みなさん、初めまして。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』でリードサウンドデザイナーを務めさせていただきました、小西 悠介です。この作品を皆様に体験していただけていること、大変うれしく思います。

 


サウンドデザインのコンセプト


さて、『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』を既にプレイしていただいた方はご存じの通り、本作は今までのベヨネッタシリーズとは、まったく異なる遊び、ビジュアルデザインのゲームです。今までとは異なるこのゲームをより面白くするためには、絵本という特徴を際立たせるためには、どんなサウンド表現が良いだろうか?とサウンドスーパーバイザーを務めた進藤さんを含め、チームメンバーと話し合いました。

その結果、今作のビジュアル的な特徴である「絵本の平面的なグラフィック表現」に対して、「飛び出てくるような立体的なサウンド表現だと面白いのではないか」という結論に落ち着き、【音が飛び出す絵本】というサウンドのコンセプトの元、立体的な音作りに注力しました。

 


立体的な音を感じる


まずは、『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』における立体的な音を体験していただくために、こちらの動画をご視聴ください。

※ヘッドホンやイヤホンをお持ちの方は、是非装着してご視聴いただければ幸いです。

 

耳元がゾワッとするような感覚や「なんだかいつも聞いている音と違う」と感じていただけたら、我々の思惑通りですね。(笑)

 


特殊なマイクを使った収録


ゲームの冒頭、セレッサは悪夢の中で彷徨っていると村の人に罵倒されるシーンがあります。

あの罵倒する声は、収録済みの声に対してエフェクトをかけたものをスピーカーから再生して、立体的に収録できる特殊なマイクを使って再度収録しています。

このマイクはASMR動画にも、よく使用されているマイクで、上手く使えば脳をくすぐられているような独特の立体感のある音を収録することが出来ます。収録風景と実際のゲームの映像を収めた動画がございますのでご視聴ください。

 

スピーカー(音源)がマイクの周囲を移動することで、音に動きが出て、より自分の耳元で言われているように聞こえませんか?罵倒される怖さや気持ち悪さなど、セレッサと同じ感情になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 


環境音の収録


実は、アヴァロンの森の中で聞こえる「木々の揺らめき」やセーブポイント近くで聞こえる「鳥のさえずり」は、某公園にて、先ほど出てきたマイクで収録したものになります。草木が擦れる音や鳥の声を森という空間ごと感じられると思います。

録音している間は、基本的に静かに待つだけなのですが、マイナスイオン感じる澄んだ空気と鳥のさえずりに身も心も洗われました。木々の揺らめきはアヴァロンの森全体で聞こえますが、鳥のさえずりは、アヴァロンの森の中にある「魔女の隠れ家」で聞こえるようにしていて、小鳥がさえずるくらいセレッサとチェシャが安心して休める場所ということを暗示しています。「魔女の隠れ家」の空気感に癒された方もいらっしゃるのではないでしょうか?

 


ASMR – おすすめスポット


私が『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』のおすすめスポットを勝手ながら厳選させていただきました。自然が奏でる音色を美しい景色と合わせてお楽しみください。

  • モルガナの家(00:08~)
    ストーリー開始時くらいしかいけない場所なので貴重ですね。池の周りの水が揺れる音やカエルの鳴き声に、田舎風景のような懐かしさを感じるかも・・・?
  • みどりの楽園 – 魔女の隠れ家(05:07~)
    緑溢れる自然の音に包まれながら、丘の上から見下ろす景色は別格です。
  • こもれび広場 – 魔女の隠れ家(10:07~)
    暖かい光を感じながら、木々の揺れめきと鳥のさえずりをご堪能下さい。
  • ましろの幹 – 魔女の隠れ家(15:07~)
    滝の水しぶきの中に微かに聞こえるヒトダマ・・・?
  • 飛竜のほとり – 魔女の隠れ家(20:07~)
    自然が作り出す広大な景色と音をお楽しみください

皆さんも、お気に入りのスポットを探してセレッサとチェシャと共に冒険してみてください。

 


最後に


これからプレイされる方だけでなく、既にクリアされた方も、『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』の音に耳を傾けながらアヴァロンの森の中をセレッサとチェシャと共に歩を進めると、新たな発見があるかもしれません・・・。

ご清覧ありがとうございました。

 


小西 悠介
Yusuke Konishi

2019年 サウンドデザイナーとしてプラチナゲームズに入社。『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』では、リードサウンドデザイナーを担当。本作品が入社後、初参加タイトルとなる。