こんにちは! モデリングとデザインを担当しております、髙橋剛です。
今作『ベヨネッタ3』では、魔獣のデザインと一部キャラのモデリングを行いました。

こちらの記事では魔獣デザインについてお話ししていこうと思います。
すべてではありませんが、現在明らかになっている魔獣についての映像をご覧ください。

はい、今作『ベヨネッタ3』はシリーズ作品なので、魔獣は二種類のカテゴリーに大きく分けられます。

  • 過去作でおなじみの魔獣
  • 今作で初めて登場する魔獣

過去作で登場している魔獣に関しては、これまでのイメージを踏襲しつつ、3の世界観に合わせられるように気を付けながらデザインすることが大切だと考えました。

また一方で、新たに登場する魔獣に関しては、シリーズの世界観が崩れないように意識しつつ、新鮮味も感じられるようにデザインしていきました。

どちらについても、「ベヨネッタ」の世界観への理解とディレクターとのコンセンサスが大切になってくることは言うまでもないと思います。

『ベヨネッタ3』では、ベヨ自身の魔法の力が過去作より強まっているという設定になっているので、これまでベヨネッタの髪の毛がもとになって具現化しているということを分かりやすく見せていた召喚中の魔獣も、今作ではより強力に実体化させています。

それまで体を隠していた髪がなくなり、全身がすべて明らかになったため、今度は髪に隠されていた部分のデザインを新たに決めていくという作業が必要になりました。

とはいえ、そのおかげで今作ではお馴染みの魔獣でも、また違った一面を見ることができて面白いのではないでしょうか。

では映像でお見せしたものを順に解説していきます。

 


マダム・バタフライ


 

前作からお馴染みのマダム・バタフライはアーティストの島崎さんにデザインを一新していただきました。

島崎さんのコメント:

マダムについては前作でも全身姿で登場していたのですが、今作にあたってディテールアップしたいという希望があり、それならいっそ新しい衣装の方がいいんじゃない?というので衣装チェンジになりました。

ゴスメタル的な雰囲気にしたくて最終的にはこういった衣装になってます。足回りはマダムは拳法家という設定があるので出すようにしており、モデラーのサントスさん作の太ももの筋肉の造形が素敵なのでぜひご注目ください。

同じくメイク周りについてもサントスさんがそれっぽく仕上げてくださって大満足です!

ちなみにこの設定画群を描いたことはすっかり忘れていたので、今回宮田Dより「今回コレ載せますよ」ともらってようやく思い出しました…。

びっくりした。

開発期間長いあるある…?

ちなみに、島崎さんはシリーズを通してキャラクターデザインに携わり、ベヨネッタはもちろん、ジャンヌ、エンツォ、ロダン、ルカ、それから今作で新しく登場するヴィオラのデザインも担当しています。

※『ベヨネッタ3』のベヨネッタとヴィオラのキャラクターデザインについてはこちらの記事を是非ご覧ください!
https://www.platinumgames.co.jp/magazine/detail/?id=16_89

 


ファンタズマラネア


ファンタズマラネアなのですが……

違った一面。

うん……

ある日、神谷さんが私の席に来たんですよ。

「ファンタズマラネアについて、ちょっと今回やりたいことがある」

と……

今回ファン君(親しみを込めて、ここではそう呼ぼう)は大きなところで言うと体表の色が変わっています。

これは、ファン君は生まれた時は体表が白く、成長していくと体表がより硬質化し、逆に年を取って弱くなると黒い姿に変わっていく、という設定によるものなんです。

そして体の中では前作通りマグマが渦巻いており、それを使って攻撃をしたりします。

マグマ使いも3ではより巧みになっております。

ファン君も今回は全盛期でついに真の姿を現した、という感じなのでしょうか。

『ベヨネッタ3』でまた新たな一面を見せてくれる、ファン君とどうぞ仲良くしてください。

 


マルファス


 

マルファスは、前作までのアートで隠れていた場所を新たに創造しています。

旧アートに加筆しているので、時代を超えたコラボですね!

決まっている部分は変えず、新しい要素とうまく融合できるようにとデザインしました。

 


バアル


こちらは、前作で隠れていた部分を新たにさらけ出したスタイルとなります。

カエルの中には背中で子供を育てる種がいると思いますが、そういった特性を持った魔獣です。

魔界では有数のシンガーの一面も持っていて、聴く者を魅了し、かつ恐ろしい災害を引き起こします。

背中のオタマジャクシ君はいずれ子カエルになるものと、爆弾として使われ息絶えるものがいて、やっぱり魔獣の世界は残酷ですね。

 


ミクトランテクートリ


この魔獣も前作からの登場となります。

兄弟魔獣で、融合状態により形状が変わるという設定で、縦合体、横合体と見た目を変えることができます。

前作では縦合体だったということですね。

今回は、隠された部分がなくなった縦合体と、新たに追加された横合体 兄弟分離状態をデザインしています。

合体状態により魔弾(ショット)が変わるという某シューティングゲームもびっくりの性能です。

 


戦闘機関車 轟怨(ゴウオン)


今回新規の魔獣となります。

国の防衛のため開発した武装機関車に、悪魔が取り憑いたというコンセプトでデザインしました。

一種の怨霊でもある魔獣の本体はヤドカリのようなもので、今回は機関車に寄生しましたが、また違ったものに寄生することもあるのでしょうか?

個人的には戦艦に寄生した姿も見てみたい!

操作方法は独特で、こだわったものになっているので、お楽しみに。

 


チェシャ


新規キャラ、ヴィオラと契約している猫型魔獣チェシャです。

よく見るとグロイが、見ようによってはかわいい(愛嬌がある)を目指してデザインしています。

片目は義眼でこの傷を負うに至った長い物語もあるのですが、これについてはいつか語られる時もあるでしょう。

ヴィオラの趣味に合わせて、和風モチーフを取り入れています。

契約した魔女と魔獣は相互に影響を受けあうということですね。

 

……いかがでしたか。

ざっくり語っていますが、ここで解説したことはゲーム上で語られるかもしれないし、全く何の影響もないかもしれない、そもそも開発者の妄想かもしれませんが、妄想したものが具現化されるのがこの業界です。書かれていない部分はユーザーの皆さんで自由に想像なさって、このゲームを楽しんでいただければ、制作者冥利に尽きるというものです。

では、発売まであと少しですので、今しばらくお待ちいただければと思います。


髙橋剛
Tsuyoshi Takahashi

プラチナゲームズ所属のキャラクターモデラー。『MAX ANARCHY』『TRANSFORMERS: DEVASTATION』『ベヨネッタ(Wii U移植版)』『ベヨネッタ2』『BABYLON’S FALL』の開発に携わり、『ベヨネッタ3』では魔獣のデザインと一部キャラクターモデルを担当。