『VANQUISH』でエフェクトを担当させて頂いた木戸と申します。
今回は「ブースト」についてお話をさせていただきたいと思います。

『VANQUISH』のゲーム的な特徴のひとつになっている主人公のアクション「ブースト」ですが、開発中に導入された当初は単なる「スライディング」でした。

ステージ上での動きは面白いものの、特徴となるアクションとして絵的に今ひとつ弱い、と言われていたのですが、そこで出たネタが

「腿の辺りのこの出っ張りのディティールをチョイと変えて、そこからドバーっと噴射効果出したら良い感じなんじゃないか?」

「しかも後ろだけじゃなくて適当な方向に噴射出来る様な仕組みにすれば、時々主人公が不意に発揮するわけのわからない運動能力の絵的な理由付けに、ならなくも無いんじゃないか?」

みたいなものでした。

そんなエフェクト側からのネタに、主人公担当モデラーのハットリさんがナイスな展開ギミックを加えてくれたものが、現在の「ブースト」となりました。
プラチナゲームズの開発では、割とこんな感じにその場で皆が出したネタが実際にガンガン盛り込まれつつゲームが作られています。

この「ブースト」、高速移動時に目立ちますが、飛び降り時や側転時等にも、地味に一瞬作動してたりします。
更に、腿からの噴射程目立ってはいませんが、実は腕にも同じ機構が仕組まれていて、パンチを繰り出す時等に作動しています。
腕を分離しないロケットパンチみたいなノリです。
ひとつ使い方を間違えれば、両肩脱臼位はしそうな危険な機構に見えます。

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主人公のスーツには割とこの様な細かい動作がイロイロと仕込まれているので、マニアックな方はじっくり観察してみて下さい。