こんにちは、デザイナーの島崎麻里です。

本作ではキャラクターデザインとキャラクターアートディレクションを担当させていただいています。

今回はキャラクターデザインその④として、新システムの「デーモン・マスカレイド」のデザイン画を最終モデリング動画と共にご紹介させていただきます。

そもそもデーモン・マスカレイドとは、ベヨネッタと魔獣との融合体になります。

この新システムが生まれた流れとしては、武器も魔獣も増え、ベヨネッタの契約魔獣が何なのかがわかりづらくなってきたという事情や、諸々ありまして、ベヨネッタの身体にも魔獣の力が顕現する様にするといいのでは?と
誕生したのが「デーモン・マスカレイド」です。

これにより、ベヨネッタがどの魔獣と契約しているかが分かりやすくなると同時に、ユニークな技と姿を獲得する事となりました。(…との宮田D談です。)

個人的には画面的にも華やかな変化が出て、より魔女らしくもなりよかったのではないかと思いますが、同時に作業量は爆上がりで、終始自分たちの首を絞める形になりましたね…。なんとかやり切れてよかったです。

デザインコンセプトとしてはただ単に合体しただけではなく、分子レベルまで分解され再構成された姿…という形を意識してデザインをしています。

魔獣の方で有機的かつ生物的なデザインを多く入れているので、デーモン・マスカレイド達は装飾品やアクセサリーのような、少し人工物なイメージ…、美術品や服飾を感じさせるような印象にしたいと考えました。

顔周りについては「俺が綺麗と思える範疇にとどめておいてほしい…」との神谷SDのご要望でしたので、人+αくらいの範囲で構成してます。

では個別にご紹介していきます。


デーモン・マスカレイド:マダムバタフライ


まずはデーモン・マスカレイド:マダムバタフライです。

さて、マダムバタフライ型は元々マダムが人型なので、そことの差別化から考え始めています。

マダムが力強く美しい印象なので、ベヨネッタに落とし込んだ場合はもう少し可愛らしい部分もあっていいのではないかというので、お団子のようなファーを髪の毛代わりにつけています。

手足は魔獣の特徴を出すのに変化は必須なので、ボディトルソーはその分、女体の肉体美を装飾的なラインやアクセサリーのような質感を入れることで綺麗に見せるようにしていますね。

余談ですが、ベヨネッタの影にも、デーモン・マスカレイドの姿は反映されています。『ベヨネッタ1』や『2』の時はマダムバタフライの姿でしたが…、武器を装備をした際、都度地面を確認してみるとまた面白いかもしれません。


デーモン・マスカレイド:ゴモラ


次はデーモン・マスカレイド:ゴモラです。

ゴモラは初期に印象が決まった個体でした。

マダムをある程度可愛らしくしたかったので、ゴモラはストレートにかっこいいテイストに振っています。

他の個体もそうですが、せっかくの人外枠なので、キャラクターだとできないようなデザインにもしたく、肌(と便宜上呼びます)の色を変えたり、露出部分を思いきった形にしたりしています。

人の形は踏襲していますが、人ならざるモノの魅力をいかに入れれるかも、デーモン・マスカレイドデザインの楽しいところでした。


デーモン・マスカレイド:ファンタズマラネア


次はデーモン・マスカレイド:ファンタズマラネア。

蜘蛛足がついている素敵な個体です。

先ほどのゴモラでもコメントしましたが、こういった人体にはついていない要素があるのが人外、亜人デザインのやり甲斐のあるところです。

初期のラフではベヨネッタらしさを出したくて、もう少し服飾に寄せたデザインなども試し、フリルなども入れたりしていたのですが敢え無く没に。
(その後フリルの要素はデーモン・マスカレイド:バアルで入れれました。満足。)

でもどこかで繊細さを出したく、せめて足はそれでは本来立てないほど先端の細い形にさせていただきました。他のマスカレイドデザインでも一部コメントをもらったのですが、理論派のスタッフからするとこういったものは現実的ではないデザインだ、という感想ももらったりもしましたが(それもわかる。)、それをわかった上で架空の理想のイメージに持っていくのもこの仕事の醍醐味のひとつかなと思っているので、そのまま通してくれた宮田Dには感謝ですね。

デザインはその時々のコンセプトに合わせて出力の仕方が変わるものだと思うので、どれが絶対正解、ということもないと思っており、『ベヨネッタ』はその点、説得力も必要ではありますが、それよりもノリが大事だと思っています。


デーモン・マスカレイド:マルファス


次はデーモン・マスカレイド:マルファスです。

デーモン・マスカレイド:マルファスは、羽が特徴的であり、悠然と飛ぶ形になるかなと思ったので、トルソー部分は突起物はあまりなくシンプルに、頭部もミステリアスな印象で。

あとはキラキラと反射するようにコイン状のアクセサリをつけさせてもらいました。

意図したわけではないですが、このデーモン・マスカレイド:マルファスは
「キャラクターデザイン③ βベヨネッタ」でもご紹介させていただいた「ベヨネッタβ3」のマスカレイドでもありまして、彼女にも似合う踊り子のようなデザインでまとまりました。

創作作業のおもしろいところだと思いますが、コンセプトや核を大まかに決めて、それに従い理想とする方向にあらゆる角度からつきつめていくと、別で作業していたものと勝手に繋がる時が度々あります。点と点が繋がり、線になる瞬間です。ゴールが同じ方向にあるからこそ自然と答えがそこに集約し繋がって行くのだと思いますが、意図しないで繋がった時はこの時点での正解が引けたのでは?とも思えて、とても面白いです。

いかがでしたでしょうか。

他にも魔獣の数の分だけ多彩なデーモン・マスカレイドが登場しますので、ぜひゲーム内でプレイしながらその技のネタや造形も楽しんでいただければ幸いです。

また、デーモン・マスカレイドにも、ベヨネッタのチャームポイントのひとつであるホクロが再構成されてポチっと存在しているのですが、主人公ベヨネッタとβベヨネッタ達のホクロの配置が違う為、バグチェックは至難の業でした…。ホクロの配置間違いを発見する度に、この首を絞める設定にうめき声をあげたのもいい思い出…?です。「だから言ったじゃん!!」という謎の独り言を終始連発する羽目になりました…。

ゲームが難しくてうまく進めない、ちょっと疲れたなー、などという時がありましたら、そういったグラフィックの細かいこだわり部分を見て、気分転換をしていただいてもいいかもしれません。


BAYONETTA 3 OFFICIAL ART BOOK


他のデーモン・マスカレイド達のデザイン画は、いよいよ2023年1月31日に発売の公式設定資料集「BAYONETTA 3 OFFICIAL ART BOOK THE EYES OF BAYONETTA3」で見ることができます。

そちらも楽しんでいただけましたら嬉しいです。

▼商品詳細
公式設定資料集「BAYONETTA 3 OFFICIAL ART BOOK THE EYES OF BAYONETTA 3」
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URL:https://ebten.jp/p/s/7015023013101
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島崎麻里
Mari Shimazaki

フリーランスのデザイナー。キャラクターデザイナー、アートディレクターとして『ベヨネッタ1』『ベヨネッタ2』『ベヨネッタ3』他、様々な作品に関わる。
twitter:@MariShimazaki