ディレクターの山中です。

大変長らくお待たせ致しました。『MAX ANARCHY』本日発売です!

いや~~~ホントに長かった…開発に携わってくれたスタッフや、お待ちくださったユーザーの皆様に深く感謝申し上げます。せっかくのデベロッパーサイトなので、開発の経緯などを自分なりにまとめてみました。お時間のある方は読んでみて下さい。

開発にあたって最初のオーダーは二つ。

  1. ネットワークモードを搭載する事
  2. 『MADWORLD』の系譜の作品であり、いつでも『MADWORLD2』としてタイトル変更できる

というものでした。

MADWORLD JACKというキャラクター

『MADWORLD』とのつながりを守りつつ、且つオリジナルタイトルとして、いつでも方向転換もできるように…とプロデューサーと最初に取り決めたのが 『JACKというキャラクター』だけは変えずに行こう、ということでした。ジャックが登場するのであれば、彼のアイデンティティーでもある『右腕がチェーンソウ』という要素は外しがたく、必然として銃を撃つゲームではなく『近接戦闘でチェーンソウを叩きこむゲームをオンライン対戦でやる』という答えが導きだされました。
オンライン対戦格闘というと、いわゆる二人でガチンコ対戦するジャンルですが、そこは既に有名な競合タイトルがひしめき合い、そのゲーム性も熟成されており、初心者お断りの様々な『格ゲー的お約束』がある世界。浮世離れした熟練者達だけが、さらに上を目指してしのぎを削るという、まさに修羅達の支配する世紀末。※個人的なイメージです

もう一度、格闘ゲームが世に出た時のように、誰もが盛り上がれるゲームにしたい!

具体的な企画はそこからスタートしました。
プラチナゲームズが最も得意とする『3Dアクション』を土台に、『対戦格闘ゲームの駆け引き』や、オンラインゲーマーがハマる要素である『FPS(※)的な戦略性』などを合わせたゲーム性。しかしその一方で敷居を低くし、みんなでワイワイ遊べる乱戦ゲーム。
まだ見た事が無いカタチのゲーム性になるであろう『ProjectJACK(仮称)』、現在の『MAX ANARCHY』のゲームデザインはそんな想いから生まれました。
※FPS=First Person Shooter(一人称視点シューティングゲーム)

企画書はこんなんでした

そして開発初期、最初に取りかかったのは、『乱戦を作る事』
1対1の対戦格闘とは違う戦闘のテンポや、10人を超える多人数が闘うステージの大きさの検証、そして企画ベースで既に分かっていた様々な問題点の解消方法を探る為に、ストーリーや設定を飛び越して、いきなりネットワークバトルの制作をしました。

PC環境でMADWORLDのキャラを流用し、ハコ状態のステージでとにかく闘えるように作ったプロト版は、意外にも「あれ?もう面白い…」と思えるゲーム性を感じる事が出来ました。
今振り返れば対人戦だったら、ある程度のアクションさえあれば何でも楽しめるというものなのでしょう…。ですが、この『対人戦だからこその面白さ』というのが、僕らが初めて作るオンラインタイトルの意味であり、ユーザーの皆さんに届けたい新しい遊びの軸でした。これがいきなり掴めたのは開発にとって、とても大きな成果でした。さらにひろげて作れば必ず面白いゲームになる…そして何よりスタンドアローンのゲーム作りより楽しい!と感じました。

MADWORLDキャラを使った初期プロト版

ですが、ここからいろいろ始まります…
アクション一つをとっても、一人用ゲームであれば俺様強いぜ!的なノリで調整していくのですが、対人戦である以上、相手もその能力を有しています。その為、プレイヤーを強化すればするほど戦闘はめまぐるしいスピード感で展開していきます。具体的な例だと、当時は即ダッシュやワンボタン回避なども試しましたが、ただただ速く激しく息が詰まるものでした。製品版にある、『数歩移動したらダッシュ』や『ガードを入力しないと回避できない』といったシステムは、すべてそういった『テンポの心地良さ』の為に調整されています。結局ここら辺は最後までいじっていましたが…

対戦するステージ作りにも、かなりのクラッシュ&ビルドがありました。一度闘い始めると移動せず、ただひたすらその場で相手を倒すことに夢中になってしまう事が多いのですが、狭いステージだと結局のところ、大味な殴り合いになってしまい、闘いが単調になります。これに関しては予想していたので、テストでATE(※)をいくつか制作しATEのAIによる制御で戦闘をバラバラに散らしたり、またその逆に集めたり、という要素を組み込んで、『何度プレイしても違う展開』というコンセプトと上手く融合することが出来ました。ATEが無い戦闘はとても冗長でストイック過ぎて、それこそ『格ゲー的お約束』のように熟練者達しか居ない世界になってしまうので、この辺の調整には大きく時間を割きました。
※ATE=本作の売りのひとつであるアクション・トリガー・イベントの略

そして問題視されていた、一か所に集まる【ダマ問題】と第三者がキルをかっさらう【漁夫の利問題】は、制作を進めていく上で、「あれ?その問題点こそが面白いんじゃないか…」という、感覚に変わっていきました。乱戦をコネコネしながら作っていった先に『面白さの本質が違う』という事に気付いたのです。
『格闘で誰が強い < 誰よりも上手く立ち回ってキルを稼ぐ』という答えにたどり着いた時、『MAX ANARCHY』が『乱戦格闘アクション』として、新ジャンルになった瞬間でした。

ジャックだらけで大乱戦を行う中期プロト版

つまり普通のゲームではダメなものが『MAX ANARCHY』では面白いのです。
ヤられたら嫌なことは、ヤっている側は気持ちイイんです。それはまた周りで見ても笑えます。自分がヤられたら怒ったりしますけど…
画面外からの突進攻撃や、全員死んでしまう事すらあるATEギミック、1対1の格闘ではありえない強力なアイテム群、多勢に無勢、協力、裏切り…などなど、そのどれもが新鮮であり、感情を大きく揺さぶられる展開を生みます。

変則的な対戦ルールを実験中の後期プロト版

まさに無秩序なこの『MAX ANARCHY』は、他に類似品が無いような新しいジャンルとして確立したと思っています。盛りだくさんな遊び方を持ったオンライン対戦ゲームなので、できるだけたくさんの人がネットワークモードに参加して欲しいです!対戦相手が居れば居るほど、さらに楽しいですから。

おまけ:後期プロト版の動画です。製品版とはちょっと違いますよ。

Battle Royal

Mad of War

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