皆さんこんにちは!セレッサとチェシャの可愛さを皆さんと共有できることを心から嬉しく思っているコンポーザーの黒川仁美です。

今作ではテーマソング “Le Chéile i bhForaois Sholas na Gealaí (英訳:Together in the Moonlit Forest)” の作曲を務めさせていただきました。出来立てほやほやのMVもどうぞご覧ください!

とうとう発売されました 『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』 と私の出会いは遡ること5年前。そう、忘れもしない2018年のお正月、……この出だし、分かりますでしょうか?

詳しくはBayonetta3の開発ブログ “【魔女の解体新書】BAYONETTA 3の音楽②We Are As One” を読んで頂ければ分かるのですが、稲葉さんに呼ばれたほろ酔いの山口さん…の隣に実は私も同席していたのです!!

私には “今までとは違う、新しいベヨネッタの世界観が1発でわかるテーマソングを作ってほしい” という依頼を頂き、「新しいベヨネッタ!?というかテーマソング!?」と歌ものを作ったことがない私としては物凄い大役を任されてしまったとしばらく動揺していたのを今でも覚えています。

神谷さんからは “ゲームの始まりから終わりまでを凝縮した物語性のある曲にしたい” という話があったので早速シナリオを読んでみたら…まぁなんと人間味あふれる冒険物語!思わずセレッサとチェシャを応援したくなる、今までのベヨネッタにはない感覚が沸き起こりました。中でもとても印象的だったのがセレッサの心の変化です。

PVでも分かるようにこのゲームはセレッサとチェシャが協力しながら先に進んでいくという『二人の関係性』が物凄く重要な部分になります。

セレッサも感情豊かなお年頃の女の子。二人ぼっちで不安だらけの中、時には意気投合したり、またある時には気まずい雰囲気になったり…。二人で行動していると様々な感情がぶつかることがあると思います。

そんな彼女の人間味あふれる感情と心の成長を表現したいと思い、出来上がったのがこの曲になります。

そう、“ゲームの始まりから終わりまでを凝縮した物語性のある曲にしたい” という神谷さんの想いを、森に迷い込んでからラストまでのセレッサの心情の変化で表現しようと考えました。

イントロ部分はゲーム冒頭森に迷い込んだ時の不安と恐ろしさをイメージして…というように、ゲームをクリアしてから改めて聴いてもらうと何となくここの曲の盛り上がりがゲームのあのあたりの場面かな?とイメージして貰えたらいいなと密かに思っています。


歌詞とボーカルについて


歌詞もセレッサの心情が綴られているのですが一体何語なの?とほとんどの人が思っているはず。造語ではないです。

まず、ベヨネッタの遥か昔の幼少時代、魔女の子供時代ということで魔女の発祥の地であるヨーロッパの古い言語である “ケルト語” で進めようというのは初期の段階で決まっていました。

そしてこの度ご縁があり、作詞をお願いしたアイルランドの作曲家であるMichael McGlynnさんがなんと、ケルト語の一つである “アイルランド・ゲール語” を扱えるということでベヨネッタの原点となる今作にぴったりだと感じ、今回アイルランド・ゲール語を採用しました。

Michaelさんは先人のケルト人が聴いても美しい完璧なケルト語の歌詞が作れることでとても有名な方で、今作の物語にふさわしい言語で素敵な歌詞を紡いで頂けたことでこの曲がよりゲームと寄り添えたのではないかと思います。

そしてさらに!ゲームとの一体感を感じさせる要素として最も外してはならないのがボーカルの女の子です!

Lauren McGlynn

収録後の記念撮影風景

彼女の名前はLauren McGlynnちゃん。なんとMichaelさんの娘さんです!

セレッサの物語をイメージした曲ということでボーカルはセレッサの年齢に近い女の子を採用する方向で進めていたのですが、9~15歳の年齢でケルト語が歌えてそれなりに歌唱力がある女の子というピンポイントな条件に合う子供が殆どいない中、全ての条件に当てはまり、なおかつ子供らしさからは離れていっているけれど大人でもない、そんな独特な時期特有の柔らかさのある透き通った声がまさしくセレッサのイメージにぴったり!プラチナ勢満場一致でLaurenちゃんが選ばれました。

収録当日、魔女をイメージして服装も考えてきてくれた可愛らしさに一同とても和みつつ始まった本番では、13歳とは思えないほどの歌唱力に改めて驚かされました。

長時間の収録だったにもかかわらず最後まで歌いきってくれたLaurenちゃんのおかげで歌詞に感情がのって、よりセレッサらしい雰囲気に仕上がったと思います。


Abbey Road Studios 収録


オーケストレーションとレコーディング時のコンダクターには大河ドラマも手掛けたJohn R. Grahamさん、レコーディング/ミキシングエンジニアには数々のアワードを受賞されているDaniel Krescoさん、そして長い間やり取りをして収録の場を整えてくださった音楽プロデューサーとしてご活躍されている備耕庸さんという多くのプロフェッショナルの方々にご協力頂き、とある横断歩道で有名なロンドンのAbbey Road Studiosでの収録が実現しました。

Abbey Road Studios

歌詞に続き魔女発祥の地であるヨーロッパでレコーディング出来たことは本当に感動の一言で、初見とは思えない素晴らしい演奏と100人を超える大編成ならではのど迫力に「うわぁぁぁ」と思わず語彙力が崩壊してしまうほど身も心も震え、私にとって何ものにも代えがたい素晴らしい経験となりました。

ここまでこだわりぬいた曲をようやくお披露目することが出来て私の喜びもひとしおです。

今までのベヨネッタのオシャレ感のある曲調は大人になってから身についた余裕の表れだろう、と勝手に解釈し、今作ではベヨネッタらしさが確立する前のお話、ということでテーマソングではあえてそういったフレーズは使用せず、感情という名の抑揚をより強調するためにオーケストラに振り切りましたが、結果的に過去作にはない新しいベヨネッタを作り上げることができたのではないかと思っています。

もちろんスピンオフらしく、過去作を知っている方はゲーム中にちりばめられている懐かしき名曲たちに気づくかもしれません。そのあたりの話はまたのサウンドブログ回で語ってもらいましょう・・・。

他の音楽も物語に寄り添った作りになっているので是非、新しいベヨネッタの世界観を耳でも思う存分楽しんでいただけたらと思います!

 


黒川 仁美
Hitomi Kurokawa

2011年 プラチナゲームズ株式会社に入社。『The Wonderful 101』『BAYONETTA 2』『STAR FOX ZERO』『The Legend of Korra』『ASTRAL CHAIN』『BABYLON’S FALL』『BAYONETTA 3』にコンポーザーとして参加。