こちらでは初めまして。『メタルギア ライジング リベンジェンス』シナリオ担当、KONAMI 小島プロダクションの玉利です。
このスタッフブログはプラチナゲームズさんのサイト内にあり、「開発スタッフブログ」のタイトルの脇にPマークも輝いておりますが、今回はあくまでコラボレーション、共同制作ということで、私もチームの一員として乱入させていただきます。

なにしろプラチナゲームズさんの社内に私の席まで作っていただいてしまいましたからね。
最近でこそあまりお伺いしていないですが、一時期は毎週毎週泊まりがけで大阪に通い詰め、11月などは東京よりも大阪にいた時間の方が長かったほどです。
完全に大阪に住んでいたカットシーンディレクターの小林には負けますが…。

ということをいろんな人に話すと、「シナリオなんてもっと前に書き終わってたんじゃないの?」と言われるのですが、ゲームのシナリオというのは「書いて終わり」というわけにはいきません。
もちろん人によって、あるいはプロジェクトによっては、一度シナリオとして「完成」ということにしたら以降シナリオライターはノータッチ、という開発スタイルもあるかもしれません。
けれどメタルギアシリーズではそういうスタイルは採らないし、それはメタルギアがメタルギアであるための必然でもあります。

ゲームというのはストーリーが良くてもゲームとして面白くなければ一気にクソゲーになります。
その面白さを創り上げるためには何度もスクラップ&ビルドが必要です。
企画書や仕様書に書かれたシステムやマップが面白そうに見えても、実際に組み上げてみるとイマイチ……ということも多々あります。
書類では実際のゲームの「手触り」はどうしても伝わりません。ゆえに書類では面白さなど判断できないとも言えます。
紙ベース・エクセルベースで「ここの仕様はどうしよう?」など会議をしたところで結局は机上の空論、実物のないところでそれぞれが想像で議論してもまとまるわけもなく、結局は実際に創って試すしかないというのがゲーム制作に携わっての実感です。
そんなわけで現場では常に仕様変更の繰り返しです。

参考資料やシナリオの一部

ヒントや裏設定などの執筆の際の参考に、何度も参照した「メタルギア ソリッド2 サンズ・オブ・リバティ」のシナリオブックとアブハジア編のシナリオの一部。

ゲームとシナリオが密接にリンクしていないゲームなら、仕様変更があってもシナリオライターの作業は発生しないかもしれませんが、メタルギアシリーズの場合、そうはいきません。
無線で聴くことのできるヒントや裏設定から、ゲーム中での敵キャラのセリフに至るまで、ゲームときちんと融和させていく必要があります。
これはプレイヤーがその世界に没入し、主人公になりきってプレイするために欠かせません。
そのため、いわゆるストーリー部分のシナリオが書き終わった後も、ゲームの仕様を確認しつつ無線やエネミーボイスのシナリオを書き、仕様変更があれば調整を加え、さらにはゲームの状況に合った無線が再生されるように自分で条件文を書き、ゲーム側との齟齬が発生した場合はプランナーやレベルデザイナーと相談して対策を検討……といったことを粘り強く行っていく必要があります。
それにはやはり、大阪にしつこく足を運んで、同じ場所で作業することが必要不可欠でした。

しかしその甲斐もあり、また齋藤ディレクターの“メタルギア愛”もあって、最終的にはメタルギアテイストとプラチナテイストが見事に融合した作品ができあがったと自負しています。
日本および北米のメディア体験会でも「メタルギアらしさ」にはお墨付きをいただいていますので、メタルギアファンの方もご期待ください!
またゲーム的には非常にプラチナゲームズらしい気持ちよさに溢れた作品になっており、ストーリー的にもこれまでのシリーズをプレイしていなくても楽しめるように創ってあります。プラチナゲームズファンの方、アクションゲーム好きの方も、これを機にメタルギアの世界にも触れていただけると幸いです。

そういえば先日、海外からのインタビューで「なんでこんなにメタルギアっぽいんですか?」と質問されましたけど、そりゃ、メタルギアだからですよ!
というわけで、発売日まであと少しですがもうちょっとだけお待ちください!