『ベヨネッタ3 』キャラクターモデラーの河西です。
今回は、新魔獣”チェシャ”のモデリングと質感についてお話します。

今作で新しく出た魔獣はチェシャ以外にもたくさんいますが、チェシャは新キャラであるヴィオラの操る魔獣で、ベヨネッタの操る恐ろしげな魔獣たちとは違い、コミカルなキャラクターとなっています。

チェシャの場合は二足歩行、四足歩行どちらにも対応させたり、口を大きく開けられるようにすることと、毛の質感を表現することが結構大変でした。

モデリングが一旦終わると、次はゲーム上で動かしたときに問題ない構造を作るところに注力しました。

3Dモデルの場合に発生する大きく変形させたときの歪みや破綻が起きないような骨の仕組みやメッシュの作り方をしています。

※メッシュとは、頂点、エッジ、面で構成され、3D 形状を定義する多角形表現(三角形と四角形を含む)のこと。

 

チェシャは画面上に大きく映るため、気持ちいいアクションを優先させるためには処理の最適化が重要となります。

アクションゲームとしての爽快感を損ねることなく、ぬいぐるみのような質感表現絶対!という条件で開発を進めました。

さて、マテリアル作成の考え方としては、要素の理解と分解が必要になります。

何故こういう見え方になるのか、というものを物理的に考え必要な要素を抜き出してしまえば、あとは実装するだけです。

チェシャでは毛先に反射する光、毛の根本に入る遮蔽、その中間の3要素があれば大体それっぽくなるという理論のもとにマテリアルを作成し、思った以上にいい表現ができたと思います。

実際にゲーム上でチェシャを操作して、その愛らしいしぐさと一緒に見ていただければと思います。

それでは。


河西 稔
Minoru Kasai

プラチナゲームズ所属のキャラクターモデラー。『VANQUISH』、『The Wonderful 101』の開発に携わり、『ベヨネッタ3』ではモデリングとマテリアル作成を担当。