→プラチナゲームズのフレッシュゲームデザイナー座談会! 前編はこちら

– それで実際にプラチナゲームズに入社することになって、本田さんは東京から、香ノ木さんと関さんは名古屋から引っ越して来られたんでしたっけ?

香ノ木:僕は愛知で。

関:自分はもともとの実家は富山です。

– 大阪に来て生活は変わりましたか?

香ノ木:生活というよりも周りの人、“人種” というか。

本田:人種、変わった?

香ノ木:もう大阪に来たらガッツリ話し掛けられるので、その辺は若干、合わない感じが……。

本田:そこまで “ザ・大阪” みたいなテンプレートはあんまり――「話に毎回、オチを求める」とか、そういうのは感じなかった。ただ “飲食店で初めてツケで代金を払った” ときは、なんか――。

関:ツケ払いしてたの?(笑)

本田:ツケ払いにさせてもらったときは、「そっか……人情だな」と思った。勝手にそれが人情だと―― “大阪らしさ” だと思いましたね。

– お金がなかったんですね。

本田:そうですね。僕は大学を卒業した後の内定だったので、入社までの間はアルバイトでプラチナゲームズに雇ってもらっていて。時給だったのにちょっといい家を借りてしまって、わりとカツカツだったんですよ。

– 「給料が出たら、払うから」って。

本田:そうですね(笑)。入社してから払いました。

関:自分的にはあれですね。ラーメンの違いは大きかったです。大阪はたこ焼きとかがあるんで、結構こってり系のラーメンが多いのかなと思ったら、“意外と上品” だっていう。

香ノ木:意識高い系だ。名古屋はもうジャンク(笑)

「日の出らーめん」という店の「ガッツ麺DX」。自他ともに認める、最強のジャンクフード。写真を見るだけでよだれが溢れ出る。(香ノ木)

関:本当に脂の塊を麺に入れて混ぜるだけ、みたいなところもあったりして――。それが大阪だともう、油そばも、すごいさわやかな油そばで。なんかジャンク感出してるけど、上品。

本田:名古屋は大阪とわりかし近い印象だよね? 東京~大阪の距離に比べたら近いなって――そんなに違いがあるんだ。

関:東京とは違う感じなの?

本田:ラーメンに関して、大阪は “家系*” の勢力が弱いから。あれは横浜の発祥だけど、こっちは博多の源流を汲む、より正統なとんこつラーメンが自分には目について、そこは土地のつながりがあって面白い。――とはいえ食べ物以外に関しては、そこまで僕は東京との違いは感じてなくて。
*神奈川県横浜市を発祥とする、豚骨醤油ベースのラーメン。「○○家」という屋号の店が多かったことから「家系」と呼ばれる。

– 口に合った感じですか? 大阪の食べ物は。

本田:そうですね。“卵焼き” も、関東は甘いんですよ。でも関西はしょっぱい味付けになっていて、僕にとっては、その関西の出汁を使った卵焼きが、もうめちゃめちゃベストマッチ。食の好みに関しては、大阪のほうが合ってるんだろうなって、思ってます。

– それ、いいところですね。

本田:全部食べ物の話(笑)

本田:――あ、家賃が安いですよ、大阪は。

関:それはそうだ。

香ノ木:東京に比べたら、ですよ。

本田:本当に。東京で今と同じような部屋借りたら、たぶん倍じゃ済まないと思う。

香ノ木:確かに。

本田:僕はワンルームが嫌で、しかも風呂とトイレが一緒とか、もう絶対嫌だったんで(笑)そうじゃない条件に絞って――「これ高いんちゃうか」って思いつつ物件を見たら、意外と安かったという。

– それでいい部屋借りちゃったんだ。

本田:そうです(笑)。アルバイトの時給ではなく、“入社時の支払い能力” で探しちゃったんで。ちょっと最初、大変でした。

– 名古屋と比べると?

香ノ木:僕は名古屋っていうよりも愛知の片田舎出身なんで、家賃的には断然愛知の地元のほうが安いんですけどね……。名古屋は分かんない。

関:名古屋は大阪と同じぐらいじゃないかな。でも大阪のほうが「都市部からちょっと離れただけですごく安くなる」っていうイメージがありますね。自分は学生時代1人暮らしで、名古屋で家を探すときも「学校から離れてもあんまり値段が変わらないんなら、ちょっと高くても近くに住もう」っていうイメージだったんで。

香ノ木:あと「交通アクセスがやっぱりいいな」っていう感じですね。愛知だと名古屋圏内はいろんなところに電車と地下鉄が通ってるんで行けるんですけど、それ以外に行けるかと言われると、ちょっと微妙で。でも大阪の場合は神戸に行ったり、京都に行ったり、なんだったら和歌山にも行けたり――っていう感じでいろんなところに行けるんで。そういう “休日、遊びに行くところ” には全然不満はない感じですね。

– プラチナゲームズも梅田にありますからね。

香ノ木:そうですね。中心なんで。なので、大阪からどこでも行ける感じですね。

– では、そろそろ入社してからのお話を伺いたいと思います。これまではどういったお仕事を?

関:自分がプロジェクトに配属されてからは、まずはアイテムのネタ出しと壊れ物(ステージ内の破壊できるオブジェ)のネタ出しをやったあとに、クエストの実装作業をずっと担当していました。最近は敵関係の資料を整理したりしています。

本田:僕は入社前、アルバイトで入っていたときは雑務的な仕事が多かったんですけど、そんな中でゲームのパラメータみたいな、“データの入力作業” もしていました。もちろん本来はきちんと心得のある人がいて作業するものなんですけど、社員の人は仕様書いたりとかで忙しかったんで、じゃあ入力は、ということで任されて。入社してからはどんどん担当範囲が膨らんでいって、最後はもう、僕がいま死んだらヤバイ(笑)誰もいじれないパラメータの山ができる――みたいなことになったのが最初のプロジェクトでした。だからずっとExcelとにらめっこしてましたね。そのあと別のプロジェクトに配属されて、今は「ステージの設計」という……全然違うことをやってますが。

– 「データ入力」というのも、ただ言われた数字を入れるだけ、というのではなく?

本田:最初はそうでしたね。そうだったんですけど、だんだん、いじれるところが増えるに従って「ちょっと、入れる値も考えて」みたいなのも増えて。で、もちろん何千行、何万行、手で入力してたらやってられないんで、どうやったら自動化できるかを教えてもらって、考えて、簡単な関数を組んだり、っていう。途中から「設計」の作業でしたね。なので、Excelのスキルというのは結構大事です。

香ノ木:僕は最初にステージの設計を任されました。任されたとは言っても、一応 “そのステージで何をするか” っていう仕様は決まっていたんで、実際にそれをホワイトボックス*で組んで、流れを把握できるようにして。ステージを作るうえでアーティストの方から「この辺の資料をください」っていう依頼を受けたら、その資料を書いて渡して、みたいなこともやっています。制作を進めている途中でステージの流れが変わったりもするんで、その都度、企画書とか仕様書も書いて。今はサブステージみたいなところを組んだり、そこで使われるギミックの仕様書を作ったりしています。
*ゲームの流れを設計するために、仮組みされたステージ。地形を確定することが優先されるため、風景としての装飾は入っていない。

– どのあたりにやりがいや面白さを感じていたりしますか?

関:やっぱり自分の作ったもの、実装したものを遊んでもらって、「リアクションをもらえたとき」が一番楽しいと言うか、やりがいがありますね。それがいい結果であれ悪い結果であれ、目の前で自分が作ったものを人が遊んでいるとき。「ああ、こんな感じでほかの人は進めてるんだ」みたいな。「自分の考えたとおりに動いてくれないな」みたいな場合でも結構楽しい。

– おもに見ているのは同じチームの人のプレイでしょうか?

関:チーム内の担当者同士で、お互いの作った場所をプレイしあって意見を交換したりしています。

香ノ木:以前に所属していたプロジェクトでは週末にディレクターチェックがあったんですけど、そこでもディレクターやプロデューサーがステージを通してプレイするところを見ながら、意図通りに進めるようになっているかどうか、確認したりしています。プレイヤーがどういう経路で進むのか、何を置いたら気持ちよくプレイしてもらえるだろうか、というのを考えるのが楽しいです。

本田:社内メッセンジャーでも意見がもらえますね。プロジェクトの「雑談部屋」とか「アイデア部屋」があって、プレイした感想とかアイデアがどんどん送られてくるので助かります。

– 実際にゲーム作りを仕事にしてみて、予想と違っていた部分などは。

香ノ木:「仕様書の内容が最終決定にはならない」というところです。企画書とか仕様書とかは書くんですけど、作っているうちにどんどん色んな人の意見を採り入れたりして内容が変化していくので――“書いても変わる” っていう(笑)

関:ゲームを作ること自体は専門学校でやっていましたし、仕事内容は思っていたのとそれほど違ったことはなかったかなと。求められるクオリティとかは全然違いますけど。

香ノ木:やっぱり納期があるんで、スケジュール管理をしっかりしないといけない。品質の基準もですね。クオリティも納期も――学生時代とは違うなと思います。

本田:“足で稼ぐ仕事” ですよね。僕の場合、学生時代は身の回りで一緒にゲームを作る同期は居なかったから、ひとり悶々と企画書を書いたり、孤独な作業だったんですけども。実際に働き始めてからは、自分の考えを人に伝えて、可能かどうか確認したり、意見を聞いたりして――そういう「“人と人の間で調整する作業” がこんなに必要とされる」っていうのは、予想してなかったです。

– 新卒だと社会人経験も無いわけで、いろいろと想定していなかったことや悩みも出てきたりすると思いますが、プラチナゲームズではそういった場合の相談相手として、一人ひとりに先輩社員の “メンター*” が付く制度があるんですよね。入社前には知っていました?
*仕事や人生における助言者。精神面でのサポートを行う役割であり、監督官ではない。プラチナゲームズのメンター制度は「経験を積んだ先輩(メンター)が、後輩(メンティ)の課題や悩みの解決を手助けし、成長をサポートする」ものであり、社内の信頼関係を築くことも目的としている。

関・香ノ木:知りませんでした。

本田:他の企業で「ブラザー制度」というのがあるというのは知っていました。

– 実際どうでした?

本田:そこまで優しくしてくれるんだな、って(笑)

香ノ木:僕はキャラクターモデリングアーティストの人がメンターなんですけど、自分の考えている企画について「ここが良い」とか、「こうすればいい」とか、「アーティストの立場からだと、こうしてもらえると助かる」みたいな意見をもらえるのが良かったです。

本田:僕は趣味とか、食べ物の話しかしてないな。

関:僕のメンターはプログラマーのU先輩で――スゴクイイ先輩デス!(笑)。いろいろ相談にも乗ってもらってますし、逆にこっちに悩みが無いときは、先輩のほうから「今こんなことで困っててな・・・」みたいな話もしてくれたり。

本田:ブラザー制度と響きは似ているけど、全く違うなと思って。たぶんそっち(ブラザー制度)は師弟関係というか、先輩として仕事を色々教えてくれる感じだと勝手に想像してるんですが。でもメンター制度はそうじゃなくて、職種も違う人がメンターに付くし。僕の場合は4年先輩――“4年先輩“ っていったら、僕らからしたらもう、“完璧超人” なわけですよ。でもそういう先輩に悩みを聞いてもらったり、逆に先輩も色々悩んでるんだ、ってことを知ることができると、「あ、先輩も人間なんだな」と(笑)。そのおかげで、お互いが先輩後輩という関係とか、職種も越えて “相談しやすい環境” になっていくという感じがします。仕事面というより “精神面のケア” という感じですね。

– プラチナゲームズって、実際どんな会社でしょう。

本田:会社説明会でも言われていたんですけど、“新人でもチャンスのある会社”。「少数精鋭だからチャンスが転がっている」っていうことなんだろうな、と思っていたんですけど、実際に入社してみたら、思った以上で驚きました。それで「説明会で言っていたことは本当なんだな」と実感したというか。

香ノ木:“面白さが正義” という感じです。ベテランとか新人とか関係なく、面白いアイデアが出せればそれが正義という。

関:面白ければね(笑)

香ノ木:面白くなければ、バッサリ斬られる(笑)

関:みんな仕事に対しては集中して、真面目にやってるんですけど、新しいゲームの発売日とかになると、誰かがそれをプレイしていて、そこにみんな集まってきて。「ここはどういう風に作っているんだろう」とか、「こういうところが面白い」とか言い合って盛り上がったりしていますね。仕事の時は真面目だけど、社内イベントとかでは明るく楽しんでいる感じで。

香ノ木:趣味が合う人が、かならず居ますね。みんな本当にゲームが好きなので。

– これからの目標は?

関:“ゲームの面白さがどう作られているのか、色々と学んで実力をつけたい” というのは変わらないんですけど、今はゲームそのものの構造もちゃんと理解したいので、社内の勉強会にも出席していて、自分でもUE4などで1からゲームを作れるようになりたいです。

本田:新人として任されることは多いけれども、これまでは「経験を積ませるためにも、とにかくやらせてみよう」という感じでした。それで任された仕事をやりながら学んでいく感じだったんですが、これからは逆に「彼に任せたい」と言われるようになりたいと思っています。

香ノ木:携わっているプロジェクトに対して、自分の意見やアイデアを、もっとしっかり主張していけるようになりたいです。変に萎縮してしまって言われた通りの仕事しか出来ないと、自分でも何が面白いのか分からなくなって後悔することになるので……。それと目の前の仕事を順番に片付けていくだけでなく、全体をみてスケジュールを立てられるようになりたいですね。

– 最後に、就活生へのメッセージをいただけますか。

関:最後まで全力でやり切って欲しいです。自分の周囲では、就活が終わった後で「もっと全力でやり切っておけば良かった」って後悔する人もいたんですよね……。プラチナゲームズを目指す人もそうでない人にも言えることですけど、自分の行きたい会社に行けるよう、後悔のないように全力で就活を全うしてもらいたいです。それでプラチナゲームズを目指してもらえるんだったら――。一緒に働ける日を楽しみにしています。頑張れ!!!

本田:自分は在学中の就職活動で一度プラチナゲームズの選考に落ちて、それでも次の年にもう一度受けて内定がもらえました。就活は本当に大変で、つい「卒制までに決めなきゃ」とか焦ってしまって、とにかく「どこでもいいから終わらせる」ことが目的になってしまったりすると思います。でも、「絶対にここでゲームを作りたい」という気持ちがあるのなら、諦めずに最後まで頑張ることは、きっと良い結果につながると思います。

– 一度落ちたのに、もう一度受けようと思ったのは。

本田:悔しかったからですよね、やっぱり。最終までいったんです。そもそも門外漢で、ゲーム業界の箸にも棒にもかからない、っていう可能性もあったなかで、本当に手探りでいろいろやった結果、内定まであと一歩だったので。それで逆にもう手離したくないというか、「ここまで来たんだから」って。だから2年目はもう、本当に候補を絞って受けて、集中突破しました。

香ノ木:就活はしんどいし、自分を否定されたような気持ちになったりして、つい「周りがこうだから自分もこうしよう」と考えてしまいがちです。でも、それでも就活は楽しんでやったほうが成功すると思います。僕は楽しんでました。色んなところに行けるとか、色んな人に会って話ができるとか――。皆さんも自分なりのやり方で、楽しみながら頑張ってください!

以上、前後編に分けてお送りしたゲームデザイナー座談会でした。かつてない大ボリュームになりましたが、最後までお楽しみいただけたでしょうか。次回は新人アーティストの座談会をお届けします。お楽しみに!



≫≫ 2020年新卒 会社説明会 予約受付中!≪≪ 
※エントリーがまだの方は こちら≫≫