2回目のフレッシュマンブログとなります、サウンドデザイナーの妹尾です。
前回はおおまかな仕事内容や、機材環境などの紹介でしたが、今回はゲームで音が鳴るまでの話や、入社後1年間を経て、どんな苦労があったかなど、ざっくばらんにお話ししたいと思います。

まずはゲームで音が鳴るまでの流れをざっくりとお話しします。

効果音やボイスデータを作るときは基本的に、DAWソフト(Nuendo/音楽制作ソフト)上で音の素材を加工して作り、書き出したオーディオファイルはサウンドのミドルウェア(Wwise)に登録します。

(Nuendoの編集画面)

音を登録したら、次はゲームで作った音を呼び出す準備を行います。準備とは、音が鳴る位置やタイミングの指定などで、ものによってはプログラマーに依頼して音を呼び出してもらうこともあり、モーション、VFX、環境音、イベントシーンなど、鳴らす対象によってそれぞれ音の呼び出し方が異なります。

これらの工程がすべて完了すると音が鳴るようになり、その後は音量を整えたりする、いわゆるブラッシュアップの段階となります。特に問題無ければ一旦実装完了で、ひとまずざっくり音を実装するまでの流れとしてはこんな感じです。

で、素材制作のお話なんかもしちゃいます!
正直、素材制作の作業が全行程の中で一番時間がかかります、長期戦になることもあります。一通り音を作った後には、ディレクターやサウンドのリーダーにチェックを受けるのですが、なかなかOKがもらえず、何度となくリテイクを重ねる日々もありました。

良く覚えているのが、プレイヤーのスキル技など、「弱、中、強」というように、3段階用意されている攻撃の類で、もちろん音も段階分、用意しなければいけません。このような音では、ユーザーの操作で爽快感を感じさせなければいけないので、気持ち良さ重視で全体的にインパクトを強くすることが大前提なのですが、その中でも3段階差をつける必要があるわけですよ。

で、良くあったのが「“弱”と“強”はOKだけど“中”がそれらしく聞こえない」です泣。強すぎると「強」と同じだし、弱すぎると「弱」になってしまう。ただし、大前提として音の方向性は同じで、且つ、気持ち良さを感じさせることの出来る音……。これ本当にハマると結構抜け出せなくなってしまうことが良くあって、まさに迷走モードになった覚えがあります。

こういうときは悩み悩んでパターンを作ってみても、どれもまったくしっくりこず、時間だけが過ぎて焦ってばかりでしたが、ここを脱出するために学んだ自分の制作スタイルが、「とにかくゲームに乗せて手ごたえを確かめてみる」です。

まずは仮音でもなんでも、とりあえずゲームに乗せて自分で操作して鳴らしてみれば、イメージを掴みやすかったり、どのように鳴らせば良いのかが、明確に見えてきます。そうして実際のゲームで操作感を確認し、方向性さえ固まれば、そこからは覚醒したようにスピーディーに出来ていくもので、ようやくゲームに音がバッチリハマったときの、感動と、達成感は今でも覚えています。ディレクターやリーダーにもOKがもらえましたし、苦労して実装出来た音は、是非多くのユーザーに聞いてもらいたいですね。

ゲーム開発におけるサウンドの仕事は、サウンドデザイナーもミュージックコンポーザーも、プレイヤーの操作やプレイ状況に応じて変化を表現する、よりインタラクティブ性の高い分野で、時にはプレイヤーの没入感を増して感情を揺さぶる、重大な役割を持ったセクションです。そんなサウンドだからこそ、苦しいときもありますが、狙い通りのサウンド演出が構築出来た時は、この上ない喜びを感じることが出来ます、「このボタン押したときの爽快感、オレの音ー♪」みたいに笑。

最後になりましたが、記事を読んで、サウンドの仕事に少しでも興味を持ってもらえたら嬉しいです。一緒にカッコ良い音を作りましょう! それではまた!




senoo妹尾拓磨 Takuma Senoo
2016年プラチナゲームズ入社。サウンドデザイナーとして、現在はゲーム内における、敵、プレイヤー、UI等の、効果音およびボイスの制作、実装を担当している。

過去記事
あなたが知らないサウンドデザイナーのお仕事 “クリーチャーボイス”制作