こんにちは!キャラクターモデリングアーティストの松下です。
 
キャラクターモデリングアーティストの仕事は、コンセプトアーティストが描いた絵をカッコ良く3Dに落とし込んで、プレイヤーや敵としてゲームに登場させるのが主なミッションです。立体把握能力や想像力といったものが重要になる職種です。
 
そんなキャラクターモデラーのさらなるスキルアップを図るべく、今回、ハリウッドの特殊メイクアップ業界で20年以上活躍し、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』や『パシフィックリム』など、数々の映画やTVシリーズのキャラクタークリエイションを手掛けられた造形師・片桐裕司さんをプラチナゲームズにお迎えし、特別セミナーを行っていただきました。

講義の様子をまとめてみたのでモデラー志望の方は必見ですぞー!!



キャラクター概論

先ずはじめに、スライドショーを用いて「キャラクター」を表現するにあたって、どのようなことを意識すれば「らしさ」というものが出てくるのかを学びます。

片桐さんが「雰囲気や印象がつかめていないと、いくら細かい部分のディテールを詰めてもそれらしくならない」と仰っていたのがとても印象的でした。キャラクターモデラーが仕事をする上で、“キャラクターの雰囲気をだす”ということはとても重要なので、非常に参考になりました。

片桐さんはとてもフレンドリーで、講義は非常に和やかな雰囲気の中で行われました。



過去の作品解説

『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉』人魚のモデリングや、『パシフィクリム』のロボットのCGスキャン用雛形など、様々なキャラクターの制作過程を、裏話も含めてたっぷりと見せていただきました。中には没になって世に出てない貴重なものも!



造形デモ

水粘土を用いて等身大の胸像を一から造形する作業を、デモストレーションしていただきました。

一つ目のテーマは「人を殴る瞬間の若い女性」

殴る相手を睨みつけている表情など短時間でここまで作ってしまう片桐さんに、スタッフ一同、大興奮でした!

そこから15分ほどで造形の表情を替えてほしいという要望があったので「殴り終わってスッキリした顔の女性」を作っていただきました。

緊迫した表情から一転、女性の緊張が解けたような雰囲気まで伝わってきますね!

最後に…全くの別人に変えてしまおうということで、『驚いた表情をした老婆』へと作り変える過程もみせていただきました。

当初は2時間という予定でしたが、講義とデモンストレーションにたっぷり時間を割いていただき、気がつくとあっという間に3時間が経過していました。

キャラクター造形の考え方、造形の基本(3次元の見方・バランス・流れ・リズムなど)、造形する上での考え方や仕事の仕方など、多くのことを学ばせていただきました。この日学んだことは、今後のゲーム制作に必ず活かしていきたいと思います。片桐さん、本当にありがとうございました!!




講義参加者の感想


質問にも気さくに答えていただき、参加者の興味のありそうなトピックについては経験談を交えながら、ラフな感じで話をしてくださいました。とても和やかな雰囲気で、充実した内容でした。


それぞれの作品の制作の際のエピソードや、どういうことを考えて作っていたのかなど、貴重なお話を伺えてよかったです。 


第一線で活躍されている方から基本的なキャラクター制作についての話を聞くことができて大変参考になりました。(本などで見たりするのとは吸収率が違います)





今回は、キャラクターモデリングアーティスト向けのセミナーでしたが、大好評につき、後日、片桐さんにはアニメーターやコンセプトアーティスト向けにもセミナーを行っていただきました!また、ブログでご紹介できればと思います。

※2017年10月20日 追記
後日開催された >>>片桐さんによる特別セミナーのレポート<<<

katagiri片桐裕司 Hiroshi Katagiri 
1990年、18歳の時渡米し、19歳からスクリーミング・マッド・ジョージ氏の工房で働きだす。その後フリーランスとなり様々な映画TVのキャラクタークリエーションに携わる。98年に TVシリーズ『Xファイル』のメイクアップの仕事でエミー賞を受賞。 
2000年から2006年まで『ターミネーター』や『エイリアン』『ジュラシックパーク』のキャラクタークリエイションなどで有名な、ハリウッドのトップの工房であるスタンウィンストンスタジオのメインアーティストの一人として活躍。『A.I.』『ジュラシックパーク3』『タイムマシーン』『宇宙戦争』などに携わる。その後、再びフリーランスに。現在は、様々な映画のキャラクタークリエイションに加えて、日米両国各地で彫刻セミナーを開催するなど、後進の育成にも精力的に取り組んでいる。
>>>片桐裕司 彫刻セミナー<<<

katagiri松下 祥風 Yoshikaze Matsushita
大阪芸術大学を卒業後、2014年にプラチナゲームズに入社。最新作『NieR:Automata』では、敵キャラクターのモデリングを担当する傍ら、ディレクター・ヨコオタロウ氏が着用するマスク、通称“エミールヘッド”を制作するなど、モデリングの枠を越えて活躍している。