティストの大西さんが既に行ってくれていたので、私の方ではHUDのインアニメの作成によりフォーカスした参考資料の収集を行い、さらに2日ほどじっくりと時間をかけて検証を進め、デザインの方向性を定めました。(さすがにかけ過ぎたので反省しています……)


定めたデザイン指針

  • グリッドやドット、ブロックノイズなどを採り入れたモニター風表現にすることで近未来な世界観を表現する。
  • x軸y軸のみの単純な2D的な表現ではなく、z軸のアニメーションを強調することで奥行きのある表現を目指す。

また、ここで定めたデザイン指針の内容だけでなく、以下のような点も考慮してデザインを進めていきました。

  • 複数の表示物に汎用的に使用できるデザインにする。
  • デザイン段階で実装時の処理負荷を考慮したものにする。

先ほどのデザイン指針やこれらの点をもとに作業を進めていき、細かな紆余曲折はありつつも、事前準備を念入りに行っていたおかげで比較的すんなり完成させることができました。事前準備大事!

完成したものがこちらです。


 
結果的に世界観に合ったものにできたのではないかと思っていますが、いかがでしょうか?

実物は是非とも『ASTRAL CHAIN』をプレイしてご覧いただけたらと!





はじめまして! UIアーティストの小波です。
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』ではフォトモードHUDやメニュー表示、アイコンデザイン、UIマップなどの一部を担当させていただきました。

UIのデザインコンセプトや演出の工夫については他の方が既にお話されているので、私はちょっと脇道にそれて『ASTRAL CHAIN』のゲーム内で自由にカメラ撮影ができるフォトモードのHUDについてお話させていただきます。

フォトモードに関しての田浦ディレクターからの要望は、こんな感じでした。

  • ファインダーと撮影用ボタンガイドを出したい。
  • いくつかモードがあって切り替えられるようにする。

これらを踏まえ、今回のUIのトンマナを意識しつつも、プレイヤーが撮影するのに邪魔にならない程度に抑えめに……なんてのを考えながら、いろいろなカメラのUI資料を集め、仮のレイアウトを組んで、リードUIの大西さんや田浦さんにチェックしてもらい、プログラマーの人に作ったデータの実装をお願いするわけです。

しかし……実装後、プラチナゲームズの誇る写真部「プラチナ・ピクチャーズサークル」の皆さん(田浦さん含む)から

  • 絞りいれたい!
  • 焦点距離いれたい!!
  • カラーフィルター入れたい!!!

など数々の熱い要望が寄せられ、新規アイコンや調整ゲージを追加。
機能がより多彩に!!!!

これによって、ただ見たままを撮影するだけでなく、写真に絵作りの要素が加わり、かなりこだわって遊べるものになったかと思います。ちなみにカラーフィルターは特定の条件を満たした撮影をすることで増えますので、詳細はレガトゥスメニューのオーダーを確認してくださいね!

さらにさらに、最初はただゲーム内で撮影するだけのものだったはずのフォトモードに「撮影したものを図鑑に登録できる」という仕様が追加!図鑑の登録対象がファインダー内に入り込んだ際には、ターゲットを捕捉して情報を表示するようにしました。

思えば私も子供の頃、夏休みに出かけるとインスタントカメラで思い出を撮影し、現像した写真をスクラップブックに貼ったものでした……。そんなノスタルジーをくすぐられつつ、ゲーム内でもいろんな場所や人をパシャパシャ撮影する日々です。

とりあえず現在の最高傑作はこれだと思っています。

ぜひ『ASTRAL CHAIN』でのあらゆる出会いを撮影し、アルバムに収めてみてください。

ゲームが終わる頃には、皆さんの思い出がたくさん生まれているはずです。




いかがだったでしょうか。語りたいことはまだまだ他にもいっぱいありますが、続きはゲームの中で……

このブログで予習してからプレイしていただけると、また違った側面が見えてくるのではないかと思います。

どうぞ『ASTRAL CHAIN』を宜しくお願いいたします。(大西)



ishida大倉健太 Kenta Okura
以前はパチンコ開発に携わり、コンポジット作業や2D素材作成作業、オーサリング作業といった多様な業務を担当していました。2016年にUIアーティストとしてプラチナゲームズに入社。『ASTRAL CHAIN』では、主にHUD、一部のメニューやモニターグラフィックス等を担当。

ishida小波涼子 Ryoko Konami
2015年末にUIアーティストとしてプラチナゲームズに入社。『ASTRAL CHAIN』ではフォトモードHUDやメニュー表示、アイコンデザイン、UIマップなどの一部を担当。先日はBITSUMMIT 7 SPIRITSのプラチナゲームズブースにてレジのお手伝いをしました。

ishida大西るい Rui Onishi
2014年にプラチナゲームズに入社。
UIアーティストとして『TRANSFORMERS: Devastation』『スターフォックス ガード』Steam版『Bayonetta』『Vanquish』などのタイトルで開発に携わりました。ゲーム以外にも『ベヨネッタ ∞CLIMAX EDITION』のパッケージやそうりゅう型潜水艦“ しょうりゅう”のロゴのデザインなど色々させて頂きながら精進中です。