はじめまして、プラチナゲームズ株式会社の技術戦略グループでテクニカルアーティストをしている高島です。
技術戦略グループとは技術を以ってゲーム開発を支援・先導することを目的とする部署です。具体的には自社ゲームエンジンの開発やゲーム制作の課題を解決するための技術研究を担っており、私は主にDCCツールの研究を行っています。

ところでみなさん、Bifröst(バイフロスト)というツールをご存知ですか?多くの方は「あぁMayaの流体シミュレーションでしょ!」とイメージされると思いますが、2019年にリリースされたバージョン2.0で大きな変貌を遂げ様々な用途に活用することが可能になりました。

ですがバージョン2.0系はまだ若いツールということもあり、ネット上のユーザーコミュニティーも小さい状況です。
まずは私たち側から情報発信をしていこう!ということで10回ほどの連載を通してBifrostの基本操作や利点をご紹介していこうと思います。

自己紹介

私はこれまでフェイシャルアニメータ職でSoftimage:ICEやFabricEngineをメインツールとしたフェイスリグの開発を担当してきました。(どちらもワンダフルでグレートフルなツールでしたね・・・)
2年前に技術戦略グループに異動し、Bifrost等を用いた内製のリギングやプロシージャルモデリングツールの研究・開発を担当しています。

Bifröst研究メンバー

今のところBifrostを本格的に使用しているのは同僚のMaxime Jeanmouginさんと私の2名です。彼もSoftimage:ICEやFabricEngineの使用経験があり、現在はBifrostを用いたグルーミングやプロシージャルモデリングのツール開発を行っています。


Jeanmouginさんが開発したものの一部をGDC2022AreaJapanのウェビナーで紹介していますので是非ご覧ください。

ブログを始めるにあたって

JavaScriptでループ文を書くのも一苦労の中Softimage::ICEに手を出した当時の私を仮想の読者に据えた内容となります。よって今回のシリーズは未経験者に向けた入門編となる点ご了承ください。

使用頻度の高い基本機能を順に取り上げていき、最終回にはおさらいとして下の動画のようなメッシュの散布ツールを作ってみようと思います。
使い古された題材ではありますが、サードパーティーのプラグインを使用せずともやっとMaya上でこのようなツールを組めるようになりました。(MASHでも同様のものは作れますが開発は止まっていますし、拡張性の点でBifrostに軍配があがります)

 

ツール制作の回では各工程ごとに参考となるブログへのリンクを載せますので、実例と共にツールの学習を進めたい方は最終回の公開をお待ちください。
当ブログが「スクリプトよりもう少し踏み込んだツール開発をしてみたいなぁ」って方の一助になれば幸いです。

最終回までお付き合いよろしくお願いします。
では早速スタートです!>#00 Bifrost とりあえず使ってみよう!

 

高島 正規
テクニカルアーティスト

長年シネマティックアーティストとしてフェイスリグやフェイシャルモーションの制作を担当。現在は技術戦略グループに所属し、DCCツールのプラグイン開発のための内製C++ライブラリの構築と、Bifrostを用いたツール開発を行っている。