皆さんこんにちは。最果ての地-利尻島から来た男、喜多です。プラチナゲームズでアニメーター(モーションデザイナー)としてゲーム開発に従事しています。

利尻島で18年過ごした後、札幌の専門学校にて2年間CGアニメーションをメインに学び、現在なぜか大阪にいます。世の中にこんなにたくさんの人間がいるとは思っていなかったです。大阪、人多過ぎ……怖い……。

冗談はさておき、私は今回この田舎者がクリエイティブな業界で働くため(就職するため)に、何をしてきたのか、どんな武器で戦ったのか、どういうふうに自信を付けてきたかを紹介したいと思います。



ポイント① - 背水の陣を敷く



僕は上述の通り、利尻島出身です。勿論ゲーム会社も映像会社もなく、経済の中心は漁業、観光業。僕のやりたいことはここで職にするには厳しい。(そもそも専門学校卒業後には島の実家が移住して無くなっていたりしましたが)島に戻ったら最後、CGを仕事にするのは叶わないだろうと思いながら学生時代を過ごした経験から思うに、人は自分の居場所がなくなってしまうと感じると今まで以上の力を発揮できます。オススメです。まずは実家を破壊しましょう。

ちなみに僕は最悪首都圏にかじりついて生活しながらでもゲーム業界への道を残せるようにと、簿記や電卓、Office製品の資格などを高校生のうちに取っていました。背水の陣とかいうわりに保身も考えているのが狡いですね。



ポイント② - 就職先候補リストを作ろう!



もうすでに惚れ込んだ企業があるアナタにも、何も決まっていないアナタにも、今後の役に立つのが就職先候補リストです。(画像は僕が実際に作っていたもの。社名はひみつ)

当時、方向性を決めかねていたので、CGW◯RLDのCGプロダクション年鑑とにらめっこして、興味のある会社およそ110社をピックアップ。興味順で並べられるように点数をつけていって、興味度が50点を超えていた内30社ほどに絞りました。

この中からどういうふうに方向性を導き出したかと言うと、主に「自分のルーツとの結びつけ」です。昔好きだったゲーム、映画、目を奪われたCM、なんでも良いのですが、「あなたはなぜ弊社を選んだのですか?」という問いに対する答えが作りやすくなります。惹きつけられた元の作品を振り返れば、どんなことが好きで何に憧れたのか、何を果たしたいのかまでたどり着くのはそう難しいことではないはず。

僕がプラチナゲームズを選択肢に入れたのは、「モーションと言えばココ」という印象があったからです。恐らくはゲーム情報誌やCGW◯RLD等で事前に調べていたときに記憶に残ったのでしょう。『METAL GEAR RISING REVENGEANCE』が好きだったこともあって、リストに入れようと思い立ってすぐに応募した覚えがあります。

具体的に、僕が応募する会社を精査するときにしていたことを紹介したいと思います。

① HP(ホームページ)をみる
当たり前ですね……。情報の宝庫です。学校に来た求人だけで応募するなんて人は少ないと思います。「採用」ページを見るのは勿論ですが、僕の場合は「中途採用」のページを必ず確認するようにしていました。と、言うのも中途採用のページには「その会社で今特に欲しい人材」に関して記載されていることが多いからです。重要な情報ですよね。

② 転職口コミサイト・就職情報サイトをみる
予め注意点を申し上げますが、転職口コミサイトには最新ではなく、過去に辞めた方の意見が多く掲載されています。多くの場合において特別目立つその会社のデメリットが感じたままに掲載されているため、小奇麗なHPからは感じ取れない闇を察知することも出来ます。ただしあくまで一個人の意見であり、勘違いや悪意が含まれている可能性もありますので、色んな意味で惑わされぬよう。
就職情報サイトには社員の方の話が写真付きで載っています。プラチナゲームズの場合は今みなさんがご覧になっているフレッシュマンブログでも、どんなふうに仕事をしているのかを公開しているので、出来れば全部見ていただきたいですし、現役社員の書いた記事から、「この会社にはどんな方が集まっているのだろう」「この会社にはどんな特徴があるのだろう」と推察するのも良いと思います。

③ 業界人に訊こう
学校の講師の方でも良いのですが、出来れば現役の開発者の意見を訊いてみましょう。自分が良いと思っていた会社でも、視点が変わると評価も変わるものです。仲良い方ほどぶっちゃけた話をこぼしてくれることもあります。注意点としては、聞いた意見の印象が特に強く残るので影響を受けやすくなりがちです。鵜呑みにはせず一つのお話として咀嚼するように。

④ 会社説明会、合同説明会に行こう
社員の人に面と向かって質問を出来る数少ない機会。学生のなかには「学校に言われたからとりあえず聞いとこ」みたいな感覚の方もいると思いますが、直接話せるので貰える情報の質はナンバーワンです。是非いろいろな会社の説明会に行って他社と比較して違和感のあった部分について質問をするとか、作品を見てもらうとか、やってみてください。
質問タイムはとにかく深く考えず聞きたいことをストレートにぶつけていると、周りも乗っかって良い質問をしてくれることがあります(他力本願)。

以上が、僕が会社精査でやっていたことです。どれもやって当たり前なことですが、何も考えずに選ぶと入ってから後悔するので、入る前によく調べて考えて相談しましょう。

プラチナゲームズは最終的に完成したリストの中でいうと最も距離が遠い場所でしたが、考え方・取り組みに最も共感出来たことが決定打となり、応募しました。

実家からは1800km超の遠く離れた場所でも「やっていくぞ」という決意を生んだのは今までやってきたことと将来やりたいことをリストに照らして導き出した評価があってこそ。

……実際はすごく面倒くさいですねコレ。ただ、僕は価値を感じました。



ポイント③ - 好意と得意を見極める



僕は今でこそアニメーションをメインに仕事をさせてもらっていますが、就活スタート当初はVFXアーティスト(エフェクト)志望。映像を一本なんとか作り終えた段階で、「企画を考えて自分で作る仕事が楽しい」と思うようになり、ゲームのコアに近いところで遊びを考えられるモーションデザイナーという道に進むことにしました。

“「好意」は発想の展開に向いていて、「得意」は発想の収束に向いているのではないか”という考えを元に、僕にとってその両方の要素を持った仕事がモーションデザイナーという道であり、その選択に適していたのがプラチナゲームズでした。

「企画者でありたい」という好意を「アニメーション」という得意によって仕事に結びつけた僕のように、「何を得意としていたいか」「自分がどうありたいか」という部分を見つけられれば、今後の選択に活きてくるのではないでしょうか。おのずと自信を持って行けると思います。(確信はない)

僕が就職するために考えていたことは、大体こんなところでしょうか。奇特にもここまで読んでくださった皆さんには、是非仕事のモチベーションの持ち方とか働き方とか、根本的なところを考えつつ、幸せな人生設計と適切な選択をしていただければと思います。

次回はもう少し口当たりの良い記事をお届けしたいですね。さようなら!

最近購入したフィギュアをデスクに飾っています。何故か財布が軽い。




kita喜多純太 Junta Kita
2017年入社。北海道の利尻島出身アーティスト。主な担当はアニメーション。好物は奈良漬で趣味は多数。マラソンからコミケまでいけます。