みなさん、はじめまして。
「ベヨネッタ3」では、リードサウンドデザイナーを担当させていただいた中康洋といいます。

私からは、このゲームの基本であるウィッチタイムとヴィオラの武器についてお話しようと思います。


ウィッチタイムのSE


ウィッチタイムはシリーズで普遍的な性能としてだけでなく、ベヨネッタと言ったら「コレ」という方も多いのではないでしょうか?

そんな記号的な表現を「変えたい」と宮田ディレクター(以下宮D)からあったため今回表現が少し変わっています。

まず、過去作のウィッチタイムを御覧ください。

 

こちらが今作のウィッチタイムです。

 

いかがでしょうか?前作とくらべて、ウィッチタイム発動がより魔法感が強くなっているとのではと思います。

今回のベヨネッタでは宮Dから「魔法少女感」という前作までのベヨネッタではまず聞かないキーワードが提示されました。(出ていたらごめんなさい)

魔法少女・・・?ベヨが・・・?キーワードを聞かされた時に私の頭にはかつて日曜朝に放映されていた某アニメの可愛らしい魔法少女たちが先に頭に浮かんでしまいました。

私自身、1ではユーザーとして、2ではサウンドデザイナーとして関わってきましたがその頃のウィッチタイムの発動音はとてもクールな印象で、「魔女」というイメージがしっくり来ていました。

ところが今回、「発動時の印象を変えたい」というオーダーと「魔法少女感」ということで頭の中で「クールだけど魔法少女感・・・」が頭の中をぐるぐる回りました。オーダーに「クールさ」はありませんでしたが、私としてはその要素を消したくなかっただけにいかにクールさを残しつつ魔法少女感を出すのに苦労しました。

散々悩んだ甲斐もあって、自分が制作したSEの中でもかなり出来が良いと自負していますがいかがでしょうか?


ヴィオラの武器について


今作からの新キャラ「ヴィオラ」は、当たり前ですが武器はもちろん動作音や足音に至るまですべて新規制作しています。その中でヴィオラ専用武器である刀について紹介します。

ヴィオラ専用のメイン武器である「魔舞太刀」は、剣術と魔獣を召喚するための媒介として使用されています。剣術は基本的な部分は通常の刀と何ら変わらないのですがフィニッシュ攻撃や特殊攻撃では炎を纏う属性があります。

刀の基本音はリアルに作る部分と少しデフォルメしている部分があります。例えば、刀を振る音については剣先が空気を切り裂くような音にしていますが、刀を構えるときなどは鍔鳴りのような音を鳴らしています。本来、刀を動かすだけで鍔が鳴るような刀は危険なので通常はありえないのですが、刀を動かしているというところでこういったデフォルメを入れることで刀の細やかな動きを感じ取れるように工夫しています。

 

また特殊な技では、魔獣「チェシャ」が攻撃をサポートしてくれて、初めてモーションを見たとき「ベヨとは異なりまだ半人前」という印象を受けました。
これは、ベヨネッタシリーズのお家芸であるリアルなコミカルだと思ったので、音作りでもそのあたりは意識しています。

 

この他にも、ヴィオラの剣術アクションは数多く用意されています。どれも個性的なコンボだと思いますのでお気に入りのコンボを探してみてください。


おまけ


ベヨネッタといえば4丁の銃を巧みに操りコンボを決める姿が印象的ですよね。シリーズでそれぞれモチーフが毎回異なるので同じように見えて、毎作作り直しています。

今回の銃のモチーフは、フリントロックを始めとする様々な銃の美味しいどころを組み合わせているそうです。

せっかくなので1~3まで聴き比べられるようにしてみました。

 

ベヨネッタ スカボロウ・フェア

ベヨネッタ2 ラブ・イズ・ブルー

ベヨネッタ3 カラー・マイ・ワールド


中 康洋
Yasuhiro Naka

1993年に大手ゲームメーカーでキャリアをスタート。
様々なゲームサウンド制作を経験後、2009年にサウンドデザイナーとしてプラチナゲームズに入社。
『VANQUISH』『The Wonderful 101』『BAYONETTA 2』『STAR FOX ZERO/GUARD』『NieR:Automata』『World of Demons:百鬼魔道』で様々なサウンドデザインおよびシステム構築などを担当。今作ではBGMを除く全てのサウンドディレクションを始め、プレイヤー・敵・背景のサウンドデザインとシステム構築・アウトソースを担当。