こんにちは!
今作NINJAGAIDEN4でステージディレクター件ENVIRONMENTセクションリーダーを担当しました、阿部です!
さて、ステージディレクターとはなんやねんな。という話ですが、ざっくりいうと
「ステージにおける主な体験のすべて」を監督する役職です!
ゲーム業界的に言うと、いわゆる「レベルデザイン」と呼ばれるものの監督です。
「全体を通してこういう体験にしたいからステージはこういう順番にしたい…」
「こういう順番でアクションを学んでほしいからこのステージはこういう敵にしたい…」
「こういうシナリオを味わってほしいからここでこういう出来事がほしい…」
「全体のテンポの緩急をつけたいから、あえてここは閉鎖的で鈍重なリズムにして、直後に爽快感を…」
などなど、全ては「最大の逆境と乗り越える」「刺激的なほど残虐」「最大の変化を作り出す」という今作の大きなコンセプト達成のため…あらゆる体験を組み立てていくお仕事です。
他の職業で例えるなら、料理のコースを考える料理人でしょうか。「この素材の味を最大限味わわせるなら、こういう料理をこの順番で出すべきやで!」…と考えているような感覚です。
料理人の方々の仕事を深く知っているわけではないので、コックの皆さん全然違ったらスイマセン。
では、ENVIRONMENTセクションの仕事とは?
ビジュアルの大部分を占める「背景」の制作です!
みなさん今すぐNINJAGAIDEN4を起動してみてください。画面の8割は「背景」です。
「こういう世界」「こういう時代」「ここがプレイアブルゾーン」「ここが行き止まり」
などなどこれらの世界観とゲーム的記号を定義することで、プレイヤーの皆さんが没入感を保ったままかつ遊びやすいステージのデータを作るのがENVIRONMENTのお仕事です。
他の職業で例えるなら、ショートケーキを作るお菓子職人でしょうか。「イチゴ(プレイヤーキャラクター)が最大限映えるように、その下地のスポンジも丁寧に作るで!」…という意識で作っています。
お菓子作りの仕事を深く知っているわけではないので、パティシエの皆さん全然違ったらスイマセン。
さぁ、自己紹介はこれくらいにして、NINJADAIDEN4本編の魅力について語ろうと思います!
▼魅力①:何はともあれ「逆境」!
「最強の逆境を乗り越える」これはNINJAGAIDENシリーズの元来の良さをさらに進化させるために設定されたコンセプトです。
最もピュアなアクションゲームと言ってもいいこのNINJAGAIDENシリーズですが、
その良さとは「殺し合いにおける極限の緊張感と、そこから解放されたときのアドレナリン」これに尽きると思います。
今作では「敵の数」そしてその「凶悪さ」これらを大幅にアップグレードしたことによって、「これまでで最も歯ごたえのある仕上がり」つまり「最大の逆境ッ!」になっていると言っていいでしょう。
プレイヤーと同等と思える強さを持つ数多の敵に囲まれる逆境感、精密なやり取りを極限まで要求されるボス戦緊張感を、存分に味わってください。
もちろん理不尽なつくりにはしていません。逆境をはねのけるための新要素「鵺の型」「鴉忍具」これらを使って形勢逆転だッッ!
ステージデザインにおいてもこの「逆境感」というのは最も大事にしたキーワードです。
「押しつぶされそうなほど高くそびえたつ背景」「どこまでも落ちていきそうな奈落」など、「逆境感」を出すため、数々の凶悪なシチュエーションが用意されています。
プレイヤーの皆さんには、新たなステージを見るたびにその凶悪な姿に武者震いを覚えてほしいものです。
▼魅力②:刺激的なほど「残虐」!
これは言うまでもないかもしれません。
腕スパァアン!脚スパァン!頭スポオン!胴体マップタツ!!!と、今作はとにかくゴア表現にこだわっています。
戦闘の激しさや攻撃する気持ちよさを最大限高めてくれるのはやはりゴア表現だろうと、飛び散る血や欠損の仕方など、
とにかく爽快感を感じられるように刺激的な表現を突き詰めています。
CERO:Zのゲームですから!
そういった刺激的な瞬間がなるべく多く感じられるように、ほとんど常に四方八方から敵が襲い来るような設計にしています。
もちろん飽きさせない緩急をつけたうえでの話ですが、いろんな敵を、大量に、いろんなやり方で滅却ッ!できるようになっています。
▼魅力③:最大の「変化」!
本作では最高に刺激的な体験を提供するため、あらゆる意味で「変化」を強調しています。
アクションゲームの根源的な喜びってなんだろう?と突き詰めて突き詰めて出てきたのがこの「変化」というワードです。
生きていた敵が死ぬという変化
形成を逆転するという変化
拮抗していた戦闘から一気に駆け抜けるステージへと遷移する体験の変化
きれいな敵を血まみれにするという変化
暗い場所から明るい場所へと移る変化
血殺で画面が真っ赤に染まる変化
新しい主人公になるという変化
自分の手で強烈な変化を起こすことが、アクションゲーマーにとっての最大の快楽になるのではないか…。ということです。
他のゲームではなかなかないほどプリミティブでコントラストのある体験になったと思います。
まだまだ語りたいですが、大きな意味でのNINJA GAINDEN 4の魅力はこの3つだと思っています。
これらの要素が最大限輝くように、プレイヤーが「何を」「どういう順番で」体験するかを設計するのが僕の仕事でした。
NINJA GAIDEN シリーズは高度なアクションゲームですから、アクションの要素も必然的に多くなります。
今回は新要素も多数盛り込んでいますし、味わってほしいシナリオも存在します。それら数多の要素をストレスなく覚えられかつスピード感と迫力のあるステージ体験を両立させることには
とても大きなチャレンジでした。
あちらを立てればこちらが立たず。しかし、全てが大切です!
無数にある選択肢の中から最も「面白い!」ものを選び取るため、日夜試行錯誤に明け暮れました。こればっかりは一生懸命考えるしかありません。かけた情熱と時間がモノを言います。
結果としてはNINJA GAIDEN シリーズ最新作の名に恥じない理想のレベルデザインを見つけ出せたかなと思います。
「導入の演出」は中でもお気に入りです。
ビジュアル、サウンド、ゲーム性すべての要素が有機的に組み合わさって、このゲームのコンセプトを最も端的で最も力強く表現できたと思っています。
仕上がりの結果は、ぜひゲームを手に取って確かめてみてください!
個人的にこの数年間、スラッシュアクションの最前線で試行錯誤する日々は宝物のような時間でした。
ではまたどこかで!
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阿部 雄大(Yudai Abe) 2020年にプラチナゲームズ入社。『ベヨネッタ3』ではエンバイロメントアーティストとしてステージ制作を担当。最新作『NINJA GAIDEN 4』ではステージディレクター兼リードエンバイロメントアーティストとして、全ステージのレベルデザインおよび、背景の世界観とビジュアルクオリティの監修を担当する。作品への情熱と繊細な表現力、豊かな発想力を活かし、ユーザーが没入できる臨場感あふれるゲーム体験の実現に日々努めている。 |