先日、アメリカ・サンフランシスコで5日間に渡って開催されたGDCと、その最終日に発表されたのGame Developers Choice Awardsの表彰式の模様をレポートさせていただきます。
GDC (Game Developers Conference) は、世界中のゲーム開発者たちが一同に会する世界最大級の技術交流カンファレンスで、今年は過去最高の28,000人もの参加があったそうです。プラチナゲームズからも沢山のメンバーが視察や打合せ、講演や取材対応のため現地を訪れていました。特に今回は『NieR:Automata』が参加者たちによる投票で選出されるGame Developers Choice AwardsのBest AudioとBest Design、そして栄えあるGame of the Yearの3部門でノミネートされていましたので、もしも受賞に至ったら……服装は?スピーチはどうしょう?と誰もがざわざわしていました。
『NieR:Automata』のリアルタイムオーディオ処理に関するセッション
GDC3日目には、オーディオプログラマーの木幡が、An Interactive Sound Dystopia: Real-Time Audio Processing in ‘NieR:Automata'(意訳:インタラクティブなサウンドディストピア:『NieR:Automata』でのリアルタイムオーディオ処理)と題したセッションを行わせていただきました。
昨年、日本国内で開催されたCEDEC 2017(※)では、サウンドデザイナーの進藤と共に音響空間表現にフォーカスした内容でお話をさせていただきましたが、今回はリアルタイムオーディオ処理にフォーカスした内容です。※CEDEC AWARDS 2017サウンド部門において最優秀賞を受賞した時の記事
特に『2Bが傷ついた体を引きずりながら歩むシーン』『ボイスチェンジャー』『エミールの演出』『カミニナルのBGM』などのゲーム動画を用いて様々な音声処理の例を紹介させてもらったのは好評で、受講者の方々から拍手をいただきました。詳細については、Game Watchさんが記事にしてくださっているのと、GDV Vaultにスライドが公開されていますので、そちらをご覧いただければと思います。
『NieR:Automata』のゲームデザインに関するセッション
『NieR:Automata』のディレクター・ヨコオタロウさんと、同作のアクション部分を担当させていただいた田浦で「A Fun Time in Which Some No-Good Game Developers May or May Not Discuss How We Made ‘NieR:Automata’」と題したセッションを行わせていただきました。タイトルを勝手に和訳すると「出来損ないのゲームデベロッパーが『NieR:Automata』ができるまでの話をするかもしれない、楽しいひと時」となりますので、そこからも既にヨコオさんワールドが広がっています。笑 ポスターも貼られていたので記念撮影。
こちらのセッションについては、GDCの主催者の方が映像をアップしてくださっていたので、良ければ動画をご覧ください。前半は田浦による「触った瞬間に楽しいゲーム作るために心がけていること」、後半はヨコオさんによる「ゲームにおける自由とは何か」というテーマで、『NieR:Automata』がどのような方向性をもって作られたのかという、メイキングになっています。(※ネタバレ注意)
Game Developers Choice Awards
最終日に開催されたGame Developers Choice Awardsの華やかな表彰式の様子です。
『NieR:Automata』がBest AudioとBest Designの受賞を逃したことで気が抜け、ほっと一息。ディレクターのヨコオさんやスタッフたちはリラックスモードで思い思いのドリンクをいただいていました。
スタッフ達が「今年のGDCもこれで終わりか」と、それぞれが想いを巡らせていたとき……『NieR:Automata』の名前が呼ばれてしまったのです。
「ヤバイ!!」と、あわてて田浦がヨコオさんにマスクを被せているシーン。
まさか受賞するとは思わず、慌ててマスクを被って小走りで舞台に上がる瞬間…… pic.twitter.com/i2oxUEJ43g
— 田浦 貴久 / Takahisa Taura (@PG_taura) 2018年3月22日
タイトルが読み上げられた時は一同、何が何だか分からなかったのですが、Audience Awardという事前のオンライン投票によって選出されるという大変名誉ある賞ををいただきました!驚いている我々を会場の皆さんが温かく祝福してくださり有難かったです。そして、何より『NieR:Automata』に投票してくださった皆さま、ありがとうございました!
今回、GDCに出張していたプラチナゲームズのメンバーから
田浦:GDCで講演させていただくとともにGDCAの授賞式にも出席でき、本当に良い経験をさせていただくことができました。支えていただいた全ての方々に心から感謝しております。そして、開発チームの皆様へ。Audience Awardおめでとうございます!
木幡:GDCで講演をさせていただきましたが、そもそもGDCどころかUSA上陸も初の事だったので一気に貴重な体験をしてしまいました……。受講者の皆様もあたたかく迎え入れてくださり、日本から技術を発信していくことの意味を改めて強く感じました。そして、専門用語が多いオーディオの講演を無事終わらせることができたのはローカライズチームのAndrewが超頑張ってくれたからです!多謝!
進藤:今回のGDC視察では、制作時間4時間超えの気合をいれたNieR仕様のネイルで臨みました!(※記事の最後のオフショット画像をご覧ください↓↓) 会場受付の方がネイルを見て大興奮してくださり、NieR人気の凄さを改めて実感。また、木幡のセッションで、サウンドデザインに関する質問があった際飛び入りで登壇させていただいたのを、聴講者の皆さんが拍手で迎えてくださったのには、挑戦の日々を思い出し目頭が熱くなりました。そして、Audience Awardの受賞!本当に素敵なGDCになりました!改めて『NieR:Automata』という素敵な作品に携われたことを嬉しく思います。開発に関わった全ての皆様、本当に、本当におめでとうございます!!
アンドリュー: GDCには何度も来たことがありましたが、通訳者としてセッションに登壇させていただいたのは初めての経験でした。木幡には緊張しないよう、米国でよく言われる「(聴講者は)みんな裸だと思ったらいいよ」と事前にアドバイスをしていました。試してくれたかな?笑 (日本では「客はジャガイモだと思え」とか言ったりするみたいですね) プレゼンの際は非常に緊張しましたが、セッション終了後には好評の声をいただき、喜んでもらえたようで嬉しいです。
オフショット