こんにちは。
『VANQUISH』でフェイシャルを担当した高島です。

発売からもうすぐ一ヶ月が経ちますね。
戦場を駆け(滑り)抜ける爽快感の虜になった方は、ゴッドハードモードに挑戦したり、トロフィーコンプリートを目指したりしている頃だと思います。
まだプレイしたことのない方は、ぜひコタツにミカンに『VANQUISH』という組み合わせで年末をお過ごしください。
アドレナリン出まくりの戦場が待っていますよ。

さて、前置きが長くなりましたが、今回僕からはフェイシャルについてお話させていただきます。

まずフェイシャルのお仕事は?というところから。
キャラクターの顔モデルを制御し表情付けをするためのコントローラのセットアップと、アニメーション付けまでを担当します。
専門色の強いマニアックな部署ですが、とても奥深く挑戦しがいのある仕事です。

人は相手を理解しようとする時、相手の身なり、声の調子、仕草、表情を観察しています。
その中でも特に顔は”感情の変化””思考””性格”また時には”うそ”といった人間臭さを、表情という視覚的な信号として発してくれるとても重要な場所です。

そして人はミリ単位の表情の変化を認識して、相手の気持ちを想像するとても優れた能力を持っています。
そんな驚異的な能力を持ったユーザーの皆さんに向けて、しっかりとキャラクターの個性を表情で伝えるためには、適切なアニメーションと表現力が高くて使いやすいコントローラが必要になります。
根気!と根気!!と根気!!!が必要な仕事ですが、キャラクターに命が吹き込まれる瞬間の感動は病みつきになりますよ。

と、リクルートはこれぐらいにして、『VANQUISH』!

『VANQUISH』では、キャラクターにリアルさを感じられる、現実味のあるフェイシャルが求められました。
そこで、一癖ある特殊な表情をそれぞれに持たせてイメージを固定させてしまう方法ではなく、ざっくりとアニメーションのタイプ分けを行う方法をとりました。
目論見としては、全編を通してキャラクターの大枠のイメージを掴んでもらうこと、そしてふとした瞬間に普段見せない表情(本音)を挟み込むことで、キャラクターとの距離を縮める糸口にしてもらおうと考えました。
はやい話、ギャップにキュンとしてコロッといっちゃうってやつです。

サムは普段はタバコ片手に渋くキメていますが、バーンズが部下を見捨てなかったときの笑顔、逆に部下を切り捨てたときの無念と苦渋、××××の胸からアレが出てきたときの驚きなど、ポイントを決めてメリハリをつけた喜怒哀楽を入れています。

バーンズは常に眉間に力を入れていて、さらに顔全体を使って喋らせることで鬼軍曹としての凄みを出すようにしました。
でも、サムからジョーク混じりで生還を歓迎された時に見せる”凄み”の弱まった顔や、サムと雑談する時と戦闘状態との目つきの変化など、押し殺した感情の変化を織り交ぜています。

エレナは冷静に淡々と状況判断をしていくことで、エリートオペレーターという立ち位置に説得力を持たせようとしました。
感情表現は少し抑えて、色気も極力出さないように心がけています。
それでも、本心を出してるところはあります。
サムにまくし立てられて一瞬イラッとしたり、緊急事態が連続すると感情が抑えきれなくなったり。
バーンズに怒られた時に「すみません」と返事してましたが、あの顔はきっと反省してないですよ。
またエレナについては、個人的な希望でオペレート中に髪をかき上げるモーションを追加してもらったイベントがあります。
「仕事のできる女性が乱れた髪をかき上げながら仕事をする」という色気?をどこかで入れられないか探していたのですが、あのイベントは最適だったと思っています。

イベントシーンを飛ばして周回プレイをしていたり、一度クリアしただけで『VANQUISH』から遠ざかってしまった方々。
これを期にもう一度『VANQUISH』の世界に浸って頂けたなら幸いです。
ではまた。