皆さん、ご機嫌いかがですか? プラチナゲームズの神谷です。

ツイッターの方では毎日駄文を垂れ流させていただいておりますが、こうしてキチンとお話させていただくのは久しぶりですね。

さて、今回ブログを書いているのは、久々にゲーム関連のイベントに行ったので、そのお話をしようと思ったからです。そのイベントというのは、クロアチアの南部に位置する街ドブロヴニクで行われた、「REBOOT DEVELOP 2018」という技術者向けのカンファレンスです。

……と、本題に入る前に、開催地となったクロアチアについてちょっと触れておきましょう。海外出張の経験は何度かありますが、クロアチアを訪れるのは今回が初めてでした。恥ずかしながら、僕はこのクロアチアという国についてほとんど知識がなくて、出発前に地図で場所を調べる始末……。しかし訪れてみると、気候は穏やかで、料理もおいしくて、美しい景色と女性に目を癒される、それは素晴らしい国でした。

10時間のフライトで、まずはフィンランドへ。フィンランドも初めてでしたが、残念ながら乗り継ぎのみの滞在。

フィンランドから更に3時間かけて、ようやくドブロヴニクに到着!

空港からホテルへ。ベランダからの眺めも最高です。

ふと横を見ると、隣の部屋の佐藤社長も景色を撮影中。

今回訪れたドブロヴニク(言いにくい……)は、アドリア海沿岸に位置する港町で、その中心には、旧市街と呼ばれる中世の面影を残した古い町並みがあります。この旧市街は「アドリア海の真珠」と謡われるだけあって、どこを写真に収めても絵になる美しさ……! 世界遺産にも登録されていて、ジブリ作品の『魔女の宅急便』や『紅の豚』の舞台のモデルになったとも言われているとか。最近では海外ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のロケにも使われたようです(行きの飛行機で『スター・ウォーズ』を鑑賞したにもかかわらず、ロケに使われたと知ったのは帰国してからでした……)。

アドリア海に面した旧市街。堅固な城壁に囲まれ、オレンジ色の屋根の建物が立ち並びます。旧市街の北側にそびえるスルジ山の頂上へケーブルカーで登ると、旧市街とアドリア海を一望できます。その素晴らしい眺望は必見!

適当にシャッターを押しても絵になる美しさ。

ふと覗いた路地がどれも趣があって、つい覗き込んでしまいます。歴史を感じさせる情景の中に、生活感のある洗濯物がはためいていているのが印象的でした。

街のいたるところにネコが……。ネコたちも人に慣れていました。そういえばレストランやホテルのカフェテラスにもネコの姿が。謎のネコ王国。

ジェラート食べ歩き。めっちゃ美味しかったんですが、欲張ってメロンとレモンをダブルで乗っけたらボリュームがすごいことに……。ひとつで充分ですよ……。

旧市街を囲む城壁の上は遊歩道になっていて、街の周囲をぐるりと一周できるようになっています。我々もさっそく歩いてみました。しかし…最初は「景色もよくて風も気持ちいいんだろうな」なんて呑気に思っていたんですが、実際に歩いてみると想像以上に上り下りが多く、ちょうど半分ほど歩いた辺りから、日ごろ運動不足の僕はヘトヘトになってしまいました。もちろん景色は素晴らしかったですよ! この地を訪れたら必ず歩いてみることをお勧めします。

城壁に登る前の一枚。その後の苦しみを想像だにせず、無邪気に笑う佐藤社長。

城壁の向こうには絶景が! ……でも階段の連続で腿がパンパンになり、後半は景色を楽しむ余裕がなくなってました(笑)

天然の岩壁の上に作られた城壁。

「こえ~」と何度も下を覗き込む稲葉たち。

城壁から海を臨むと、色んな想像が頭を巡ります。当時どんな攻防があったのかは分かりませんが、さぞかし鉄壁の守りだったことでしょう……。

城壁の内側に立ち並ぶ家々。普通に人々が生活していることにちょっと驚きました。

夜の街並みも幻想的です。思い返せば、なるほどスター・ウォーズのあの場面だなぁ、と……。

さて、思い出に浸っているとキリがないので(笑)、そろそろ本題に移りましょう。

REBOOT DEVELOP 2018」は、今年で5回目を迎えるカンファレンスで、リゾートホテル「シェラトン ドブロヴニク ニビエラ ホテル」(長い……)をほとんど貸し切りにする形で、現地時間の4月18日から三日間に渡って開催されました。比較的若いイベントですが、年々参加者数は増加しているようで、会場となったホテルのロビーは多くの来場者で賑わっていました。世界的に有名なリゾート地で行われていることもあり、東欧諸国から多くの参加者が集まって、交流を深めるという特徴もあるようです。

会場となったシェラトンホテル。このホテルのロビーやホールを使って、三日にわたってイベントが開催されました。

受付。カワユイお姉さんたちが迎えてくれます。

来場者とクリエイターとの距離感が近く、気軽に交流できるところも魅力なイベントです。ワイワイガヤガヤ、みんなの熱気が伝わってきます。でもこの世界的に有名なディレクターである僕には誰も声をかけてくれませんでした。

イベントのパンフレット。あの世界的に有名な敏腕温厚ディレクターも載っています。

僕は今回、稲葉とふたりでステージトークをするために参加しました。トークのテーマは「Beyond the Climax: Taking Action towards the Future クライマックスの向こう:将来に向かって取るべきアクションを」。プラチナゲームズの成り立ち、ゲーム製作への理念、そして未来への展望について語る内容です。

……まぁ、トークのテーマや構成は稲葉が考えて、僕は受け答えする形で話しただけなんですけどね(しかもトークの打ち合わせは、当日ホテルのロビーで15分ほど……)。でも自然体で話すことが出来て、我々も、そして聴きに来てくれた参加者も、楽しい時間を過ごせたんじゃないかと思います。

ちなみにこのテーマについては、京都市勧業館「みやこめっせ」で行われるインディーゲームのイベント「BitSummit Volume 6 (ビットサミット ボリューム シックス)」でも深く掘り下げたいと思っていますので、興味のある方は5月13日(日曜日)12時からの僕と稲葉のステージトークを聴きに来ていただければと思います。

準備中の会場。100人ほどが入れる程度のコンパクトな大きさで、参加者の反応を身近に感じることができ、話しやすかったです。

席がすべて埋まって良かった……。僕が立っているのは、始まる前にマイクをセットしているところですね。稲葉の口から「『The Wonderful 101』をNintendo Switchに移植したい」なんて発言も飛び出し、急遽会場で「欲しい人!」とアンケートを取ると、割れんばかりの拍手が……!(拍手せずにはいられない空気でしたが)

トーク終了後は、カワイ子ちゃんがこの世界的に人気のディレクターにサインを求めてきたりしました。ディレクター、嬉しそうですね!

メディアの取材も受けたり……。海外に行く機会は限られるので、こうした時に取材してもらえるのは嬉しいですね。

……というわけで、4泊6日に渡るクロアチア出張は、とても貴重な体験となりました。この出張のおかげで未知の国を知り、初めて東欧の空気を肌で感じて、思い出もたくさんできました。今回経験したことは、是非今後のゲーム作りの参考として活かしたいですね。そして思い出を懐かしく感じるようになった頃、またプライベートの旅行で訪れてみたいなぁ。それではまた!

たくさん写真を撮ったのに、自分が一枚も写ってないことに気付いて、最終日に慌てて自撮り。美しい景色に、世界的に有名なディレクターが映えます。

オマケ① 帰りの便は、一旦パリのシャルルドゴール空港へ行き、そこから羽田へと向かいました。人生初フランス! ちゃんと入国手続きを踏んだので、乗り継ぎのための短い時間ではあったものの、しっかりフランスの土を踏みました!(空港から一歩も出てませんが)

オマケ② シャルルドゴール空港で見つけた面白いもの。クラシックアーケードゲームのプレイコーナーがありました。自由に遊べる設定になっていましたが、残念ながら時間がなくて遊べませんでした……。

オマケ③ 今回食べた中で一番おいしかったもの。スズキの塩釜焼き! 港町だけあって新鮮な海の幸はどれも絶品でした。このスズキのためにもう一度訪れる価値はあります。



kamiya神谷英樹 Hideki Kamiya
長野県松本市生まれのゲームデザイナー。
1994年にカプコンに入社。『バイオハザオード2』で初監督を務め、以降『デビル メイ クライ』『ビューティフルジョー』と新規タイトルを発表。2006年には望郷の念を形にした『大神』を発表し、第10回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞。
プラチナゲームズでは、『ベヨネッタ』(2009年)、『The Wonderful 101(ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン)』(2013年)の制作を経て現在は新しいプロジェクトに向け多忙な日々を送っている。