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『VANQUISH』でエフェクトを担当させて頂いた木戸と申します。

「エフェクトって何だよ」という方もいらっしゃると思いますが、ここで言う「エフェクト」とは
ゲーム内で描かれる、爆発、衝撃、破片、煙、炎、火の粉、噴射、照明、弾丸、薬莢、ミサイル、ビーム、等々、
そんな感じのもの全般と思って頂ければ、ほぼOKです。

さて『VANQUISH』のエフェクトについてですが、
開発初期の段階からのディレクター(匍匐前進大嫌いを公言)の「プレイヤをいつまでもカバーポイントに隠れさせて置いたりはせずに、ガンガン先に進ませる」「敵キャラはロボット中心 倒すと爆発 そして一度に沢山出す 特にザコは」といった言葉から、他の人間対人間のシューターには無い派手さを持った絵が作れそうな予感がありました。

銃弾飛び交う中、もういいです助けて下さい、とか言いたくなる位の勢いでドッカンドッカン爆発が起こり、破片が飛び散りまくる。
そうだ、シンプルにとにかく量で攻めよう。それを『VANQUISH』のエフェクトの特徴としよう。
誤解を恐れつつも敢えて乱暴な言い方をしてしまえば、「質より量」 と言うよりはむしろ「量こそが質」で行こう。

もちろん、ただ単に量にだけ走って絵としての質が落ちてしまうと元も子も無いので、そこは一定のクオリティを保ちつつも量をガンガン出す、という感じで。
その分、効果音も大変になるだろうけど、そこはまぁ何とかするだろうと。

そうやって方針が決まると、仕事もし易くなります。「仕様で迷ったら、量が出る方を採る」という考え方が出来る様になるからです。

しかし、何も考えないでただ数だけ増やしてしまうと、処理も描画もどんどん重くなり、アクション性のあるゲームとして成立しなくなってしまいます。
なので、ある程度の表現力がある処理を如何に軽く作るか、そして許容される負荷の範囲内で如何に多くカッコ良く見せるか、という辺りが担当プログラマーやデザイナーの各々の腕や互いの連携具合の見せ所になります。

そういったアレコレの工夫やら何やらの結果、安定して物量感のある表示が可能になった『VANQUISH』のエフェクト。
大小様々な物々が大量に見える様に作ってありますし、実際に出てもいます。
破片が飛び散りまくりですよ。

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個人の趣味の話になってしまいますが、破片って良いですよね。
デカ目のコンクリートの破片も良いですが、細かく粉砕された小片や舞い散る土くれやなんかも堪らんものがあります。

映画を見たりする時にもつい「今のは良い破片だ」なんて言ってしまって、傍にいた奴から「その着目点の意味が解らない」とか言われてしまったりもしますが、仕事に活きるならまぁいいじゃないか、という。

そんな風にして開発された『VANQUISH』
興味を持たれた方は、是非プレイして、巻き起こるイロイロの中を逃げ惑う派目に陥ってみて下さい。これに慣れると他のシューターが比較的平和に見えてきます。
そして、飛び散る火花の一粒にまで込められたエフェクト担当者達の思いを、気の所為でも良いので感じ取って頂ければ、我々としても幸いです。