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ゲーム好きの皆さん、こんにちは。
あとの残りは、これから好きになる人ですよね、こんにちは。ICHIでございます。

ゲーム会社の人間というと三度のメシよりゲーム好き、エンゲル係数をゲーム係数が上回り、財布を忘れてもゲーム機は忘れない、道を歩けばコーナーを攻め、フルーツを見ればスコアボーナスと思い、路地裏や屋上に出れば隠しアイテムを探し、電柱に冷凍マグロに、モップも柱時計もコショウも武器だと思っている。そんな面倒くさい生き物だと思っていませんか。

そんな人が存在するということは否定しませんが、そんな人ばかりではないのです(強調)。
なかには「入社するまで、ほとんどゲームをしたことが無かった」という人も!
ゲームデザイナーはゲーム好きでなければお話になりませんが、アーティストの中には稀にそういった方もおられるようですので、これまであまりゲームに触れてこなかったという方も、この機会にこれから興味を持っていただけるとウレシイですね!

それでは前回の続きです。

 
前回お話しした「ゲームの基本となる要素が詰まったステージ」が出来上がるにつれ、そこで得られた手応え(この「プロトタイプ」を使用してユーザーテストを行ったりもします)を元に、いよいよ本番ステージの開発が本格的に進められていきます。

ゲームの仕様を(なるべく)確定し、全体を通じた制作ボリュームの見直しを行って各作業を担当者に割り振り、スケジュールもより詳細に引き直すため、この時点でシナリオはほぼ完成している必要があります。

開発中期に差しかかったころのプロトタイプ映像(参考例)。
開発初期のプロトタイプ(ゲームの基本となる要素が詰まったステージ)とは違い、
シナリオに基づいて改修されているため、製品版にかなり近い流れになっています。

※出典:BAYO Blog(ベヨネッタのデザイン:モーション)

ゲーム開発の中盤からはチームの人数も増え、ステージ制作と並行してカットシーンセクションが本格稼働を始めます。完成したシナリオをもとにカットシーンのコンテが作られ、モーションキャプチャーが行われ、それが実際のキャラクターモデルによって再現され、登場する背景や小道具の作り込みが行われ、キャラクターモデルには表情が付き、声が入り、BGMが入り、特殊効果が入り、効果音が入り、字幕が入り、コントローラーの振動が入り――。

ゲーム開発の後半は、完全に物量との取っ組み合いです。予定していたステージに敵、武器やアイテム、カットシーンなどなど、ひたすら時間の許す限り作っては突っ込み、実際のゲームプレイで機能するよう組み上げながら、クオリティを上げて行く作業が続きます。

人も時間も足りなくなってくるので、プロデューサーがスケジュールと予算を計算に入れつつ、社内の他の部署から人材を引っ張ってきたり(恨まれます)、必要に応じてディレクターにゲーム内容の圧縮を迫ったりもします(バトルの始まりです)。
やりたかった内容を無理矢理全部入れようとした結果、間に合わず不完全なものを世に出すわけにはいかないし、また内容を切り詰め過ぎても面白さが損なわれてしまうので、「本当に限界ギリギリ」のラインはどこなのか、無駄な部分が残っていないか、厳しい見極めが続きます。

当然新しい要素を突っ込む余裕は、もはやありません。無いはずなのに、いつの間にか新しい要素が入っていたりします。(プロデューサーがブチギレる瞬間です)

そして終盤。デバッグ(不具合の発見)作業が始まります。ゲーム開発で一番恐ろしい時期です。
ゲームバランスの調整なども大詰めに差しかかっている時期ですが、実は意外とこの時に必要なのが「ゲームのヘタな人」。初心者向け難易度の調整用に駆り出されるわけです。(もちろん「超絶上手い人」も大事です。高難易度の調整用です) そして社内で「まだそのゲームを触ったことがない人」も貴重です(他の部署から引っ張ってきたりします)。

むかし私がプログラマーのドンさんから聞いた言葉です。

「一度に大勢にプレイさせたらアカン。遊んだことがない人の意見は貴重なんやから、少しずつ使っていかないともったいない!」(ビシィ!)

そう、どんなにヘタな人でも、何度も遊んでいるうちに慣れてきてしまいますからね。
調整を繰り返していくうちに内容を覚えてしまったら、基準がズレてしまいます。
ある程度調整したら、新しい人に遊んでもらい、またしばらく調整したら、違う人に……というのを繰り返してバランスを取っていくのが良いというお話でした。

ゲームが発売されれば、当然色んな人が遊ぶわけですから、上手い人もそうでない人も遊ぶ可能性があります。ですから、作り手の側にも色んな意見や腕前があって良いんですね。
バランス調整の指針を決めるのはディレクターですが、そのゲームを一番プレイしているのも、知り尽くしているのもディレクターですから、当然ムチャクチャ上達してしまう。そこで、色んな視点からの意見が役立つわけです。

バランス調整に限らず、完成したゲームには色んなスタッフの個性が反映されています。
作品を創るに当たって、チームを率いるディレクターの頭の中には確固たるゲームのイメージがあります。しかし、そのイメージを超えたものがスタッフの中から出てくるからこそ、作品がより奥深いものになるのだと思います。

プラチナゲームズの作品を遊んだことのある方、ゲームを遊んでみて、いかがでしたでしょうか。ゲームから色んなスタッフの顔が透けて見えてきた、と感じていただけたのであればウレシイですね。
「自分の創った場所」が明確に残ります、と前回の記事で書きましたが、それだけではなく、みんなの創ったものが集まることで、想像以上のものが出来上がる喜び、というのもまた格別ですよ。

さて、今回は「アクションゲームのできるまで」ということで、大部分を省略しながら駆け足で紹介してみました。それぞれの職種の実際のお仕事について「もっと詳しく知りたい!」と興味が出てきた方は、これまでに発売されたプラチナゲームズ作品の開発者ブログもご覧ください。
そして「プラチナゲームズで働いてみたい!」と思った方は、こちらの新卒採用ページへ是非どうぞ!

 
【 プラチナゲームズ開発者ブログ 】
Bayonetta
Bayonetta 2
MAX ANARCHY
METAL GEAR RISING REVENGEANCE
The Wonderful 101

 
それではいよいよ、次回から「本物のフレッシュマン」による連載を始めたいと思います。
学校を卒業して、働き始めた最初のお仕事で得られた経験というのはとても貴重なものです。今この時期にしか、書けない内容になることでしょう。

どうぞご期待ください!