はじめまして、UIデザイナーの秋山です。

『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』での担当箇所は、ロゴやフォントのほか、HUDの一部デザインやロード画面、着せ替え画面、その他UIの手書きアニメーションなどなど作成していました。

今回はロゴや関連するデザインについて語りたいと思います。


日英の差分について


本作のロゴデザインは、任天堂と相談の上、プラチナゲームズで制作を進めることになりました。そして、完成したロゴはこちら!ゲームのタイトル画面で、絵本の表紙として使われてますね。

ゲームのタイトル画面

実はこのロゴ、絵本の表紙に使われるならこんな感じ…と初期段階からイメージはガチガチに決まってました。こちらは正式なロゴが決まるまでゲーム中に入っていた仮デザイン。

ロゴの初期ラフ

最終的にロゴデザインは日本語版と英語版の2種類作成しました。

ロゴの日本語版(左)と英語版(右)

双方同じものだと思ってもらえるような工夫として、シルエットが近くなるようにしています。

「C」「セ」が月、「n」「魔」がチェシャの顔

一目でわかる点としては「C」「セ」が同じ月、「n」「魔」がチェシャの顔ですね。チェシャのたてがみのパーツをそのまま使用して、最後のチェシャの顔から左に駆け抜けるような様子に仕上げました。そのほかにも「a」「と」の一部の形状が同じなんですよね。

「魔」「n」はチェシャの特徴となるパーツを取りいれたデザイン

ロゴの上の段がセレッサ、下の段がチェシャのモチーフと掛け合わせています。特に調整が必要だったのがチェシャで、「セレッサ」という明確なキャラクターと関わる「迷子の悪魔」が敵か味方か、どういうキャラクターなのかを明確にしすぎず表現する必要がありました。特徴的な目や牙などの横顔のパーツを用いて、獰猛であることを示すために大きく口を開けた状態を文字と組み合わせました。「魔」と「n」は大きくサイズが違うので、文字の形状が損なわれないように接続する歯の形状を調整しています。


「BAYONETTA Origins:」の部分


「BAYONETTA Origins:」のデザイン

「BAYONETTA Origins:」の部分が今までのBAYONETTAロゴとテイストが違うんですよね。ベヨネッタの過去編ということでふるめかしさや幼さを表すためにぽってりした形状にしました。ベヨネッタシリーズであれば背景にあしらわれていた魔法陣も、発動中の毛先が渦巻く様子にすることで未熟であることを表しています。


セレッサフォント


ゲーム内で使用されているセレッサフォント

今作では新しくセレッサフォントを作成しました。アクセント付きやキリル文字までカバーしてます。日本語版で見かける機会はありませんが、欧米言語版の場合は敵紹介や地名表示など主に見出しとなる部分で表示されています。ベヨフォントで使われている三日月のようなはらいを残し、正方形に近いコロンとした形状になりました。

ベヨネッタフォントとセレッサフォントの比較


チームロゴの経緯


ベヨネッタシリーズでお馴染みの「Team Little Angels」のオマージュ

こちらベヨネッタシリーズを遊んだ方なら気付いてくれるはず、こちら「Team Little Angels」のオマージュです。階段状に並んだ「Team Lost Faeries」と、角笛でエンドロールを祝福する妖精です。作中で現れる妖精ではなく、「伝承として伝わる創造物」の妖精の姿になりました。つま先はバレエにちなんでルルベ(背伸びをして足の指だけで立つ状態)をしてます。

あと、この「Team Lost Faeries」で気になる点ありませんか?

……フェアリーって「Fairy」→「Fairies」じゃないんか…?ってなりません?

「妖精」を英単語辞典で引くと「Fairy」が出てきますが、ディレクターであるティナリさんの粋な提案により古いテイストの「Faerie」→「Faeries」が使われてます。(そんなんあるんや)(まなび)

オマージュのロゴ以外にも「架空の絵本出版社」「子供の手あそび」「人が創り出した妖精の概念」など、自由なコンセプトで案をいくつか出していました。ほぼ自分の好みで作ってたな……

こんな案もありましたとさ


さいごに


まずは自分にも刺さるものを仕上げました。誰かにもグッサリ刺さっていたら嬉しいです!

今回はここまで~~!次回『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』のロゴを見たときは、デザインに注目してみてください!

最後まで読んでいただきありがとうございました。

おしまい。

 


秋山 侑香
Yuka Akiyama

2018年プラチナゲームズ株式会社に入社。UIデザイナーとして『BABYLON’S FALL』ではBABYLON’S FONTの作成、『ASTRAL CHAIN』ではアイコンなどの作成に携わる。『ベヨネッタ オリジンズ: セレッサと迷子の悪魔』ではロゴやフォントまわり以外に、HUDの一部デザイン、その他UIの手書きアニメーションなどを担当。