こんにちは、山口孝明です。
『VANQUISH』では敵のモーションを担当しました。
今回はそのあたりについて少しお話をさせていただきます。
みなさんは体験版をプレイされましたか?
されていない方はぜひプレイしてみてください。
操作には多少慣れが必要かと思いますが、静止画や映像だけでは伝わりきらないスピーディで爽快なゲームに仕上がっていると思います。

もちろんこれは、ラインの初期からディレクターの三上が目指した方針に沿って仕上げられています。

『逃げずに前へ!』
『匍匐前進やカバーはしたくない!』
『弾はスウェーでかわす!』

といったアグレッシブルな言葉があらわすように、ほとんどのシューターの定番、

『背景を覚え、有利な場所に隠れて移動』
『相手に発見されれば隠れ場所を変える』
『撃たれる前に撃つ』

といった落ち着いた要素を否定するところから始まっています。

その方針に沿って敵のモーション制作を進めていくうちに、シューターではなく、あたかもアクションゲームのモーションを作っているような気分になってきました。

ちなみにゲームにおいて、モーションというのは単にカッコよく動かしたりするだけの仕事ではありません。
プレイヤーキャラクターならユーザーが操作して気持ちのよいダイレクトなレスポンス。
敵ならば『攻撃してくる』といった予兆情報を瞬時に的確に伝えたりすること。
そうしたプレイする中での感覚的なところにとても重要な役割を持ちます。

そしてこれは、アクションゲームでは特に重要なこととなります。
例えば体験版でも登場の巨大兵器アルゴス。
彼は数多くの攻撃を持っていますが、近接攻撃だけでなく飛び道具にもそれぞれの攻撃に予兆モーションを持っています。
初めは無我夢中で戦うことになりますが、何度も戦っていると次にどの攻撃が来るかが予兆により見分けられるようになります。
ところが攻撃によってはカバーしていても当たってしまう。
これはシューターの常識から考えれば反則だと思いますが、よく見て引きつけてタイミング良く転がればかわせます。
その攻撃後の隙にこちらの攻撃をたたきこむ。
この流れはまさにアクションゲーム的だと言えます。
そして上手に決まると癖になり、やみつきになります。

というわけで『VANQUISH』。
僕自身も非常にアクションゲームが好きなので、自分自身でも悦に浸れるようにモーションの制作をしてきました。
難易度も選べるようになっていますので、いろいろな方に楽しんでいただけたらとてもうれしいです。
そして出来れば、アクションゲームが苦手と思う方も上に述べたようなプレイを試してみて下さい。
もしかするととても気持ちよくなれるかもしれません。