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BAYONETTA 2 ベヨネッタ 2
○月×日:大阪府内某ビルの一室。本来であれば来客用の応接室であるが、今回はとある事情のため部外者の立ち入りは一切禁じられている。
最初に扉を開けて部屋に足を踏み入れた女性は『ベヨネッタ2』プロデューサーの黒田であった。緊張のためか忙しなく両目をしばたたかせながら、後続の男達を部屋に招き入れる。
呼び掛けに応じ、扉の陰からヌッと姿を現したのは高身長を誇る『ベヨネッタ2』ディレクターの橋本だ。黒田の隣に立った姿が “娘の進路相談に来た父親” のようにも見える、すさまじい身長差。そして顔は笑顔だが目が笑っていない、と来ればこれは “通知表を見せられる前の父親” の形相か。
続いて黒地にドクロマーク、「RISING」とロゴの入った物々しいパーカーで現れたのは齋藤。『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』のディレクターだが、今回は日本刀を携えておらず、丸腰での登場だ。少なくとも今ここで誰かを自由切断するつもりはないらしい。
最後に登場したのは『ベヨネッタ』『The Wonderful 101』のディレクター、神谷。
現在も次のプロジェクトの作業に追われている最中のはずだが、その色ツヤとズッシリした肉体的物理的存在感の前には人目を忍んだ何かしらのトレーニングの存在を疑わずにはいられない。ギヌロ、と効果音を口頭で発しながら睨みを一巡させると、ソファに腰を下ろした。戦闘態勢である。気温が2℃ほど上がり、室内は不穏な熱気に包まれた。
「それじゃ写真撮りますんで…」
沈黙に耐え切れず口火を切ったのはカメラマンだった。一同の視線が集まる。
カメラを向けられた黒田プロデューサーの心拍数が跳ね上がった。まばたきが唸りを上げて加速する―― 否、これはまばたきではない。超高速両目ウインクだ。地球の男にはそれが視認できないだけなのだ。しかしこの超高速両目ウインクのスイートスポットを地球ごときのカメラで捉えるのは困難を極める。カメラマンの指先も負けじと唸りを上げ、立て続けにシャッターが切りまくられた――。
本日、この錚々たる面々が各々の仕事の合間を縫って一堂に会した重大事とは一体何か。
“『ベヨネッタ(Wii U版)』および『ベヨネッタ2』の日本語音声収録が、どのように行われたのか” 当事者同士の記憶が忘却の彼方に追いやられる前に再び集まり、真実を突き止めることを目的とした秘密の会合……。
本来であれば音声収録にまつわる裏事情や、門外不出のノウハウが含まれるこれらの情報は闇から闇へと葬り去られてしかるべきところだが、そうした歴史の闇にこそ真実を暴く一筋の光明が必要と判断した私、にわかジャーナリストICHIが多方面に協力を仰ぎつつ秘密裏に事を進めた結果が、この一触即発の緊張状態なのである。
以下、これより起こる出来事を余すところなく記すつもりだが、この私の長年の経験によって磨き上げられた勘によれば、この雑談―― いや、密談が信じ難いほどの長時間に及ぶことは確実だろう。どうか覚悟を決めて読み進めていただきたい。
– 日本語音声収録秘話 –
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では始めさせていただきます。まず最初に、なぜ日本語ボイスを入れることになったのか、という経緯の説明から。 |
もともと『ベヨネッタ(前作)』から日本語ボイスを入れたかったんですけど、出来なかったので、今回入れました。 | ![]() |
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“『ベヨネッタ2』では日本語を入れる” ということがまず決まっていて、その後で『ベヨネッタ(Wii U版)』の移植が決定したので、“そっちにも日本語ボイスを入れよう” ということになった…ですよね? |
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それで、じゃあ声優を選定しましょう、って。 |
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アニメが絡んでたんじゃなかった? |
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アニメの話も並行してありましたが、一番先行して収録が必要になったのは『ベヨネッタ(Wii U版)』です。それで声優の選定をしなければならないという話になった時に “アニメも決めなきゃ。どうせなら一緒の声優さんがいいよね” ということで、任天堂さん経由でセガさんに打診をしてもらって。そうしたらスケジュール的にほぼ一緒だったので、じゃあ合同でオーディションをやりましょう、ということになりました。 |

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俺、日本語の収録ってしたことなかったから、日本語収録の現場って体験したことなかったし、ずっと英語ばっかりだったから、すげー新鮮で。やっぱり母国語で喋ってる声が聴こえてくるのって一番スッと入ってくるっていうか。素直に声優さんの表現している感情が入ってきて、「ああ、こんなカンジなんや、日本語の収録っていいなぁ」って思って。 で、「1(前作)」の時は俺と橋本くんはディレクター、プロデューサーという関係だったから…。当時から「日本語音声欲しかった」という声はあったじゃん。ファンから。で、席で話をしてて「ベヨをやるなら誰?」という話をしてて、吉村くんにしろ島崎にしろ2chのカキコミとかにしろ、みんな「田中敦子さん」って言ってたんだよね。 |
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僕もやっぱりいいなぁと思ってて、「ハマるんじゃないですかね」って話をしてたんですよね。 |
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俺だけ全然声優に明るくないから知らなくて。 |
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「じゃあ、いいんじゃない?(神谷)」って。 |
一同 | (笑) |
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そんなにもみんなが言うんだったら「じゃあ、田中敦子さんだよね」って。あ! そんで、そういうのがあったから、「1(前作)」の時の… |
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MTV!(※2009年10月28日よりオンエアされたMTVのスペシャル・プログラム「MTV GAME SPOT supported by BAYONETTA」。田中敦子さんがベヨネッタ役としてMCを務めた) |
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そうですよね、MTVともう一個、特番のやつとTVCMがあって、僕と神谷さんが一緒に同席して収録した時に「めっちゃいい!」ってなって。 |
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あのねぇ~、容姿もめっちゃ良かった。 |
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めっちゃ綺麗ですからね。本当に。 |
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収録ブースに入る前に、打ち合わせじゃないけど… |
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“ベヨネッタとは”、とかキャラクターのイメージを伝える話をしていて、それを聞いている時は結構可愛いカンジの、か細いカンジなんですよね。 |
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細くて、声も全然あんなカンジじゃなくて、優しい、おとなしいカンジで。で、いざブースに入ったら、ものすごいイキオイで…。 |
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最初3パターンくらい喋ってもらって、その後神谷さんが「もう少しこんなカンジです」っていったら、ほぼ瞬間的にピントを合わせるカンジで。すぐに「あ、そのカンジで」ってなって、あとはチェックしやすかったです。 |
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チェックっていうか、その後俺、後ろの席で聴いてただけだから(笑) |
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担当の音響監督さんが「どうですか?」って聞いても神谷さん「うん、うん」って頷くだけで。 |

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そんな…。何年目なんですか(笑) |
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確かに(笑) |
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声優ってスゲーなぁって。 |
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改めて? |
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改めて(笑)日本語っていいなぁって。やっぱり、英語で聴いている時と違う感動があったよね。 |
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英語だとカッコイイですからね、普通に喋っててちゃんと。 |
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それがあって、完全に田中敦子さんという存在が、もう我々の中に定着して「ベヨは田中敦子さん」って。 |
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“田中敦子さん=ベヨネッタ” になりましたよね。みんなは攻殻機動隊とかいろいろな形で知っているんですけど、改めて「ベヨの田中さん、やな」みたいな。 |
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あと、2ch読んでたら「バルドルは若本さんやな」ってみんな言ってるから 「じゃあ、若本さんで」 って(笑) |
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驚愕の事実ですね。 |
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2chから…。 |
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2chと、あとニコ動から。 |
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バルドルは美輪さんって案もありましたよね。 |
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あった! あれは、もともと英語のオーディションをする時に、美輪明宏さんみたいな人、あるいはベルク・カッツェ(*)みたいな感じの中性的な雰囲気が欲しいって言って。実際に美輪さんが演ったら、良いかどうかは俺には分からん! (* ベルク・カッツェ:アニメ「科学忍者隊ガッチャマン」の悪玉。秘密結社ギャラクターの首領) |
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ファンタジーですね(笑) |
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若本さんはオモシロかったなー。 |
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オモシロかったですね。 |
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違ったバルドルになったよね。 |
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だいぶ違った、クセのあるバルドルですね。中性的ではない… |
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ただもう、聴いたら忘れないですよね。 あれ、神谷さんがボイスチェックされてたじゃないですか。離れたとこにいたのに、声に引き寄せられていきましたからね。「あれ、これ、喋ってるの、どのキャラなんやろうな?」って思ったら、バルドルやった(笑) |
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若本さん、リズムありますからね。 |
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もう若本さんのリズムのままに表現されているというのが一番…若本さん=バルドルになったというか。 |

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やられ声を収録する時に「ぐあぁぁぁ!って感じで」って、俺も一応、演じて言うからさ、そしたら「そんなの漫画みたいだろ」って言われて「ずあぁぁぁぁ!で行こう、ずあぁぁぁぁ!で」って(笑) |
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「この人(バルドル)、こんな喋り方しないよな?」ってことでした。 |
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これ、イイですよね。これブログの文章にして、実際ゲームでどんな感じで話してるのかなって、聴いてもらいたいですよね。 |
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あの音声って結局どこに使ったんだったか…。 |
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エンツォ役の高木さんもめちゃくちゃ上手かったですよね。 |
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ハマってましたね。アドリブも面白かったですし。 |
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アドリブ、「1(Wii U版)」ではどうでした? |
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すごい良かったよ。 |
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僕、「1(Wii U版)」の収録は一緒に居なかったので分からなかったんですが、「2」で尺が合わないところを結構アドリブを入れてもらってたんですよね。 |
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そうや! アドリブやってた! 「ハッとした!」とか。すごいな、アレ! |
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尺にピッタリ合わすアドリブを完璧にこなす手腕ってすごいな、って。 |
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バリエーションもいろいろでした。 |
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何パターンもやってくれるというか。 |
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車にエンツォがドスンと落ちて後から帽子が落ちてくるシーンで「あ、ハットした!」って(笑) そこに気付きのリアクションボイスを入れてくれ、って言ったら、勝手に「ハットした!」て言ったから、じゃあそれいただきで、って。 |
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「OKですかね?」って仰ってましたね(笑) |
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あれ、これ何のハナシだっけ? |
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どういう風に決まったか、ですよね。 |
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ああ、それで……「1(Wii U版)」の時は、ほぼケンジ(齋藤)に丸投げだったよね。 |
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僕の方からまず「この人はどうですか?」というリストを送ったんですよ。 |
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声優の選定マスター。 |
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橋本くんも声優、詳しくないの? |
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全然。最近、調べるようになりました。 |
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俺も全然知らなくて。ケンジは声優選定に立候補したの? |
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声優を起用するんだったら、「候補出させてください。選定やりたいです」って橋本さんに最初に言ってたんですよ。 |

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「1(Wii U版)」の日本語声優さんをアテるとしたら誰?というのを最初に出してもらって。 |
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「1(Wii U版)」はディレクターが根岸で、僕はそのサポート役でチームに入ってたので。で、根岸も声優に詳しくないって言うし、僕も(選定を)したかったっていうのがあったので。 |
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日本語ボイスも要るよね、ってボンヤリ話してるときから、そうは言われても俺全然分かんないから。どういう風に選んでいいものかも。 とりあえずオーディションテープをたくさん用意してもらって、そこで聴くしかないのかな、英語の時もそうしてるから―― でも、本当は “この人が合っている” と思う人からちゃんとピックアップして打診した方がイメージ通りの人が見つかるから。全部お任せよりも。 とはいえ、そういうこともやりようがないしな、と思ってたら、いつの間にかケンジが選んでくれるみたい、ってことになってたんで。 |
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僕、ケンジが「選びたい」って言ってたのを覚えてたというのと、後はライジング(*)で選定にすごいこだわりを持ってたんで、意見を聞きたいな、と思って…で、今回の流れに。 (* ライジング:『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』) |
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昔から吹き替えが好きで、吹き替えばっかり見てて。ライジングの時もキャラ決める段階から「声優はこの人じゃないとイヤだ!」というのがあって。キャラの姿かたちも決まってないのに声優だけ決まってるという。ベヨの方も「やるならこの人がいいな」というのを「1(前作)」の時から考えてたんで。 |
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温めてたんや。コトコトと。ちなみにその時、ケンジの中でベヨは誰だったの? |
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ベヨは田中敦子さんです。田中さんしか思いつかなかったです。 |
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ロダンも結構確定してたかなと…。 |
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ロダンは玄田哲章さんしか居ないな、と俺も思ってたんだけど、そうすると『○○○・オブ・○○○』でクレ○トスとロダンが共演する時に一人二役になるな、どうしようかな? みたいな。カンゼンに一人芝居になるな、っていうのはあったよね。 |
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共演することあるんですか!? |
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これからあるかもしれない!!(力強く) |
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僕もうアーノルド・シュワルツェネッガーが大好きで。で、あの人に合う声って玄田さんしか居ないじゃないですか。それで育ったんで、感無量でした。実際に声を聴けて話ができたっていうのは。 |
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だからさ、そうそうたるメンバーが「1(Wii U版)」の収録にも来るわけだから。本当に収録現場に行きたかった(*)よな~。声優に明るくない俺でも、玄田さんや若本さんは知ってるもん、そりゃあ。 (*収録は東京で行われたが、監修は大阪の本社内からSkype越しに行われた) |

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ベテランって風格があって、すごく緊張しましたけどね。 |
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皆さん、お忙しい方なのに、きちんと練習もしてきてくださってましたし。 |
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台本も読み込んで意見もくださったんで、ありがたかったです。 |
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ルカの浪川さんはどうでした? |
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ルカも良かったね。 |
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浪川さんは、選定する時にちょっと迷ってて、三枚目なところもあるけど割とカッコイイ声のほうがいいのかな、というのもあって、バリエーション的にはいろいろ(候補を)出させてもらったんですけども。 |
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いや、でも浪川さんで良かったよ。キザっぽくって言ったらキザになり過ぎるんですけど、カッコつけのニュアンスって難しいじゃないですか。ルカってそこが重要というか、でも優しさもあって、浪川さんはそこに非常にハマっていたと思いますね。 「2」の収録でも最初の時は、たぶんいつもカッコイイ役が多いんだと思うんですけど、すごいカッコイイ声になりがちだったんですよね。キザになり過ぎというか、構え過ぎというか。 |
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浪川さんってコミカルな役も演ってるの? |
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コミカルな役もされてますよ。けど、最近はカッコイイ役が多いんで。二枚目、イケメンキャラですね。 |
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オナラできないキャラが多いですよね。逆にルカってオナラしても大丈夫なキャラじゃないですか? |
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オナラって例がすごいな(笑) |
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でも、そのニュアンスって結構大事やなって思って。 |
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大事。 |
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ジャンヌ役の園崎さんはどうでした? 劇場版関連の記事で読みましたが、園崎さんは元々『ベヨネッタ』に興味をもってくださっていたそうで、そこにオーディションの話が来て、受かって。すごく喜んでいただけたらしいです。 |
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僕は「1(Wii U版)」の収録を聞けなくて、アニメで初めて園崎さんのジャンヌを聴いたんですよね。「すげぇな」と思って。めちゃめちゃハマってるわ、って。 |
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確かにね。俺も「1(Wii U版)」の収録の時は自分がディレクションしながらなのであんまり客観的に見れないじゃん。だから、むしろ映画観た時の方が一観客として客観的に観れて。自分のディレクションでも自分の台本でもない喋りをしているベヨとジャンヌを見て、改めて「すげーいい!」って、やっぱ思ったよね。 |
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ベヨネッタとジャンヌ、って居るキャラクターが二人、ちゃんと出てましたよね。相互の良さが全開で出てたので、良かったですね。 |
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園崎さんも華奢な方ですけど、演じられる時はパワフルな声ですよね。 |
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かっこいいですよね。 |
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ベヨとは違う色っぽさが出てますよね。ちゃんと。 |
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皆さん、見た目と声の演技のイメージが違うよね。田中さんはあんな凄い大人しい感じで、ああいうベヨのキャラクターの声出せるし。園崎さんは…どっちかというとジャンヌは冷静でクールな感じなんだけど、本人は元気で明るくって、チャキチャキしてるっていうか。みんな当たり前なんだけどイメージ違うんだな、って。 |
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そうなんですよね。勝手なイメージがあるけど、本人は全然印象違うんで。 |
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若本さんはまんまでしたけどね。 |
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そうですか?僕は、思ってたよりも細かったですね。細いのにあんなに低い声が出るんだな、って。 |
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玄田さんも優しい感じで…渋いんですよ、声が。柔らかい感じなんですけど、喋る時はビシっとなる、みたいな。 |
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僕、玄田さんの姿かたちって絶対アーノルド・シュワルツェネッガーみたいな…って思ってたんですけど、全然違いましたね。ムキムキのスキンヘッドで怖いッ! っていう人かと思ってたのに(笑)すげー優しい方でした。 |
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仮面の賢者の子安さんはどうでしたか? |
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まだキャスト発表していないのに、トレーラーの声を聴いてユーザーにはすぐ分かったみたいだね。 |
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そうですね。声ちょっと聴いてこれは子安さんだろう、みたいな。 |
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特徴的な声の方ですね。わりとアニメでは脇を固める男前キャラが多いんですけど。 |
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一回聴くと忘れない声なんですよね。 |
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橋本さんは初めから「仮面の賢者は子安さん」て言ってましたよね。 |
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最終的に候補が2人に絞られて、どっちがいいのかなって話している時に橋本くんが「子安さん」って言ってたから「じゃあ橋本くんの好きでいいんじゃないの?」ってなったんだよね。 |
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カッコ良すぎる声の方ばっかりだったんですよね。その中で子安さんって、カッコいい中にも優しさみたいなのがあって、そこが魅力的でした。 |

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僕が最初に橋本さんと打合せで仮面の賢者の絵を見せてもらった時に、「これ絶対、子安キャラやん!」って思ったんで、子安さんをずっと推してたんですよ。 |
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預言の者の山崎さんはどうでしたか? |
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ああ、もうねぇ、山崎さんは良かったですねぇ~。 若本さんは前作のバルドルで中性的なキャラされてるじゃないですか? ○○○が入ってあの○○○になって○○○っていうネタだったんで、元々やっぱり中性的だよね、って設定をデザイン含めて神谷さんと詰めてた時、「誰か居ないかな?」って思ってケンジに相談して、カッコイイ役も気持ち悪い役もできる、っていうので山崎さんの名前が挙がって。 で、山崎さんに「どんな感じで行きましょうか?」って聞かれて「あ、中性的で」って言ったら「あぁ~、気持ち悪い方ね」って。で、一発で現在のキャラになったという(笑) |
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山崎さんは仮面の賢者と預言の者の両方のオーディションに参加してくださったんですけど、本人も絶対こっち(預言の者)の方だと思ってらして。オーディション合格の連絡をしたら「こっちの方でしょ?」って当てられたそうです。 |
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バルドルで若本さん、というのがまずあったので、そことは被らないようにしないとダメだな、というのは意識したところですね。 |
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あれに負けないキャラを出さんとアカンな、って。 |
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結構振り切って、気持ち悪い押しというか中性押しというか。若本さんは声が太い方ですよね。だから逆に声が優しいというか、通る声の方の気持ち悪い感じ(笑)、中性的な感じが出来る人がいいな、って思ってましたね。 |
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「1」のバルドルはもう、半ばギャグキャラになってきてるもんね(笑)それがいいかなと思ってさ。もう笑えるもんな。「我が名はバ~ル~ド~ル~」て。 最高に良かったな、アレ。 |
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タイトルコールにも。 |
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入ってます入ってます。 |
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若本さんのあの喋り、あの人しか出来ないよね。もう。 |
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日本語の中で特に気に入っているセリフとかありますか? |
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カタコトじゃない、ちゃんとした「10年早いんだよ!」が日本語版は聴けます。 |
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それでいいんですか(笑) |
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俺はそれでいいよ(笑) 最近ネットで、前作の「10年早いんだよ!」を久々に聞く機会があって、「ジュネン、ハヤインダヨ!」ってこんなにカタコトやったっけ!? カタコト過ぎるやろ!(笑)って。その可愛さが…! 演じてくれたヘレナさんも、綺麗な人なのよ。なぜかベヨの人って綺麗なんだよね。あの美貌であの声でしょ…その人がだよ。「ジュネン、ハヤインダヨ!」って(笑)この拙いカンジが! そこまでパーフェクトだったのに! 容姿も!仕事も! |

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腰砕けますよね(笑) |
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腰砕ける(笑) さすがに日本語は無理だったか、さすがに日本語は俺の方が上手いんだと思ったら、ゾクゾクするモンがあったよ。 |
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からの~、田中さんの。 |
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今回(日本語音声)は、ある意味ちゃんとしちゃったんだけど、それはそれでね。ちゃんとしたヤツが聴けるからね。イイよ、っていう(笑) あ、あと! 田中敦子さんの、Fly Me To The Moonの鼻歌の子守唄が聴けるっていうのが良かったよね。 |
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自分が望んだとおりの配役になったんで…かなり僕としては満足してるので。あと、本当に僕がベヨネッタを作ってた時から望んでたことがようやく叶ったので。 |
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その時からそんなこと妄想しとったんや。ケンジがそんな声優オタなんて知らなかったから…恐ろしい男やなぁ…。何考えてるかわかんないよ、裏でね。プログラミングしながら、クスクスッ、みたいなね(笑) |
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“斬” されますよ、コレ!(笑) |

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「1(Wii U版)」からちゃんとプレイしてもらえればいいかな、と(笑) |
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あ、あともう一個。「我が名はバ~ル~ド~ル~」これ最ッ高! |
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英語版とは違う “完璧な仕上がり” になってるのが、本当に。 |
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英語版の吹き替え、って感じではないんだよ。もう一回、リブートした感じだよね、俺の気持ち的には。日本語にするにあたって、日本の声優さんなりの演じ方を演出したから、必ずしも英語のコピーではなくて。特にバルドルとかはもう別キャラになってるっていう(笑) |
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本当に一から録って……神谷さんに書いてもらって、全部監修もして収録もして、新しい世界観の「ベヨ」が。本当に楽しいと思う。 |
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「1(前作)」のプロデューサーをやっている時から日本語の音声を入れたかったんですよ。でも実現できなくって…念願叶って、個人的にも嬉しいというのと。あと今の話にもあったんですけど、聴いてみると…もう別物? 要は、全然別のクオリティが二つ入っているような感覚で楽しめる内容になってるというのが、自分自身でも驚きというか。 |
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Wii Uに移植するというこの機会がなかったら実現しなかったんだよね、「1」の日本語は。 |
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そういう機会があったというのは、プロデューサーというか、ベヨネッタを作っている一制作者として、ものすごく嬉しいことですね。「2」はその世界をさらに広げた形になっているので、魅力的な新しいキャラも増えてるし。 |
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「1(Wii U版)」も「2」も両方、英語と日本語の両方入っているお得感がありますね。 |

というわけで、お楽しみいただけましたでしょうか。
『ベヨネッタ(Wii U版)』と『ベヨネッタ2』のダブル収録だけでなく、日本語と英語のダブル収録まで実現した経緯と、その舞台裏のお話でした。
いずれも2周目はぜひ別音声で……スコアアタックの合間にでも、たまにはムービーをスキップせずにじっくりと豪華声優陣コダワリの演技を聴き込んでみると、新たな発見があるかもしれません。
それではまた!