BABYLON’S FALLリードコンポーザーの山口 裕史です。
今回はBABYLON’S FALLの音楽について、紹介していきます!


音楽コンセプトについて


本作の音楽のコンセプトはズバリ、“ミディーバルサウンド (Medieval Sound)”です。「中世ヨーロッパの楽器や音楽をフィーチャーする」という方針を軸にしつつ、それに縛られすぎず自由な発想で楽曲を制作しました。

どんなところがミディーバルなのかと言うと……、たとえばタイトル画面直後の「キャラクターメイキング/選択画面」の音楽は、ツィンク(Zink)、サックバト(Sackbut)という古い金管楽器の四重奏となっています。


ツィンク … 濱田 芳通さん
テナーサックバット … 宮下 宣子さん、南 紘平さん
バスサックバット … 三谷 祐加さん

 

センチネルたちが集う街、「河港街クマル」の海辺に座っている「吟遊詩人のレトー」は、リュート(Lute)という古い弦楽器を奏でています。

リュート … 櫻田 亨さん

 

初めて挑むクエスト「市民廻廊」のフィールドや戦闘時には、
ヴィオラ・ダモーレ(Viola d‘amore)
ヴィオラ・ダ・ガンバ(Viola da gamba)
という16~18世紀ごろに西欧で用いられた弦楽器の音色を聞くことが出来ます。


ヴィオラ・ダモーレ … 原田 陽さん
ヴィオラ・ダ・ガンバ … 田中 孝子さん

 

ヴィオラ・ダ・ガンバ … Sofia Radilovaさん

 

三つの例をご紹介しました。
正確には中世より少し後の時代に用いられた楽器も含まれていますが、チーム内にサウンドコンセプトを定着させるため、“ミディーバル”という分かりやすい言葉を開発用語として使用しました。油彩画のようなグラフィックからヒントを得て、ヨーロッパの古楽器について調べてみたのがきっかけです。

古楽器が奏でる音は独特でとても魅力的なのですが、現代の楽器と比べると機能的に劣る面があり、音の響きや奏法にも制約があります。それが「自由を奪われたセンチネル」のイメージにぴったりだと考えました。

また他にも、 ガイダ(Gaida)ガドゥルカ(Gadulka)などの伝統的な民族楽器も登場します。
どこで使われているかは、ぜひゲーム中で探してみてください。

ガイダ … Petyo Petrov さん

 

ガドゥルカ … Borislav Gulabov さん

 

「踊る海豚亭」で「元センチネルのシュワミナ」が演奏する音楽はジプシー・ジャズを参考にしました。まったく“ミディーバル”ではないです。
ケルト風にするかどうかで迷ったのですが、「ウマイ酒と料理が、異国の地で明日の命もわからぬセンチネルたちの葛藤や不安を、ほんのひと時だけ洗い流してくれる……そんな心のよりどころ」的な哀愁感を出したく、最終的にこのような音楽にしました。

バイオリン … Stoimen Peev さん
アコーディオン … Georgi Velichkov さん
ギター … Kiril Georgiev さん、Boyan Hristov さん
ベース … Boris Taslev さん

他にも、「メロディはミディーバルな楽器だけど曲調はそうでもない曲」や「シンセサウンド x ミディーバルサウンドな曲」、など、ミディーバルサウンドを軸にゲームの世界観にあわせて様々な音楽を取り入れ、独創的な世界観の構築を目指しました。

 


ボス戦の音楽


ボス戦の音楽は本作の音楽の中でも特に力を注いだ箇所になります。
ここでは中世・ルネサンス以降の「バロック」や「古典派」と呼ばれる時代、いわゆるクラシック音楽のシンフォニーを彷彿させるような荘厳なサウンドを目指し、ブルガリアでフルオーケストラとコーラスの大規模なレコーディングを行いました。
ゲーム中最も音楽がドラマティックに盛り上がる場面であり、強大なボスたちの個性やバックボーンを感じてもらえる曲に仕上がっていると思いますので、ぜひプレイ中に耳を傾けていただければ幸いです。

 

Sofia Session Orchestra & Choir のみなさん

サウンドトラックの紹介最後に、サウンドトラックをご紹介します。本編で使われている全86曲を収録した豪華5枚組です!



公式サイトでいくつかの曲の試聴が可能となっておりますので、ぜひお聴きください。それでは、今後も広がり続けるBABYLON’S FALLの世界に、どうぞご期待ください!

 


本記事はBABYLON’S FALLプレイヤー専用コミュニティサイト『Hanging Garden』の投稿記事の転載です。BABYLON’S FALLに関する最新情報は『Hanging Garden』(https://hanging-garden.babylonsfall.com/)からご覧いただけます。