こんにちは。

『メタルギア ライジング リベンジェンス』(以降『MGR』)、背景グラフィックを担当させて頂きましたデザイナーの鷲阪です。

いよいよ発売日も目前となり、ようやくみなさまに遊んでいただける時がきたのかと思うとドキドキが止まりません。

記念すべき発売日には会社近所のゲームショップにでもこっそりと潜入してみようか、などと企んでいるのですが、当日フタを開ければ開発メンバー多数のバレバレ状態になってしまうなんてこともありそうです。


さて、今回『MGR』の背景ステージを制作していく中で非常に悩んだことのひとつに「バランス」がありました。

何と何の「バランス」か?

『MGR』の制作においてやはり「切断」というものが主要なコンセプトのひとつとなっているわけですが、雷電のアクションの中にはほかにも「ニンジャラン」と呼ばれるものがあります。
これはプレーヤーが高速移動をしながら障害物などをある程度自動で乗り越えたりすることができるものなのですが、これも背景制作にとっては大きな要素となっており、またアクションゲームということで、それらを含めて「60fps」を維持するということも重要な課題となっていました。

背景制作においてこの「切断」「ニンジャラン」そして「60fps」、などの要素をふまえた上で『MGR』というアクションゲームのグラフィック、ステージをどう作っていくのか、これらの「バランス」をどう取ったら良いのか…ここに非常に悩まされたわけです。

もう少しわかりやすくお話しさせていただくと、『MGR』では背景オブジェクトも切断することができるのですが、これが結構どこでも斬れてしまうとなると、ゲーム進行をステージを使って調整してゆくことがなかなかに難しくなります。
ですが、少なすぎるとなると「切断」というコンセプトから離れていき『MGR』としてのアクションにおける気持ち良さやステージ攻略での戦略性の減少につながります。

また「ニンジャラン」による移動はある程度自動に…ということもありプログラム的な部分での制御が大きいのですが、ステージを作る際もなるべく簡単な形状のもので構成していくほどスムーズなステージ移動が可能となり、操作するうえでの気持ちよさは上昇します。
ただこれも反面、あまりに単調な形状のもので背景を構築していくとなるとビジュアル的に非常に魅力の薄いものになってしまい、世界観においても重要なリアリティの減少をまねいてしまうことになります。

これらの要素を仮に「なんでも斬れるがゲーム進行には支障がなく、すごく複雑な形状の世界ではあるがスムーズなステージ移動が可能」…というように制作できたとしても、今度はCPU負荷や描画処理の負荷などがかかり過ぎてしまい「60fps」を維持することができなくなってしまいます。
だったらそれを維持するためにはグラフィックのクオリティをどんどん下げていって負荷を軽減させなければならない…なんだか嫌なスパイラルです。

うーん、困りましたね…

そこで重要になってくるのが「バランス」でした。

それらの気持ち良さや戦略性を維持するにはどのくらいの「バランス」で背景物を配置していくのが良いのか…
ゲームシステムと世界観を大事にした上でのグラフィッククオリティの目標はどこなのか…

このあたりはもう非常にギリギリのところです。
すべてが大切な要素です。

今回『MGR』を制作するにあたり、背景メンバーだけではなくプログラマさんはじめチームのメンバー全てでそれらをギリギリの「バランス」に仕上げることができたのではないかと思っています。

結果、どう仕上がっているのかは今までに公開されている動画や体験版などでも見ていただけるのですが、ぜひとも近日発売される製品版でご確認していただけるとありがたいと思っております。

長々と文章が続いてしまいましたので、ここからは少し動画でもご覧ください。

この『オーグメントモード』を使えば敵の位置などをわかりやすく表示することができるだけではなく、切断できる背景物なども青くノイズがかったようになり視覚的に確認をすることが可能となっております。
(もし全てが切断可能な背景ならば、画面も全て真っ青なものになっていたところでした…ここでも「バランス」が大事になっていますね)

背景を楽しむ上ではあえてあまり使用せず、こんなところが斬れたのか!ここは斬れないのか!という遊び方もありなのですが、個人的にはぜひとも新しいエリアに行くたび積極的に『オーグメントモード』を使用していただいて、敵配置・切断オブジェクトなどの確認をした上で、ニンジャランを駆使した戦略を立て、攻めるも良し、忍ぶも良しのステージ攻略をしていただければと思っています。

また『オーグメントモード』を多用しないと攻略しづらいステージなんかも用意しておりますので、ぜひともお楽しみに。

それでは!

※本稿で使用された動画は開発用のテストバージョンを使用して撮影されており、製品版とは一部異なる場合があります。