お久しぶりです。初CD化から二十数年ぶりの最新デジタルリマスターによるビートルズのCDボックスセットを購入し、すべてMP3化して悦に入ってる神谷です。いずれちゃんとしたステレオシステムで聴きたいものですね…。

先日、プラチナゲームズの公式サイトで、社長の三並のエントリにて「ベヨネッタ」のPS3版についてのお話がありました。コメント欄にも、たくさんのユーザーの方から色々な御意見が寄せられています。僕の立場で言える精一杯の言葉は、ユーザーの皆さんには出来る限り最大限の情報をお知らせし、その上で遊んで欲しい、ということです。10月8日には体験版の配信も始まりました。僕は発表当初から“触り心地”を語ってきました。「買って欲しい」とは言わず、「触って欲しい」と言い続けてきました。皆さんには「ベヨネッタ」の触り心地を是非ご自身の手で味わって頂き、判断して頂きたいと思っています。

今回は他にも話題が幾つかあるので、一つずつお話していこうと思います。まず一つは東京ゲームショウ。いろいろ忙しくて、今更大した目新しさもないかも知れませんが、僕の目から見た東京ゲームショウのレポートをひっそりと綴ってみたいと思います。

僕は橋本君と一緒に、ビジネスデイとユーザーデイ4日間のショウすべてに行ってきました。すでに甲斐さんのエントリでも紹介されていますが、とにかくベヨブースは大盛況! 会場後すぐに2時間待ちの列が出来て入場制限が掛かってしまい、「せっかくベヨ目当てで来たのに遊べなかった!」という方も大勢いたことでしょう。これは本当に申し訳なく思います。長い列を見て嬉しい反面、楽しみにしてきた全ての人に遊んで欲しいなぁと、胸が痛みました。

今回のTGSは、僕にとって特別の想いがありました。去年は「ベヨネッタ」の初プレイアブル映像を含んだPV発表だけで、当然ながらベヨのブースはありませんでしたから、僕も居場所がなくて(笑)ちょっと会場をウロウロした後、すぐに引き上げてしまいました。帰りに橋本君が言った「来年はTGSをベヨ一色に染めますよ」という言葉にウンウンと大きくうなずきながら、一年後のTGSに思いを馳せたものです。
そしてついに迎えた今回のTGS。ベヨネッタの幕を大きく張り出した専用ブース、そしてズラリならんだ試遊台。ついにこの日が来たかと感無量でした。
もちろんユーザーの皆さんが実際に「ベヨネッタ」をプレーする様子をこの目で見るためにTGSへ行ったのですが、他にも色んなメディアからの取材も受けました。こうして注目して頂けるというのは、オリジナルタイトルでは本当にありがたいことです。

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写真:ベヨブース大盛況の図。会場入りする位置にブースがあってスクリーンに流れるPVを見てもらえたので、ここで「ベヨネッタ」の事を初めて知る方も多かったのではないでしょうか?

タレントの松嶋初音さんが「ベヨネッタ」のブースをレポートしに来て下さって、僕と橋本君で解説をするという取材もありました(ファミ通waveDVDさんの取材です)。
本当に申し訳ないのですが、僕は最初「ちょっと(いやメッチャ)カワイイんだか知らないけど、ゲームの事も良く分かってない子がキャーキャー遊ぶのに付き合うのメンドクセ」と思って(スンマセン)、とりあえず解説は橋本君に任せて後ろに立ってることにしました。ゲーム開始時も、イージーオートマチックを薦めているにも関わらず「ノーマルでやる!」と意気込む松嶋さんを「無理だっつーのに…」と白い目で見ていました(マジでスンマセン)。
…ところが。いざゲームが始まると、橋本君の簡単な操作説明を聞いただけで、松嶋さんは様々なコンボを難なく実践。しかも敵の攻撃を回避して発動する「ウィッチタイム」に果敢に挑戦し始めるではないですか! そのウィッチタイム発動に苦戦して、あと一回攻撃を受けたらゲームオーバーというところまで追い詰められたものの、見事ザコを全滅! しかしそこで中級ボスのビラブド登場、さすがにここまでか? と手に汗握る僕と橋本君の目の前で、松嶋さんはウィッチタイムを連発、ノーダメージでビラブドを撃破したのです!

後で知った事ですが、松嶋さんってゲームに相当詳しいみたいですね…しかも「大神」を「神ゲー」と評して下さるほど御存知&僕の事もどうやら知っていたりするみたいで…僕はナメてたことを地面に頭を擦り付けて一人猛省したのでした…スンマセン…ちょっとアイアンメイデンに入って来ます…。

アメリカザリガニさんのお二人もベヨネッタをプレーして下さったようで、別の取材でブースを留守にしていた僕は実際の現場には立ち会えなかったのですが、ちょうど収録を終えて一休みしているお二人とお話させて頂きました。
僕は以前から、アメリカザリガニさんの柳原さんとはどうしてもお話したいと思っていました。というのは、だいぶ前の話になりますが、ファミ通さんに掲載された芸能人インタビュー企画の記事で、柳原さんが「大神」を好きなソフトとして挙げて下さっていたんです。
一言お礼を言わねば! …と思い続けていた僕に訪れた柳原さんとのファーストニアミスが、去年のTGS。目の前を柳原さんが通り過ぎたのですけど、ちょうどレポートの撮影中のようだったので、声を掛けることが出来ませんでした。
セカンドニアミスは、今回のTGSビジネスデイの1日目。取材のために会議室へ向かってテクテク歩いていた僕は、目の前に迫る柳原さんを発見! …しかし突然の発見で固まった僕は、柳原さんをスルー…ホテルに帰ってヘタレな自分を責めました…。
そしてついにビジネスデイの2日目、取材を終えてベヨブースに帰ってきた僕は、そこで奇跡的に柳原さんとのコンタクトに成功することとなったのです。 突然「「大神」のディレクターの神谷です」と近付いていった不気味な僕に、柳原さんはとても親切にご対応して下さいました。柳原さん、本当にありがとうございした。

もう一つ、「ベヨネッタ」以外にもとても楽しいイベントがありました。あの「逆転裁判」シリーズの巧舟(たくみしゅう、以下タクシュウ)の最新作「ゴーストトリック」のステージイベントです。
タクシュウとはカプコン時代の同期で、共に旧第四開発で三上さんに説教されて育った仲です。今回はタクシュウが直々に声を掛けてくれて、「ゴーストトリック」のステージイベントにゲストとして参加させてもらうことになりました。
ステージイベントはユーザーデイの二日間それぞれ一回ずつ行われ、僕も二日間、ゲームの応援になってるのかなってないのか分からないような思い出話に花を咲かせてきました(笑)。サプライズゲストということで事前にお知らせは出来なかったのですが、気付いて見に来て下さった方はいたでしょうか?
タクシュウとはプライベートで良く飲んだりしているのですが、オフィシャルにカプコンのステージに立つというのはとても感慨深く、こうして交流を深めて是非またいつか、カプコンとプラチナで面白いことが出来ればなぁという思いを強くしました。呼んでくれたタクシュウ、プロデューサーの竹下さん、そしてステージ実現に尽力して下さったすべての方に感謝です。

この「ゴーストトリック」というゲームは…あれこれわざとらしい巧言を並べるのもアレなのでここでは詳しくは書きませんが(是非公式ページで御確認下さい)、僕がとても嬉しかったのが、今回のTGSで発表された日本ゲーム大賞2009「フューチャー部門」を、我々の「ベヨネッタ」と、そしてタクシュウの「ゴーストトリック」が共に受賞したことです。
これには本当に感激して、授賞式の時にタクシュウと「ステージイベントにこのトロフィーを持って一緒に出よう!」と決めて、本来はタイトル刻印のために一時返却しなければいけないトロフィーを無理を言ってお借りして、その直後に行われた「ゴーストトリック」のステージに二人でそのトロフィーを持って立ったのです。

この「フューチャー部門」という賞は、ショウに出展された未発売のタイトルのうち、最も期待されるゲームに送られるというもので、我々の作品を含めて12タイトルが受賞しました。
僕は賞というものにはあまり興味がないんですが、オリジナルタイトルで勝負する場合は、とにかく“知ってもらう”という第一歩が大切になってきます。こうした賞を頂くことで、少しでも多くの人に知ってもらうことが出来れば、ありがたいことです。
しかし“フューチャー”と銘打ちながら、受賞した12作品のうちオリジナルタイトルが僅か3作品しかなかったことが、正にゲーム業界の今と未来を表しているようで、何ともいえない寂しさを感じました。だからこそ、「ベヨネッタ」と「ゴーストトリック」が数少ないオリジナルタイトルとして踏ん張ったことを、僕とタクシュウは心から喜んだのです。僕はステージ上でタクシュウと二人でトロフィーを掲げた瞬間、涙が出るほど感激しました。…でも泣くとタクシュウの手前、僕のコケンに関わるので我慢しましたが(笑)。

我々の「ベヨネッタ」は、すでにジャンルとして確立している「3Dバトルアクション」の流れを組むものですから、素材全てが真新しい「ゴーストトリック」こそ、“フューチャー”の名を冠するに相応しいタイトルだと僕は思っています。「逆転裁判」ファンとして、タクシュウが手掛ける「逆転裁判」を見たいという気持ちもありますが、彼は新しいブランドを確立する力を持った数少ないクリエイターの一人ですから、彼の新しいタイトルには大きな期待をかけたいですし、高い志を持ってゲーム業界の未来を担うタクシュウ自身を、僕は心から頼りたい…じゃなくて応援したいと思います。

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写真:甲斐さんのエントリにあったように、僕はオリジナルTシャツを(勝手に)着てステージに臨みました。某オリジナルをリスペクトした甲斐さんこだわりのポーズと、某オリジナルをリスペクトした島崎こだわりのロゴ。これを印刷して、実家のオヤジにアイロンプリントしてもらって作った、こだわりの“私物”です(笑)。オヤジも欲しいというので、ひとつ余分に作りました。

他にも色んな出会いがありました。ベヨブースの前で出会った桜井政博さんとは、短い時間ですがお話しさせて頂き、応援の言葉まで頂きました。本当にありがとうございます。

「戦国BASARA」「デビルメイクライ」シリーズで有名なコバと、「デビル4」の伊津野君もベヨブースを覗きにきてくれました。コバから「小島監督が「ベヨネッタ」の事で何か話があるって言ってましたよ」と聞いたんですが、もしも説教だったらヘコむので挨拶には行きませんでした(スイマセン…)。

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写真:ベヨブースをバックに。コバ、いつか一緒に何かやろう!

セガブースでは「戦場のヴァルキュリア」の田中俊太郎さんとお話することが出来ました。俊太郎さんは今回「戦場のヴァルキュリア2」の出展で来られていたのですが、なんと彼はあのタクシュウと大学の同級生なのです! そんな縁で「ゴーストトリック」のステージも見に来て下さったようです。俊太郎さんとは色々コチョコチョっとした事をお話したんですが、今はまだナイショです(笑)。俊太郎さん、僕は「世界観が違うからどうの」なんてケツの穴の小さいことは言わないので、ユーザーのみんなが楽しめることであればドーンとアレしましょう!

ベヨブースでユーザーの皆さんにガイドをしてくれたコンパニオンのお姉さんたちも、「ベヨネッタ」を気に入って下さったようでした。最初はまぁ社交辞令かな、とも思ったんですが、熱烈にサインをお願いされて舞い上がったチェリーな僕としては彼女たちの応援の言葉を全面的に信じたいです。男はそういうもんです。サインと一緒にメルアド書いとけば良かった…。

そして何よりも感激だったのが、わざわざブースまで足を運んでくれたたくさんのファンの皆さんとの触れあい。これがショウの醍醐味なんですよね! こういう時でなければ中々皆さんとお話しする機会はありませんから、やっぱり直接お会いして応援の言葉を頂くと大きな励みになりますし、青春を犠牲にしてゲーム制作に勤しんできた人生も報われる思いです(笑)。女性の方と一緒に写真を撮ったりすると、公然と肩を抱けますしね…プフフフフ。

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写真:ファンの方からの頂き物。「神谷」!? どうもありがとうございました。
他の方からもお菓子をいっぱい頂きました!

…と、色んな出来事がありましたが、今回は「ベヨネッタ」出展で舞い上がっていたので、ほとんど写真を撮りませんでした。モッタイナイ…。でもこんなにたくさんの思い出が生まれたゲームショウは、忘れる事はないでしょう。次にタイトルブースを設けてショウに行くのは何年先になるか分かりませんが、今はショウの思い出を反芻しながら、「ベヨネッタ」の発売を楽しみに待ちたいと思います。

ゲームショウのご報告が終わったところで、もう一つ話題があります。実はTGSが終わった次の日の9月28日、「ゲームの食卓」というwebラジオの収録にお呼ばれして、橋本君と二人で行ってきました。パーソナリティの磯村知美さん(通称イソッチ)と「ベヨネッタ」に関する話題をたくさん語ってきましたので、是非放送を楽しみにして頂きたいです。
どうしてもブログだと堅苦しい報告になってしまいますが、僕はユーザーの皆さんとの距離を出来るだけ縮めたいと考えているので、このラジオ収録でもなるべく素のままでお話しするように心掛けました。…まぁイソッチさんが喋りやすいムードを作って下さったお陰なんですが…もしかしたら素になり過ぎたかも知れません(笑)。
10月8日を初回として、4週に渡って配信されるという事なので、僕も楽しみにしています。

最後にもう一つ。10月3日に行われた「店頭体験会」のご報告をいたします。この日を皮切りに全国各地で「ベヨネッタ」を店頭で遊ぶことが出来るイベントが順次開催されますが、せっかくの初日なので僕と橋本君で東京の4店舗の様子を実際に見に行ってきました。
まずは新宿のさくらやさん、ビックカメラさん、ヨドバシカメラさんの3箇所を訪問。当日は午前中に雨が降ったようでしたが、大勢のお客さんに集まって頂いて、会場はとても盛り上がっていました。

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写真:最初にいったさくらやさんの様子。途中雨がパラつきましたが、幸いひどく降ることはありませんでした。昼時だったせいか人はまばらですが、このすぐ後に行列が出来ました。

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写真:ヨドバシカメラさんでの様子。15時近くなって外出する人も増えてきたようです。道行く人も足を止めて画面に見入っていました。

夕方には葛西にあるゲームショップ、ゲームズマーヤさんの方にお邪魔してきました。ゲームズマーヤさんは非常に思い出深い場所で、「大神」の時にも店頭体験会を催して下さったお店です。今回の「ベヨネッタ」は比較的分かりやすいゲームのためか注目度も高く、多くの店舗で店頭体験会を催して下さいますが、「大神」の時に店頭体験会を催して下さったのはわずか3店舗ほどでした。そんな当時にゲームズマーヤさんは「大神」に注目して下さり、大プッシュをして下さったのです。だから僕はもう葛西に足を向けて眠れないんですよね。
そして今回もゲームズマーヤさんは我々の「ベヨネッタ」を大きく取り上げて下さいました。「大神」の時には2、3人ほどしかお客さんが付いておらず、プレーの様子をジックリ見ることが出来たのですが(笑)、今回の「ベヨネッタ」の体験会は、店内にお客さんが溢れてモニターに近付けないほど大盛況でした。
お店は「ベヨネッタ」のポスターやポップでデコレーションされ、この日はまさに「ベヨネッタ」一色といった盛り上がりでした。

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写真:感慨深そうに店頭ディスプレイに見入る橋本君。「ベヨネッタ」ののぼりも立っていました。

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写真:お店は一面の「ベヨネッタ」! お店の中はお客さんで一杯でした。ゲームズマーヤさん、本当にありがとうございました。

日を同じくして、関西でも1店舗、体験会が開かれました。ソフマップさんのなんば店ザウルス1です。僕たちは行けなかったのですが、ベヨネッタスタッフが何人かお忍びで見に行ってくれました。こちらも大勢のお客さんが詰め掛けて下さったようです。こういう盛り上がりを肌で感じることは、スタッフにとっても感動の体験なんですよね。今回のようなイベントはもちろんユーザーのみなさんに楽しんでもらうためのものですが、僕たち制作スタッフにとっても元気の源なのです。

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写真:大阪での様子。体験会では予約特典としてマウスパッドが配布されたのですが、予想外の大盛況のために切らしてしまう店舗もあったようです。もらえなっかった方、本当にすみませんでした。

今回のブログはお話しすることが溜まっていてだいぶ長くなってしまいましたね。10月に入り、「ベヨネッタ」の発売がいよいよ近付いてきて我々の気持ちも盛り上がって来ています。何かご報告できることがあれば、なるべく早めにお知らせしていきたいと思います。それでは今回はこの辺で!

P.S.:
ご報告が遅れましたが、ベヨの駅張り広告が関東で展開されています! 場所は山手線内36駅、計44面!! 10/1~10/31までたっぷり掲載されるので、是非肉眼で御確認頂きたいです。…と言っても僕もまだ見てないので、出張で関東へ赴いた暁には探したいですね~。

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写真:モデルの方は、ウクライナ出身のOlenaさん。残念ながら学業に専念されるという事で、この仕事を最後に故郷へお帰りになりました。まさかベヨの仕事が辛かったからという事は…ないですよね?

P.S.②:
TGS前に実家に帰ったので、信州の宣伝を少々。

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写真:松本駅構内、大糸線ホームにあるそば屋さん。店内にも席はありますが、ここはカウンターで信州の風を感じながら蕎麦をすすりたいところです。

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写真:天ぷらタマゴそばをチョイス。太さがふぞろいな麺が変化に富んだ食感を生み、食欲をそそります。

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写真:だからもう一杯頼みました。

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写真:松本の学生御用達、「テンホウ」の定食。野菜炒めと餃子と温泉タマゴとスープとキムチとご飯、これだけそろって680円!

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写真:「マサムラ」のスイス風シュークリーム。帰ったら必ず食べます。母ちゃんが盛り付けた庶民感覚溢れるお皿が郷愁を誘います。