※この記事は『ベヨネッタ3』のネタバレを含みます。

こんにちは!VFXアーティストのペクギュリです。VFX①VFX②のブログ記事に引き続いて、今回は『ベヨネッタ3』のエンディングダンスにおけるVFXのコンセプトや活用した機能などを紹介させていただきます。

 


コンセプト


 

本作ではマルチバースという設定で、あらゆる並行世界に存在するベヨネッタが登場します。広い世界観を意識し、今回のエンディングダンスは宇宙をイメージして制作いたしました。

VFX非表示

VFX表示

元々は真っ暗の空間でベヨネッタが一人で踊っている状態だったのですが、このままでは寂しいですよね。およそ90枚に及ぶテクスチャを使用し宇宙のような深みを表現しました。結局保存ができなくなるくらいテクスチャを重ねすぎてしまって、後調整をした覚えがあります。(笑)

宇宙のコンセプト以外にも、もう一つ意識した点があります。

以前、「ベヨネッタのVFXはまるで香水のようだ」と言っているのを聞いたことがきっかけで、見ているだけでほのかな花の香りがしそうなイメージをコンセプトにしました。見た目で香りを表現するために、香水やトリートメントのCMがとても参考になりました。キラキラしたパーティクル、空気中にうっすら流れている煙、オーロラのようなエフェクトはすべてベヨネッタのゴージャスでセクシーな面を表現するにあたってピッタリでした。

 


ベヨネッタ変身シーン


 

エンディングダンスではベヨネッタが霊体から実体を持った姿に変わる特別なシーンがあります。

もし霊体モデルを単純にアルファ値(透明度)を下げてフェイドアウトさせると、ディザリングの“つぶつぶ” がどうしても目立ってしまうため、他の手を使わなければいけませんでした。

そこで採用したのが「クリップボックス」機能です。このクリッピング機能を使用すると、実体のモデルを指定したボックス型の領域に含まれている部分だけ表示することができます。

※姿が変わるときの演出がより自然に見えるように、表面にオーロラシェルポリゴンを重ねています。

以上、『ベヨネッタ3』の最後を飾ったエンディングダンスについての紹介でした!

ご清覧ありがとうございました!


ペク ギュリ
Curie Baek

2021年にプラチナゲームズ入社。VFXアーティストとして『ベヨネッタ3』に携わる。主に背景、オブジェクト、そしてスタッフロールのエンディングダンスにおけるVFXを担当した。