どうも!エンバイロメントアーティストの亀岡です。
『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』では主にアストラル界やホログラムなどを作っていました。
本作の魅力の一つは舞台となる近未来都市です。
近未来都市といえばホログラム! そして、ホログラムといえばアニメーションしますよね!
それらを表現するために本作で(個人的に)多用したのが “UVアニメーション” というテクニックです。
UVアニメーションは古くからあるテクニックですが、使い方一つでさまざまな表現が可能です。
というわけで、今回はUVアニメーションを使った表現についてご紹介していきます!
・・・と、その前に「そもそもUVアニメーションって何やねん!」という方のために簡単な解説をしていきます。
■UVアニメーションとは?
まずUVについてです。
UVは2Dテクスチャを3Dモデルの面に貼り付けていくために3Dモデルを平面に展開したもののことです。

UVアニメーションはこの展開図を動かすことによって、モデルの表面の2Dテクスチャをアニメーションさせる手法のことを言います。
これでUVアニメーションについてご理解いただけたはず! ということで、これを本作にどのように使用したのかを、実際に簡単なものを作成してご説明します。
■ホログラムをつくってみよう!
こちらの動画はショッピングモールのホログラムです。
投影が乱れて像がぶれていますね。
実はこの像のぶれをUVアニメーションで制御しています。
上記のUVの説明で使用した立方体を、この動画のように「ぶれるホログラム」へと編集していきます。
- まず “ASTRAL” の文字が入ったテクスチャとは別に出たり消えたりするためのマスクテクスチャを画像の上半分に作成します。
↑マスクテクスチャ(白が表示されて黒が透過します)
→マスクテクスチャを適用して一部透過した例 - 上半分を白黒反転した画像を下半分に割り当てます。
- 次に3Dモデルの作業に移り、先ほどのマスクテクスチャ用のUVmapを追加で作成します。
- 作成したUVをZ方向に投影します。
上:Z方向に投影したUV 下:Z方向投影のイメージ図
- 投影したUVを左上の白い領域に縮小して配置します。
↑UVを左上の白い領域に配置したことによって3Dモデルの透過部分がなくなった。
- 3Dモデルの位置をずらして複製します。ずらし具合は適当で大丈夫です。
- 複製したモデルのUVを画像半分下に移動します。
↑複製したモデルのUVを下半分に移動したことによって完全に透明になった。
- 両方のモデルのUVを選択して動かすと・・・
・・・片方のモデルが表示しているときにもう一つは消え、あたかも映像が乱れてぶれているかのようになります。
他にも本作でのUVアニメーション表現をいくつかご紹介します。
・ネウロンロゴ
UI担当者が作成したネウロン部隊のアニメーションロゴをUVアニメーションで再現しました。
・フレームホログラム
証拠を強調するフレームです。
出現や消失をUVアニメーションで表現しています。
・電飾風看板
明滅のパターンをUVアニメーションで表現しています。
・???
アストラル界にいる謎の物体、真相はぜひ本編でご確認ください!
ぜひ皆さんもUVアニメーションを活用してみてください!
それでは!
亀岡 昇平 Shohei Kameoka
『NieR:Automata』ではライティングアーティスト、『VANQUISH』、『MAX ANARCHY』、『ベヨネッタ2』ではエンバイロメントアーティストとして参加。背景に関する特殊な表現を担当することが多い。