MADWORLDが少しずつですがゲームとしての軸が見え始めてきました。
けれど僕としてはどーもまだバイオレンスがきつい印象がありました。

「う~ん、なんかもっとやりすぎ感をコミカルに表現できないのか・・・」と悩んでました。

その頃、ゲームシステムとして「残虐に殺せば殺すほどにスコアが稼げる」というのを準備していたこともあり
これを「今のすげ~いいスコアですね!」とか「もう少しぐちゃぐちゃに殺したほうがスコアがよかったのに」みたいに
誰かプレイを見ながら遊んでるユーザーに教えてくれる人がいればもっと残虐な殺し方を探してくれるし今のプレイが
いいプレイか悪いプレイかすぐにわかるからいいのになぁ~というのが頭の中にありチームにも相談したりしていました。
そこでいろいろ考えた結果、誰かプレイするたびにしゃべったらええやん!となり「実況アナウンサー」をゲーム中に入れてみることにしました。

でも、1人の実況アナウンサーでしゃべり続けるのもなんか物足りないしテンションが上がらないので「日本の漫才コンビ」ぽく
もう1人解説者として参加させて2人で「かけあい」をしながらプレイの実況をすれば「コミカルさ」もアップできるだろうと考えました!
※日本のコメディアンは2人1組で「ボケ⇒突っ込み」というスタイルで笑いを作っています。

じゃあ、アナウンサーと解説者にどんなことをどうやってしゃべってもらおうかと考えてみてチームにいた貴重な海外スタッフであるアメリカ人とカナダ人の2人に相談して社内にあるスタジオでテスト版として実況を収録してみました。正直、英語はわからないので詳細な台本は彼らにおまかせしていたのですがしゃべっている本人たちが笑いながら楽しそうにしゃべっていたのでこれならコミカルさもアップできるかなと自信が持てるようになりました。

そして収録したての実況ボイスを開発中のゲームに実装してもらって、Jackがする残虐シーンに合わせた実況ボイスを入れたROMを作ってSEGAの北米スタッフの方に恐る恐るプレゼンしてみました。

Jackの残虐プレイと一緒に流れる実況と解説のボイスを聞いてみんな「大爆笑!!」
「うわ~、よかった笑ってくれてる~。実況は大成功!」と自信から確信へと変わり実況を入れることに決めました!

実況には実はもう1つ、重要な役割がありました。

それは、MADWORLDの世界観を感じてもらうための演出という役割です。
そもそもJackは殺人ゲームショーである「DEATH WATCHショー」に参加しているという異世界な設定だったのでそれを遊びながら実感してもらう必要がありました。グラフィックでもゲームでもそれっぽい異質な殺し道具がそれだったりしてるんですがそれだけでは実感が薄かったので実況にはそこも担ってもらおうと考えました。

実況をする2人にそれぞれのキャラクター設定を次のようにお願いしました。
1人目:ゲームの内容を説明するDEATH WATCHショー専属のスポーツアナウンサー役
2人目:DEATH WATCHショーに過去チャンピオンにもなったことのある元選手を解説者としてアナウンサーのフォローをする役。

madworld-sports-11

この設定ならDEATH WATCHショーの雰囲気とか世界観を伝えることもできるはず!と思って彼らにその設定でしゃべってもらい
それは本番用の実況ボイス収録でも設定を変えずにボイスアクターに説明して役作りをしてもらいました。

実況はいわゆるスポーツゲーム(サッカーとか野球とか)でしかゲーム内ではあまり使われていないですがMADWORLDはこうした理由が
ちゃんとあったし、そしてこれも1つのチャレンジになってゲームがより面白くなるスパイスとして効果があったかなぁ~と思いますがみなさんは
これまでのMADWORLDのトレーラーとか見てどう思いますか?