『NINJA GAIDEN 4』アートディレクターの西井です。
アート系記事も4回目です。今回はNPCのキャラクターデザインについて、ラフやデザイン画、3Dモデル制作のフィードバック画像などと共にご紹介させていただきます。

相も変わらず開発当時の社内向け資料を皆さんにお見せできる形に編集したものなので、製品版とは差異があります。ご了承ください。

それではどうぞ!

前作にも登場した龍の巫女、セオリはそれと対になる存在である黒龍の巫女です。
物語ではヤクモを導く役割ですが、彼女が導く先は光ではなく闇……ちょっと不健全な感じがしますね。

まず一番目を引く“青い縄”ですが、ヒロインとしてのジャンル定めて、雰囲気決めて、とデザインを進めていくうちに、とある設定から「縛るか……」と舵を切ったらこうなりました。開発チームがざわついた。デザイナーは褒めておきました。

黄昏時や夜明け前の路地裏・屋上が似合う女性で、影があるようで朗らか。過ちを窘めたかと思えばワルイコトを共犯もするが、その実わからない事だらけの先輩…みたいなイメージでデザインしています。
制服の改造はしないがかなり着崩すタイプ、素の顔立ちはタヌキ顔だけどキツネ系メイクをしている、というように、二択のどちらかに偏るのではなく白と黒の間、曖昧な境界を行くひと。龍をあしらった着物が厳つく見えないのも、彼女のゆるい雰囲気のお陰かもしれません。

なかなか面白いデザインになったのではないでしょうか。

鴉一門の参謀であるミサキ。出自はハッキリしませんが英国紳士っぽい雰囲気。
スーツ+和装の要素をスッキリまとめる事が出来たのでは?と思っています。どうでしょう。
きちっとしていますが少しシルエットにゆったりとした余裕を持たせて硬い・冷たい印象にならないようにしています。

案こそいくらか出しましたが、ほとんど迷わずこのデザインに落ち着きました。

ヤクモの兄貴分、タイランです。
彼も鴉の忍なのでカラスがモチーフですが、スマートというよりは、ゴミ捨て場で追い払おうと近づいても全然動かんな…というタイプの太々しくでかいカラス。

制作のかなり初期から存在はしていたキャラクターですが、元は全くの別ポジションでした。ラフにその片鱗が残っていますね。
設定とデザインのマイナーチェンジを繰り返して今の形になっています。デザイン面ではヤクモに次いで大人数が関わったキャラかも。

キャラクターとしては一番のお気に入りです。よろしくお願いいたします。

『NINJA GAIDEN』といえば!あやねのデザイン自体は制作のかなり初期からあったのですが、正式な情報が出るまで随分お待たせしました。誰にどんなに突かれても決して言ってはいけないのがつらいところ。
もちろんリュウ同様に本作用にデザインしています。

服装は舞台に合わせてサイバーパンクな雰囲気にしていますが、過去作を見るに、蝶やリボンモチーフを入れる等、可愛いものも好きなんだろうなぁと(でも「好きですよね?」って訊いたらまず否定しそう…感も含め)想像してデザインしています。
またシリーズにおいては最年少に近い位置にいる事が多かったのですが、今作では具体的な数字はともかく少し年齢を重ねた「お姉さん」みを感じられるようにしました。
10代の頃からエステが趣味と公言されているので、美容に興味がおありでしょうし、何か次の作品への出番があればまた色々と変わっているかもしれませんね。

ヤクモをサポートしてくれるオペレーターのウミ、……が使用しているアイコンです。ショップで見ることができますね。
ウミは真面目なので任務中に態度で可愛いもの好きを押してくる事はありませんが、徹頭徹尾無機質になるのは彼女の性格的にもちょっと違うかなと考え、本人の趣味を反映させてみました。SNS等のユーザーアイコンはその人の“顔”でもありますしね、きっと私室には40cmぬいぐるみがあるに違いない。
キャラクターデザインはエネミーも含めて複数を同時に作業する事が多いので、アイコンに使うほどの可愛さとは……で頭を悩ませた1分後に、妖魔の部位切断どこまで切る?もっと血飛ばす?とか言う状況になっていました。温度差で風邪をひく。

ついに発売、しました……!
関わったタイトルの発売日前後はいつもそうですが、とにかく気分が落ち着きませんね。
自分たちの仕事がユーザーの皆さんにどう受け取られるか、不安であり楽しみでもあります。
開発ブログまでお越しくださっている方は本作に多少のご興味があるとみています。その切っ掛けが戦闘/アクションであれキャラクターであれ、まず遊んでいただければすぐに美味しいところが味わえるようチーム一丸となって制作しました。お楽しみください。

ついでに皆さんのご感想がSNS等で見られたら嬉しいです、お待ちしております(できればでよいので…無理にとは言わないので…でも数年がかりでやっと一滴得られる栄養なので……何卒……)

 

また今回発売記念ということで、個人的なお絵かきを調子に乗ってスマホの壁紙サイズにしてみました。ディレクターに言われたら断れないな…。加えて、せっかくなのでアートスタッフになんか描いて~と強請って絵をもらってきました。アートディレクターに言われたら断りづらかっただろうな……。

<掲載予定>
10月27日公開 近藤知之(リードUIアーティスト)
10月28日公開 中根大我(コンセプトアーティスト)
10月29日公開 澤田蒼生(コンセプトアーティスト)
10月30日公開 斎藤愛未(コンセプトアーティスト)
10月31日公開 ダヅル(リードコンセプトアーティスト)

上記日程で弊社SNSより公開予定です~お楽しみに!
UI近藤は前回ブログ記事執筆後になんか描きたくなっちゃったそうで……。他のアートスタッフもそれぞれ忙しい中、厚意で協力してくれました。何にせよ作品に情があるのは身内ながら嬉しいですね。

もちろん絵を描いてくれたスタッフ以外にも、表に出ないだけでたくさんの人間が関わっています。スタッフロール時にでもなんかいっぱい頑張ってんだな~と思い出していただけたら幸いですが……、まあそんな事よりまずはゲームを楽しんでいただければ!遊んで!!

改めて『NINJA GAIDEN 4』をよろしくお願いいたします。


西井 智子 (Tomoko Nishii)
2011年にプラチナゲームズ入社。エンバイロメントアーティストとして『The Wonderful 101』の制作に携わった後、コンセプトアーティストとして複数のタイトルに参加。『NieR:Automata』では絵本パートの一部原画を担当し、『ベヨネッタ オリジンズ:セレッサと迷子の悪魔』ではアートディレクターとしてキャラクターデザインおよびビジュアル全体の監修を務める。最新作『NINJA GAIDEN 4』ではアートディレクターとして一部キャラクターデザインとビジュアル監修を担当する。