はじめまして。『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』でリードコンセプトアートを担当した陳です。今回は作品の舞台となる「アヴァロンの森」の世界観とコンセプトについて紹介したいと思います。

まずはこちらの動画をご覧ください!

 


コンセプトアートの3本柱


今作は「ベヨネッタ」の昔話であること、また新たな「妖精」という敵勢力が登場することが当初から決まっていて、絵のタッチも過去作とは異なるスタイライズ(様式化)されたイラストのようなタッチといった方向性は初期から見えていました。また、基本的なお題は以下の3つに早々にそろっていたわけです。

・絵本らしい絵柄

・妖精の森

・ベヨネッタシリーズの継承

ちなみに上記の「ベヨネッタシリーズの継承」、つまり “ベヨネッタらしさ” を表すのはアートディレクターの西井さん曰く、「きれいなものの裏に潜んだ毒々しさ、ダークさ」とのことでした。(>>アートディレクター西井の記事を読む


絵本らしい絵柄


キャラクターデザインのタッチがデフォルメ調なので、画面やランドマークのデザインも誇張や省略を効かせた見せ方を意識しました。絵本世界の森は大きさが誇張され複雑すぎる植物の形模様や構図は簡略化され理解できるルールに置き換えるのを意識しました。

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アヴァロンの森に限った話じゃないですが、プロジェクトにこなれてきて「まるでアーチのような大樹」「木の蔦がドレープカーテンのよう」といった比喩を一度考えて、文面そのままデザインに取り入れるイメージでデザインすると、目指している絵に仕立てやすいと気づき頻繁に取り組みました。すごく自分の主観で完結したものが多いのですが、感じ取っていただけたでしょうか…?

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妖精の森


◆拷問器具が散在する森◆

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ひたすら不思議でちょっとダークな森のイメージボードを描いていくなかで、最初に自分の中で要素が噛み合って、これならいける!と感じたのが「森の奥地にまるで遊具のような拷問器具で作られた公園」のイメージでした。

ベヨネッタシリーズでなじみのある拷問器具のモチーフは今作では武器として敵を処刑するのに使うのではなく道を切り開くステージギミックに仕立てることで、まだ苛烈さを身に着けてないセレッサのキャラクター性と少し頭を使うゲーム性にちょうどよくフィットできると考えました。実際にゲーム進行を子供のセレッサがまるで遊具で遊んでいるような絵面にちょくちょくできて狙い通り!妖精もまた悪戯やお遊びが好きという伝承が多いのでイメージ的に好都合でした。

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森の奥に置くとメルヘンとも不気味ともとれる絵面が作れるので、このモチーフをどんどん広げてゲームが進むにつれエスカレートするように構想しました。

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◆幻影妖域「ティルナノーグ」◆

ゲームをプレイして考察すると明かされる内容でもありますが、そもそもなぜ森の中に檻や拷問器具があるのか?ずばり妖精の仕業です。妖精は幻覚を操ることができて、森に迷い込んだ人間を檻や拷問器具の幻覚で苦しめ、追い込み餌食にしているのです。その幻覚を作っている元凶が作中に登場する幻影妖域ティルナノーグです。

ティルナノーグのコンセプトは、「禍々しい拷問器具の幻覚」と妖精の本来の住処として「幻想的で美しい景色」の二面性があります。後者の幻想的で美しい景色には妖精のデザインモチーフになっている「ステインドグラス」「星」の要素も色濃く取り入れています。星もまた数万光年離れた星の光は人間に届いているころには既に星は無くなっているかもしれない的な意味で、綺麗ながらも虚構な幻覚に通じるイメージがあると考えています。

アートの段階では敵の本拠地ということもあり得体の知れない暗いイメージが強かったですが、ゲーム全体でアヴァロンの森とのメリハリを付けるためにもっときらびやかで綺麗なビジュアルに、幻覚ももっと非現実的で幻想的な方向性に振り切って調整されました。

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ベヨネッタシリーズの継承


“ベヨネッタらしさ” で分かりやすい要素といえば、アヴァロンの森のいたるところで見つかるアイテムもベヨネッタからのモチーフがたくさんあります。例えば、ベヨネッタの宝箱的な「魔女の棺」もオリジンズでは意味合いやシルエットをオマージュしつつアヴァロンの森の世界観に合わせて再解釈しています。

取得アイテムのムーンパールや調合素材もベヨネッタからお馴染みの見た目を残しつつも、大人の魔女が使うものではなく幼いセレッサでも手に入れられる可愛げのあるデザインにアレンジされました。

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最後に


いかがでしたでしょうか。「ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔」をすでに手に取って頂いた方も、世界観から興味を持ってもらえた方も、以上のコンセプトを知ることでアヴァロンの森のメルヘンさの裏に隠された恐ろしい意味に気づいてより一層楽しんで頂けたら幸いです。

 

 


陳 俊承
Jun Seung Jin

前職で海外オンラインゲーム、アプリゲームのアート制作を経た後、2015年にコンセプトアーティストとしてプラチナゲームズに入社。「ベヨネッタオリジンズ:セレッサと迷子の悪魔」ではリードコンセプトアーティストとしてビジュアル制作を担当。