はじめまして!
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』でアートディレクターを担当している、コンセプトアーティストの木村です。

(↑この人は『ASTRAL CHAIN』の公式ホームページでも紹介されている個人的推しキャラのマリーさんです! 元交通課で現在ネウロン隊員の女性警察官です! 声がいい! 好き! 声優さんってのはすごいですな……)


この作品では多岐にわたりディレクターたちとともに制作に深く関わらせていただきました。自身にとって初めてのアートディレクション、初めてのオリジナルタイトルがついに発売まであとちょっと、ということで非常に嬉しい限りです…!!

本作は、相棒の「レギオン」と協力してさまざまな連携攻撃を繰り出し、爽快に敵を倒すデュアルアクション!

それぞれが異なる特徴を持ち、時には戦い、時には道を開いたり、捜査を手伝ってもらったりと、常に行動を共にする5体のレギオンですが、今回はそんな彼らのデザイン過程を少し公開しつつ、その魅力を紹介させていただきます!

おっとその前にデザインといえば! 公式サイトや他の記事でも書かれているので、皆さんもうご存知でしょうが改めて……

『ASTRAL CHAIN』では、主人公を含むメインキャラクターのデザインを 桂正和 先生 に担当していただいています!
『TIGER & BUNNY』や『ZETMAN』を見てきた世代の自分としては、まさかその桂先生にキャラクターデザインを担当していただけることになるとは思ってもおらずビックリしました! 先生のヒーローデザインが以前から好きだったので胸アツです!

そして今回紹介するレギオンたちの中で最初に操ることになる「ソード・レギオン」も桂先生がデザインしてくださいました! デザイン画はこちら↓!


【ソード・レギオン[製造番号:SV-05]】

桂先生が今まで描かれてきたヒーローとは一味違った独特のシルエットと、この流線的で綺麗なデザイン! 警察の生体兵器であり、ヒーロー感もある見た目! かっこいいですね!(早く誰かフィギュア化してー!)
このデザインを基に、その他のレギオンたちのデザインも制作されました!
ここからは、その当時のことを振り返ってみたいと思います。


まず開発序盤。……そもそも開発序盤は、実はレギオンという存在は無く、敵であるキメラを捕らえ従えて戦うゲーム性で、右の絵のような雰囲気でした。そこへある時から「警察側にヒーロー感のあるちゃんとした相棒が必要だ!」という話が出て、レギオンという存在が、産まれることになったのです。

下の絵は桂先生にデザインしていただく以前に社内で検討していたアイデアのアートです。

ざっくりとしか描かれていませんが、この頃は“ヒーロー”っぽさと主人公たちの“相棒”というキーワードを基に人型で検討されています。目もあり、会話を可能にするかも悩んだりしていました。(ゲームを通しての特撮的なノリや演出はこの頃から徐々に意識され始めました)

主人公もまだアイデアレベルです。最初のレギオンは主人公の性別をそれぞれ意識したデザインで考案されており、レベルアップによる進化でガード特化のパラディン系、スピード特化の忍者系などさまざまな姿に変わっていく要素なども検討されていました。

その後、桂先生から先ほど紹介したソード・レギオンのデザインをいただき、そこに含まれていた頭や肩の特徴的な輪っかパーツや、その他のかっこいいディティールを参考に、上のアートのような人型以外のパターンも含めた派生バリエーションを考えました。

この辺はアニメーター中城のブログ記事「選び抜かれた5体のレギオン!」でも書かれていた内容ですね。変幻自在で主人公の攻撃とともに武器になっちゃうヘビ型のレギオンや、空を飛べるタイプのレギオンなども描かれていますね。(ちっこいレギオンとかは個人的に気に入っていました)

そこから要素/役割の重複を避けるため、徐々に統合や厳選が行われ……
今のレギオンたちが生み出されたのです!


【アックス・レギオン[製造番号:SV-01]】

※絵は開発初期ラフです。

攻防一体! 重い一撃で相手の防御を崩し、逆に相手の重い一撃は武器でガード! と、護衛もお任せなレギオン。とにかくその大きな武器が特徴! このレギオンに関しては武器にパトカーみたく「POLICE」を目立つように入れています。(他レギオンも含め、敵との差別化のためできるだけスポーティでかっこよくなるよう、武器やボディのデカールはさまざまなバランス調整を経て作られました! バランスがとても難しかったけど、やりがいがありましたな……)

ソードタイプとの体格差をつけるために、基礎部分は同じにしつつもアシンメトリーで右腕側に装甲を多めにしたり、腰パーツで下半身をどっしりさせてバランスを変えています。



【アーム・レギオン[製造番号:SV-02]】

※絵は開発初期ラフです。

ロケットパンチ! おらおらぁ! 腕を勢いよく飛ばして殴ったり、ぼこぼこ敵を殴れるタイプが欲しくて提案したのがきっかけで出来たレギオンです(笑)分離した腕を使ってモノを運んだり、遠くにいる敵を掴み引き寄せたりできる、見た目とは裏腹に実は器用で便利な存在。そのうえまだ他にも隠れたギミックが仕込まれていたり……

見た目のロボットっぽさから、デカールをデザインしていて楽しかったキャラでもあると記憶しています!


ビースト・レギオン[製造番号:SV-03]

※絵は開発初期ラフです。

開発中のキーワードとして頻繁に出ていた、K-9(警察犬)をモチーフにしたレギオン。相棒にぴったりな存在ですな! 嗅覚に優れたレギオンで、犯人追跡などで役立つことでしょう! 背中に乗り敵をばっさばっさと薙ぎ払えるのも快感!

主人公が乗るといろんな箇所が干渉してしまうので、背中周りのデザインが難しく、モデラーとともに調整に時間のかかった子です。しかし背中に乗って走り回りたくて頑張りました!


さりげないことですが、ゲーム中頭をなでることが可能なので是非可愛がってあげてください! 犬好きにはたまらんですな。犬は良いぞぉ!



アロー・レギオン[製造番号:SV-04]

※絵は開発初期案です。

静かに浮遊移動でき、遠くの敵を華麗に狙撃! 潜入ミッションを想定した、ステルスを得意とするレギオンとして考えました。シルエットに特徴を持たせるため、武器は大きな弓をモチーフにしています。弓を振り回しつつ敵をバンバン倒すアクションが出来たらきっと映えるなぁという想像もしつつデザインをしていました。弓の角度によって浮遊パーツも連動して、地面に刺さらないように親切に傾いてくれたりする、ちょっとしたこだわりも入っています。

さて長々と書いてしまいましたが、彼らのアクションシーンが動画で見たくなった!という方は是非ホームページで確認してみてください! ↓
(((((https://www.nintendo.co.jp/switch/ab48a/legion/index.html)))))

全員集合!

レギオンたちは桂先生の素晴らしいデザインの再現も含め、何度もモデラーと試行錯誤を繰り返し続け、こだわりをもって制作しました。ゲーム中にはカメラ機能などもございますので、ぜひそんな彼らを撮影してお楽しみください!!

さてさて、敵のキメラやネウロン隊員たちなど、紹介したいことは他にもいろいろありますが、今後のブログで少しずつ紹介していこうと思いますので、今回はこの辺で!



アートブック

ちなみにですが、豪華版『ASTRAL CHAIN COLLECTOR’S EDITION』にはアートブックが同梱されます! このアートブックには、今回紹介したようなレギオンが誕生するまでの桂先生のさまざまなラフを筆頭に、このゲーム全体の制作過程が垣間見える……いや! 丸見えになるほどたっぷりとアートが詰めこまれちゃっているので、ぜひ豪華版を購入していただいて、アートブックをお手元に置いて眺めながらゲームしてください!! (ネタバレも大量にありますので、クリア前の開封にはご注意ください)

せっかくなんで、そんなアートブックの中身をちょこ~~っと公開しましょうかね…

これは先ほど紹介していたレギオンに関するページです。
細部にわたる設計や開発中の指示メモなども書かれており、さまざまなことがた~っぷり盛り込まれていて読み応えありだと思います! 桂先生のページもたくさんあるので一見の価値ありです!

これはNPCページ。マックス隊長ですね! NPCもゲーム中では語られていないような、ちょっとしたストーリーや設定が当時の開発メモとして残っていますので、読んでみると面白いかもしれません!

こんな豪華なアートブックまで付けていただけるとは思ってもいなかった……
それでは! 是非よろしくお願いします!




kimura木村 元 Hajime Kimura
2014年にプラチナゲームズにコンセプトアーティストとして入社。『ASTRAL CHAIN』ではアートディレクター/コンセプトアーティストとしてグラフィック全般の監修とデザインの制作を担当している。