コンポーザーの山口です。

『The Wonderful 101』のサントラが、本日より配信開始となりました!そしてこれが、記念すべきプラチナゲームズの音楽レーベル “Polaris Tone” の第一弾サントラとなります。ゲーム発売から一周年というタイミングで念願のサントラを出させて頂く事ができ、感無量です。

『The Wonderful 101』の制作には約二年間携わりました。チームに配属された当初、BGMセクションは僕一人で、企画の草案書や制作中のゲーム画面を見ながらBGMの方向性を模索していました。

その時既に、100人のヒーローがユナイトモーフするという設定がありました。ただのヒーローものじゃない…100人が力を合わせて巨悪に立ち向かう…勇気と絆の物語!…そんな熱く燃える世界観が出来上がっていくことを想像しました。コア向けな作品にはしたくない…キャッチーでメジャーで、老若男女問わず誰もが好きになれるストレートな音楽にしたいと強く思いました。

最初に完成させた曲は、オペレーション001のステージ曲「ST01 出動! The Wonderful 100!」です。そして、この曲の最後の展開にあるモチーフが良かったので、ゲーム全体のテーマモチーフとしていく事を早々に決めました。同時に、この曲を作る際にボツになった数曲の中から1曲をオペレーション002のステージ曲「ST02 ブロッサムタワーを目指せ」として採用する事に決まり、これはいつになく順調かと思いきや…ステージ曲に共通のファンファーレを付けたいという話が神谷ディレクターからあり、これが意外と難しかったです。「出動ファンファーレ その1」ですね。これが出来るまでに、恥ずかしながら40個以上のボツファンファーレを作ってしまいました(汗)。恐るべし、ファンファ-レ。

そんな中、僕から3ヶ月ほど遅れて当時入社3年目の滝沢がチームに入り、その半年後くらいに当時入社1年目の黒川がチームに入ってきました。当初中規模程度と考えられていたゲームの規模が、黒川が入ってくる頃には想定よりも膨れ上がり、大規模な全体像が見えてきていました。これは相当デカいのが来るぞ…と覚悟しましたが、予想通り中盤から終盤は多忙を極めました。

最大のピークは「戦え! ワンダフル・ワンダブルオー」制作時でした。神谷ディレクターのコメントにも書いてありましたが、マスターアップ直前でテーマ曲の作り直しとなり、僕は絶体絶命の危機に陥りました。実を言うともう無理じゃないかと諦めかけた事もあり、神谷ディレクターや黒岡アシスタントプロデューサーに、その時出来ていたバージョンでいかせてくれと何度か相談もしましたが、ある日滝沢が僕に「組込(※ゲーム中で実際に音楽を鳴らす作業)は僕がやるんで、山口さんは最高のテーマソング作って下さい」なんて言うじゃないですか!これはもうやるしかないじゃないですか!やらなきゃ男じゃないっ!

…という事で、約1ヶ月で作曲からレコーディング、ミックスダウンまでを行う為に、僕が抱えていた別の仕事を滝沢と黒川に任せられるだけ任せ、僕は出来る限り作曲に専念しました。体力的にも精神的にも限界の中、二人はこのゲームを何が何でも完成させてやるという気迫に満ち溢れ、最後まで頑張ってくれました。完成しつつあるゲームに大きな手応えを感じていたからこそ、高いモチベーションを保つことが出来たのだと思います。他にも、日米のボーカル選定や歌詞の翻訳作業、レコーディングのスケジューリングなども作曲と並行で進める必要があり、これらには社内外問わず、沢山の方々の協力がありました。本当に皆の力で作り上げたテーマソングだったと思います。

とまあ今回も色々とあった音楽制作ですが、晴れてサントラを発売させて頂く運びとなり、本当に感謝しております。これからもスタッフ一同、心に響くサウンド作りに向かって邁進して行きますので、宜しくお願い致します。

それでは、サントラをお聴き頂き、皆さんの心の中のヒーロー魂を熱く、熱く、熱く燃やして下さい!

◆◆◆

ワンダ・ホワイトばりのしょうゆ顔で目つきがやばい、ワンダ・滝沢です。
やっと出ました、念願のワンダサントラ。いや~超ワンダハッピー!
本作は今まで僕が携わった中で、最も長く従事させてもらったタイトルです。
開発中のほろ苦い記憶や諸先輩とのハートウォーミングなあれこれなど、エピソードを思い起こすとキリがないほど濃縮されていました。
暑い夏の熱線に焼かれ、寂しい秋の風に打たれ、厳しい冬の薄氷を乗り越えても、ついぞ春は訪れず……!!(何の話?)
おおっと、危うくワンダ・ホワイトよろしく自分語りを始めるところでした。
さて、そんなセンシティブな僕がおすすめするトラックは、Vol.1「EV01 気配」です!
とても短い雰囲気BGMですが、この曲とても使い勝手がよく、実はゲーム中のあらゆる繋ぎ目で挟み込まれてます!
全部で何回流れるのかスタッフも覚えていませんが、よかったら数えてみてください(笑)
ではまた! 滝沢でした。

◆◆◆

皆様こんにちは。コンポーザーの黒川です。
私のデビュー作となる『The Wonderful 101』のサントラが本日配信!感無量です!
1年以上携わっていただけに思い入れも強く、配信されると聞いた時はかなりテンションが上がりました!
改めて全曲聴き返してみましたが、127曲というボリューム感もさることながら、何より熱いですね!特に後半が!
あと、テーマフレーズが半数以上の曲と言っても過言ではないくらいふんだんに使われているので、どういう風にアレンジされて入っているのか探してみるのも面白いかもしれないです。どれがテーマフレーズなのかはすぐに分かると思います(笑)
ゲームをプレイしたことある方も、まだの方も曲を聴いて『The Wonderful 101』の世界にどっぷり浸かって楽しんで下さい!

◆◆◆

sound_01
↑(左から)滝沢章 ・黒川仁美 ・山口裕史