『ベヨネッタ3 』アートディレクターの須田です。

本作の開発エピソード、今回は世界の表現についてお話しします。

今回ベヨネッタ達は、世界中様々な場所を冒険します。それぞれにベヨネッタがいるだけで新鮮なロケーションを用意しています。

というのも、本作で一旦の区切りになるこのシリーズ。

ゲーム自体のスケールの拡大とともに、ベヨネッタワールドの広がり…というのを意識したものです。

様々なベヨネッタの可能性があって、もしかしたら、のほほんと暮らしているだけのベヨだってあったりなかったり、僕たちの居るこの世界にもベヨネッタの可能性が存在しているかもしれない…楽しい想像の余地みたいなのを込めました。

そして、なんといってもコチラ!

ステージのあちらこちらにある雲の様な物、これが「消失」です。シンギュラリティの消失の力によって世界が消える際に現れる現象です。これは今作を通してキーとなる表現で、様々な試行錯誤がありました。

「物体が端から吸い上げられ、蒸発する様に消えていく」というイメージの表現なのですが、蒸発、量感がある、シェービングクリーム、吸われている感じ…独特の表現にする為に様々なキーワードが出て…

最初に抽象的な結晶化をイメージしましたが、これでは動きが足りない上に物体が吸い上げられて霧散して行く感じが表現できませんでした。

蒸発というからには、気体の様な振る舞いをする必要があり、加えて量感が出る現象を考えた結果、分厚い雲にたどり着きました。

シンギュラリティサイドのモチーフの一つに雲があるため、一体感もバッチリです!

さらにもう一味、ホムンクルスモチーフの渦巻きと彩雲の要素を取り入れて…

渦巻き模様がより強調され「下地に不思議な消失の力が働き、そこから雲が発生している」様に見える現在の表現に落ち着きました。

世界を覆う「消失」が特徴的なビジュアルは今作の見どころの一つです。

是非注目してみてくださいね!

 


須田裕貴
Yuki Suda
プラチナゲームズ所属のコンセプトアーティスト。過去には『NieR:Automata』、『ASTRAL CHAIN』の開発に携わり、『ベヨネッタ3』ではアートディレクターを担当。