今回の新人アニメーター枠の3回目を担当します松浦です。
(またまた関係ないイラストを描いたりして楽しんでます!)

私が記事を書くのは2回目です。前回は「ゲーム会社を目指す女性に伝えたいこと。そして、ポートフォリオでお悩みの方へ」を書かせて頂きました。拙い文章ですが、興味を持って頂けたなら今回もお付き合いをお願いします!

今回は“最初からやりごたえのある職場”としてプラチナゲームズでの経験を紹介させて頂くことで、どういう職場なのか少しでも伝わればいいなと思います。前回の記事で書きました、“新人だろうがアイディアや発言は全部きちんと聴いてくれる会社ですよ~”を掘り下げたいと思います。


では本題に入ります。


プロジェクトに配属されて最初に担当したのは雑魚のエネミーキャラクター

その頃は、なんとしてでも次に任せて貰えるキャラクターが自分の作りたいキャラクター(アクロバットな格闘系の動きができるようなキャラクター)になるように“めちゃくちゃこいつ(敵)らしいモーションを作る!!”と意気込んで、繋ぐ!という一心でアニメーションを制作しました。

そのエネミーは魔法を扱うキャラクターだったのですが、制作の際はそのキャラの性格、生態、を考え、参考用に動きが似ているスポーツを調べたりして、元気に怪しく、そしてプレイヤー側に 「あ、あの攻撃がくる!」「あのモーションから繋がる攻撃がうざい!」 と思わせるようなものを目指しました。
(↓その時のボールペンラフ画です。本来はもう少し服とか描いてます。)

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プレイヤーに攻撃を当てることが楽しくて仕方ないと言わんばかりに楽しそうに杖を振って、雑魚の癖に最後は少しかっこつける、うざい、そして発動する攻撃もうざい! などとも思ってもらえるように意識して制作していたため、敵キャラクターの重要性を考える良い機会になりました。

制作していた当時は“そのキャラらしさ”しか頭にありませんでしたが、今思い返すと意識していたことは的を射ていました。プレイヤーの気持ちよい操作感には敵の反応やアクションが必須だし、プレイヤーにどんな攻撃がくるのか、また攻撃がくること自体を知らせる予兆も大切です。避けて攻撃する気持ちよさ、防御で耐えてから攻撃に転じる、いろいろな駆け引き、プレイスタイルが生まれます。

その時制作したものは、後日、ディレクターから「キャラ性を考えているのが伝わった」という評価をもらえて、熱意が伝わったことが嬉しかったです。その甲斐あってか、次に任せてもらえたのはかっこいい系のプレイヤーキャラクターでした。


敵キャラクターからプレイヤーキャラクター制作へ。作り方が別物で“ゲームを作っている”という感覚がもっと強くなった

学生のときに制作していたものはかっこいいシルエットだけを考えていましたが、ゲームでは実際にゲームに出力した際の操作性、気持ちよさが大切です。もちろん、かっこよさは必要ですが、ラフの段階で必要なのは気持ちよさ、そこから肉付けしていくようにキャラ性やかっこよさを足してゆきます。このことはディレクターと直接やり取りをし始めて分かりました。そして今までプレイしたゲームなどを思い返したりして、動きとかっこよさと気持ちよさをより良いバランスで組み込んでゆくことを考えるようになりました。

これに気づくきっかけになったのは、ディレクターが要求してきたアニメーションに対して、自分の考えをプラスしたものを提出して見てもらった時のことです。

プラスした要素は敵キャラクターの時と同様にそのキャラクターらしく、動きとしてかっこいい、その前の攻撃方法から次に繋げる為の動きでした。攻撃と攻撃を流れるように繋げようとしたのですが、ボタン入力から発動までがディレクターが求めていたタイミングではありませんでした。

それでも私は、このキャラクターはクールで余裕たっぷりな性格というイメージなので、あまり獣っぽい荒々しい動きよりは、踊るように流れるような動きにしたい、とディレクターに伝えたところ、気持ちよさが出るようにタイミングを変えたり、ポーズを変えてみたりと、私のイメージしていた方向性で試行錯誤する機会をもらえました。

最終的にはディレクターの最初の要望のものに収まったのですが、頭から否定されたわけではなく、私の案をできる限り実現できるように試行錯誤する機会を与えてもらえたことが印象に残っています。ゲームに出してみて気持ちのよいアクションかどうか、繋がるリズムなどを考えるよい機会でした。

プラチナゲームズは新人であってもしっかり意見、アイディアを聴いてもらえるし、寧ろどんどん意見を求められる場所です。自分はもっとゲームを面白くできる、したいと思う熱量を持て余している方、燻らせている方は全力で放出できる場所ですよ!

私は学生のとき、熱量をうまく放出できる場所がなかったタイプの人間です。なので、同じ境遇の方はその熱量が消えないように燻らせておいて、放出できるタイミングで是非出し切ってください。我こそは! と思っていても、実際に製品としてのクオリティの“ゲームを作って”みないと分からないことや発見がたくさんあります。その発見がとっても楽しいし、面白くて仕事にやり応えがあります。

なんだか長くなってしまいましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございました!
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