プラチナゲームズ代表の佐藤です。

9月になりました。9月といえば東京ゲームショウ。そして今年の東京ゲームショウは、昨年に引き続き、オンライン開催です。

いまさら説明するまでもないのですが、新型コロナウイルスの感染対策のため、会場に人が集まって行うリアルイベントはいま世界中で抑制されています。中止されることもあれば、縮小、無観客開催、などもあります。そしてオンライン開催のイベントも多く目にします。

ゲーム業界ではTGS(東京ゲームショウ)、米国で毎年6月に行われるE3(Electronic Entertainment Expo、イースリー)、そしてヨーロッパのgamescomといった三つの大規模ゲームショウが、今年はすべてオンライン開催です。ちなみにTGS、E3、gamescomを「世界三大ゲームショウ」と呼ぶそうです。

いいですよね。ゲームショウ。

ゲーム業界では新製品や大型新作タイトルのお披露目を世界的なショウで行うことが多いのです。それを皮切りにプロモーションが動き始めます。メーカーはそれを考慮して様々な準備を行います。

お客さんからしてみれば、発売前のゲームソフトを雑誌やWebの情報ではなく、会場で実物に触れる。あるいは、発売前の次世代ゲームマシンのコントローラーを初めてその手で握る。リアルイベントならではの特別な体験ではないでしょうか。

私たちメーカーからしてみればショウ会場はユーザーの皆さんの熱気を感じる場所。そして人気の度合いを感じる場所。どのメーカーのどのゲームに人が集まっているか、遊んでいる人の顔は真剣か。どのメーカーのブースが気合入った展示をしているか。リアルイベントでそれを感じるのがゲーム業界人の習慣になっています。

プラチナゲームズでは、以前ならTGSはもちろん、海外で開催されるゲームショウにも社員を選抜して視察に出かけることが多かったのですが、この2年、そういうことはありません。もっとも、オンライン開催されるなら自宅にいながら見ることができるので手軽ということは言えますが、残念ながらリアルイベントと同じ体験はできません。これはやはりちょっと寂しいですね。

2015年に開催されたE3の様子

 

2016年に開催された東京ゲームショウの様子

 

リアルイベントでないのは寂しい、と言いましたが、オンライン開催ができるのはIT技術とインフラが整った今だからできることでもあります。インターネット環境が一般化したのが2000年ごろ、YouTubeが日本語版のサービスを開始したのが2007年、Zoomの初版が2012年ですから、インターネットを通じてスムーズに動画の送受信が行われるようになったのはこの10年くらいのことだと思います。ビデオゲームは動画配信になじみやすいコンテンツであり、リアルイベントができなくとも今はオンラインイベントで魅力をある程度なら伝えられるということ。これは不幸中の幸いだと思います。

コロナ禍について予断を許さない状態が非常に長く続いています。去年の今頃は、「来年はすべて終息して元の生活を」のような気持でいました。今は、そう考えるより今できることを工夫して行う、というように私自身シフトしてきました。9月の東京ゲームショウはオンライン開催です。どの程度ゲームファンの皆さんの熱さを感じとれるか、工夫しながら視察したいと思います。

ではまた。

佐藤賢一

佐藤 賢一
代表取締役社長

1962年 東京都生まれ。
1986年に株式会社伊勢丹に入社後、1996年にゲーム業界に転身。株式会社セガ・エンタープライゼス(現:株式会社セガ)にて、ドリームキャストのマーケティング業務に携わったのち、2000年に株式会社キャビア(現:株式会社マーベラス)の設立メンバーとして招聘され、会社運営全般の業務に携わる。2006年に有限会社ODD(現:プラチナゲームズ株式会社)を設立。取締役/管理本部長として、経営部門全般の責任者を務め、2016年4月代表取締役に就任。