こんにちは、キャラクターモデラーの宗です。

今作では主にキャラクターのほうをやっていましたが、
ホムンクルス、魔獣まで幅広くモデリングを担当させていただきました。

その中で、今回はホムンクルスのモデリングに関して紹介させていただきます。

こちらはzbrushというデジタル彫刻ソフトを使用して作成された、
ゲームデータの土台になる造形のみのデータになります。

フロッカスのハイモデルデータ

ビルガのハイモデルデータ

シンギュラリティ安定体のハイモデルデータ
ベースは宗が制作、フィニッシュはAjay氏が完成させました。

ホムンクルスの装甲箇所(白い部分)のアップ
この部分は設定では貝殻様の質感になっています。

いかがでしょうか。

こちらは、モデリング工程の中で”ハイモデルの制作”といった箇所になります。全体の工程の中でも非常に時間のかかる部分で、これら数千万ポリゴンで構成される土台のデータがゲームで動くように、簡易な数万ポリゴンで構成されるデータにテクスチャとして落とし込んでいきます。こちらの出来の良しあしがゲームでの見た目に大きくかかわってきますので、最も力を入れる作業になっています。

また、今回非常に苦労した部分として、制作時間の制約でした。ご覧の通りホムンクルスは様々な材質で表現されています。これらのクォリティを保ちながら時間以内にどうやってこなすかが問題になりました。そこで、デザインの段階で、ホムンクルスの構成パーツ数を絞り、これらを繰り返し配置することで全体の密度を上げながらクォリティを保つ事にしました。このようにして”賢いズル”をしながら効率よく作ることが大事だったりします。

これらのパーツは
他のホムンクルスでも流用して使用できるような形になっています

 
次は、ホムンクルスの作成ですごく大変だった部分を紹介します。皆さんはゲーム中でホムンクルスのお腹に小さいホムンクルスが入ってる事はお気づきでしょうか?

作成段階のデータではこれらの小さいホムンクルスが一つ一つ実際に配置されていたりするのですが、ゲーム内で、それらすべてのホムンクルスを実際に配置していたら処理がとても重くなり。お腹に詰まっているように見せるためにこれらの配置されたホムンクルスをテクスチャ、シェーダーに変換するという形で落とし込んでいます。

フロッカスにストラトゥスが実際に配置されている様子
実際に配置されたホムンクルスがゲーム中ではテクスチャに変換され、これらが肌の奥に詰まってるような表現になっています。


 
この他にもホムンクルスが存在します。

現在の形になるまで紆余曲折がありたくさんの方々の努力がありました。そして、全体的に物量がとても多く大変な時期もありましたが、モデラーとしては充実した日々を過ごすことが出来ました。

発売されて少し経ちますが、一度手に取って遊んでいただけるととてもうれしいです。


宗 正洋
Masahiro Mune

プラチナゲームズ所属のキャラクターモデラー。過去には『ベヨネッタ』『ベヨネッタ2』、『Vanquish』、『Wonderful101』、『アストラルチェイン』、『MaxAnarchy』の開発に携わり、『ベヨネッタ3』ではキャラクター、ホムンクルス、魔獣のモデリングを担当。