『ソルクレスタ』総監督の神谷です。
『ソルクレスタ』、本日ついに発売となりました!
本当にここまで辿り着くとは…。自分の作品の発売日は、いつもはソワソワ、ワクワクするものですが、今回は僕のこれまでのクリエイター人生の中で、自分が作ったどの作品よりも感慨深いものがあり、そして世に送り出すことへの“恐れ”のようなものが付きまとっています。
というのもこの『ソルクレスタ』は、今から遡ること約2年、2020年の4月1日に、プラチナゲームズが“エイプリルフールネタ”として公開した動画から始まったのです。
(動画:https://www.youtube.com/watch?v=vvtTZG3oXM4)
この動画、“エイプリルフールネタ”にしては凝った作りだったと思うのですが、公開当時はその悪ふざけを楽しんでくれる声はごく僅かで、期待に反して「寒いことやってんな」と国内外のユーザーから怒りの視線と大ブーイングが浴びせられ、我々は笑い待ちの顔に冷水をぶっかけられて、深く意気消沈したのでした。
その時のユーザーの気持ちは、考えてみればとてもよく分かります。エイプリルフールの“ウソ”というのは、「ウソだと分かってもガッカリしたり悲しい気持ちになったりせず、笑って済ませられるようなもの」であるべきです。これまでにプラチナゲームズがエイプリルフールに公開してきた、「佐藤社長(当時)のフィギュア発売!」や「佐藤社長(当時)を主人公とした完全新作『代表取締役兵器ケンイチ』製作決定!」などの“ウソ”は、どれも心の底から「いらない」と思えるくだらないもので(そうでない人がいたらゴメンナサイ)、ユーザーも笑って済ますことができました。
それらに比べると、「あの『ムーンクレスタ』、『テラクレスタ』に続く完全新作、製作決定!」という“ウソ”は、シューティングゲームを愛するファンをただ落胆させるだけで、確かに悪ふざけでは済まされないものでした。
…でもそれは、“本当にウソだったら”の話。そう、我々はユーザーの気持ちを踏みにじるような真似はしません。この動画を公開した時点で、すでに内部では『ソルクレスタ』の開発計画は動き始めていたのです…!
…いえ、正確には動画公開よりも以前から、僕と稲葉の間では「縦シューを作ろう」という悪巧み(?)は水面下で少しずつ進行していました。ですが「動画を公開することで社内的にも開発計画の実行を既成事実化してしまおう」という豪腕暗黒卿、稲葉の政治的思惑もあり、このエイプリルフールの一件を機に運命の歯車が勢いよく回転し始めて、“ソルクレスタ計画”は実現に向けて大きく動き出したのでした。
その辺りの詳しい話は、以前こちらでもお話ししていますので、是非一度お読み頂きたいのですが、ともあれノリと勢いで急速発進させ、何か一つボタンの掛け違いがあれば立ち消えてしまってもおかしくなかったこのプロジェクトが、紆余曲折を経て気づけば本当に世に出る時を迎えたというのは、いま振り返っても本当に奇跡の結晶のように思えます。
一方で、自分の中に燻っているもう一つの感情が、このゲームが本当に受け入れてもらえるのだろうか?…という不安です。もちろん、『ソルクレスタ』の仕上がりにはスタッフ一同絶対の自信があり、古代祐三さんにお力添えを頂いた強力なサウンドトラックも備えた万全の完成度で、胸を張って送り出すことができるのですが、そうは言っても「ネオ-クラシック・アーケード」と看板を掲げて、僕自身がゲームデザイナーに憧れる大きなきっかけとなった2Dスタイルのゲーム、とりわけ「縦スクロールシューティング」という古い伝統のあるジャンルに飛び込むことには、果たして厳しい審美眼を持ったお歴々のお眼鏡に適うのだろうかと、今までに感じたことのない身を切るような緊張感と重圧を禁じえません。
その上、今作はあの『ムーンクレスタ』、『テラクレスタ』という、偉大な歴史的作品の正統続編として作ることを、そのIPを大切に守っておられる株式会社ハムスターの濱田倫社長の寛大なお心遣いで認めて頂いたものです。その濱田社長をはじめ、魂を込めてシリーズを作ってこられた製作者の方々、それを愛するファンのみんなの気持ちに泥を塗ることは決してあってはならない、そんな覚悟のような感情も、これまでの作品では僕の心になかったものです。
…と長々と語りましたが、どう足掻こうとも本日、『ソルクレスタ』は厳しい荒波の中に放たれてしまったのです。ここはもう観念して、仁王立ちでその旅立ちを見送るしかありませんね。
今日が皆さんにとって『ソルクレスタ』との良い出会いの日になることを心から願っております。そして、これからの「ネオ-クラシック・アーケード」のためにも、是々非々で忌憚のないご意見をどうぞお寄せ下さい。
最後に、少しでも攻略の参考になるように、『ソルクレスタ』の“インストカード”の画像をプレゼントいたします。これらの画像は、実際に『ソルクレスタ』を『BitSummit THE 8th BIT』に出典した際に使用したものです。ご自宅にビュウリックス筐体をお持ちの方は、もしかしたらインストパネルにジャストフィットしてしまうかも知れません。ぜひ有効にご活用下さい。
それでは皆さん、ゆっくり楽しんで下さいね!
※『ソルクレスタ』の“インストカード”の画像はアップデート(2022年3月23日配信)のため更新しました。
ソルクレスタ(SOL CRESTA)
対応プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Steam
ジャンル:自在合体シューティング
リリース日:2022年2月22日(火)
ダウンロード価格:4,378円(税込)
対応言語:日本語 / 英語
発売元:プラチナゲームズ
権利表記:© PlatinumGames Inc. / ©HAMSTER Co.
NintendoSwitch:
https://store-jp.nintendo.com/list/software/70070000013197.html
PS4:https://store.playstation.com/ja-jp/concept/10002440
Steam:https://store.steampowered.com/app/1575640/SOL_CRESTA/
ソルクレスタ ドラマティックDLC
対応プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Steam
リリース日:2022年2月22日(火)
ダウンロード価格:1,100円(税込)
対応言語:日本語(音声を含む) / 英語
ソルクレスタ ドラマティックエディション
(本編+追加コンテンツバンドル版)
対応プラットフォーム:Nintendo Switch / PS4 / Steam
リリース日:2022年2月22日(火)
ダウンロード価格:5,478円(税込)
対応言語:日本語(音声を含む) / 英語
※収録内容は『ソルクレスタ』および『ソルクレスタ ドラマティックDLC』をそれぞれご購入いただいた場合と同一です。
神谷英樹 副社長/チーフゲームデザイナー 1970年 信州 松本市生まれ。 1994年に株式会社カプコンに入社。『バイオハザード2』で初監督を務め、以降『デビル メイ クライ』『ビューティフルジョー』と新規タイトルを発表。2006年には望郷の念を形にした『大神』を発表し、第10回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門で大賞を受賞する。現在はプラチナゲームズ株式会社に所属。『ベヨネッタ』(2009年)、『The Wonderful 101(ザ・ワンダフル ワン・オー・ワン)』(2013年)の制作を経て、2016年に執行役員就任後はプラチナゲームズの全てのゲームタイトルの品質向上に尽力する一方、ゲームデザイナーとして制作現場に立ち続けている。神谷自ら総監督を務める最新作『ソルクレスタ』では、シナリオも担当。 |