全世界の皆さん、プラチナゲームズのサイトへようこそ!「ベヨネッタ」のディレクターを務める、神谷英樹と申します。
ここへ辿り着いたという事は、「ベヨネッタ」にも少なからず興味がおありという事ですよね? その「ベヨネッタ」の情報を探して来たんだけど、余りに少なくてヤキモキしている、という方もいるかも知れませんが、そう遠くない発売日に向けて、これからガンガン情報を出して盛り上げていきますので、今後もこのサイトに是非ご注目いただきたいと思います。
…で、そんな能書きはいいから早く情報出せよってハナシですよね…その一環として、スクリーンショットやプロモーションビデオとは別に(そっちもちゃんと出しますよ)、「ベヨネッタ」発売までの時間を皆さんに有効利用してもらうため、これからこのサイトで開発スタッフによるブログを掲載していこうと考えています(これは一応、その一発目です)。
「ゲームは触ってナンボ」という考え方は変わっていません。でもこうして作品について作り手が語る事は、皆さんがゲームを選ぶ上で大切な情報源なんじゃないかと思っています。近年のゲーム市場には続編タイトルが溢れていますが、こうなった理由には「続編タイトルの方が安心して買える」というのもありますよね。前作で概要を把握済みだったり、メディアの取り上げ方が大きくて情報収集しやすかったりと、有利な点が確かにあります。…で、そんな中で僕たちプラチナゲームズは「オリジナルタイトルを作ろう!」と頑張っているワケですが、まぁ立ち上げたばかりの会社で手元に何もないので、そりゃオリジナルタイトルしか発表出来ないですよね(笑)。…もちろんそんな後ろ向きな気持ちでやってるワケではなくて、続編だろうとオリジナルだろうと、「面白い作品を作っていく」という事を僕たちは志としています。
…話が逸れましたが、続編タイトルが乱立する現状を僕たちは少なからず疎んじていると同時に、こうなった責任が僕たち作り手側にもあることも自覚しています。だって(僕も一ユーザーなので分かりますが)クソゲー掴んだら誰だってイタイですよね。そんな痛い目を何度も見たら、安全な道を行きたくもなります。つまり、ユーザーの信頼を裏切るような作品が少なくなかったからこそ、今の状況を招いてしまったとも言えるワケです。僕たちプラチナゲームズは、「作り手の言うことも信じられる」という事を、送り出す作品で証明していきたいと考えていますから、まずは皆さんに興味を持ってもらうために対話も重要だと考え、こうした場を設けるに至った次第です。
また、「クソゲーじゃないんだけど好みとは違った」という理由で痛い目を見るケースもあるでしょう。そうした勘違いがないように、例えば「ベヨ」に関しても、ほのぼの癒し系だと勘違いした人が買わないよう、「天使の首をスッ飛ばして高笑いする魔女が主人公のドSゲー」(?)であると、作品に関する情報もここでハッキリと伝えて行きたいですしね。
ともかく、「面白いから買ってね!」というセールストークをしたいのではなく、ただ「どういうヤツらが、どういう気持ち、考え方でゲーム作りをしているのか」、そういった事が少しでも伝わるように、我々の飾らない本音の部分を出来るだけ出していって、少なくともどこかで「ベヨネッタ」を遊んでもらえるくらいには、我々に対する安心感、信頼感を持ってもらいたいな、と思っています。
「ベヨネッタ」は、一度遊んでみてから買う、買わないを判断してもらって一向に構いません。それだけの自信はあります(…で、結局「やってみて面白かったら買ってね」ってコトですけど)。まぁ買う、買わないはともかく、「ベヨネッタ」というゲームは本当に一度でいいから触って欲しいと思います。「じゃあ早く触らせろ!」ってハナシですね。スンマセン…。
何が何だか分からなくなって来たので、取りあえず話題を変えましょう。今回は「ベヨブログ(と勝手に命名)」一発目という事で、僕の”ベヨネッタというキャラクターに掛ける想い”を綴ってみたいと思います。
色んなところでお話している通り、「ベヨネッタ」の企画に取り掛かったキッカケは、プロデューサーのハシモトが雑談の中で言った「神谷さんの3Dアクションがもう一度見たい」という言葉です。その話の直後に、僕は3Dアクションの企画書一発目を作ったんですが、この時から主人公を「女性」と決めていました。
これに対しては、企画書を見たスタッフの中にも違和感を感じた人間が何人かいたようです。「感情移入がしづらい」とか、「セールス的に難しい」など理由は様々ですが、やっぱり「女性」と「バリバリのバトルアクション」が結びつきにくかったのかも知れませんね。僕はそのギャップにも魅力があったんですが、理屈を抜きにして「女性キャラ」を選んだ理由が一つありました。それは、「男キャラはもうやり尽した」という達成感があったからです。
一番最初の男キャラが「バイオ2」の「レオン」です。初代バイオの主人公「クリス」が、ちょっとぶっきら棒なタフガイだったので、「2」では趣向を変えて、”どこか頼りない、だけどしっかり者”というコンセプトでレオンを設定しました。どちらかというと三上が作ったクリスというキャラの方が僕の好みだったんですけど、先にやられてしまったので、別ベクトルで考えたんです。自分の苦手な方向性のキャラクターでしたが、結果としてはレオンも中々人気が高かったので意外でしたね。「バイオ4」ではエラいイケメンになっていて、惚れ直しました(笑)。
次が「デビル」の「ダンテ」ですね。「デビル」は元々バイオシリーズとして製作が始まったラインでしたが、当初からアクション性の高いゲームとして企画していたので、”肝の据わったキザ野郎”というコンセプト(←いま考えた)で考案しました。元々そういうキャラを主人公にしてみたいと思っていたんですが、”恐怖”をテーマにした作品ではそれが中々出来なかったんですよね。「デビル」では”スタイリッシュなアクション”をテーマにしていたので、キャラクターに(もちろんゲーム自体にも)思う存分自分のカラーが出せました。
そうそう、ダンテのコンセプトにもう一つ付け加えるなら、「一緒に酒を飲んで楽しいヤツ」。単にキザでカッコつけなだけではない、どこかお茶目でジョークに付き合ってくれる奴、そんな身近さも心掛けました。
そして「ビューティフルジョー」の「ジョー」。ジョーは作品自体もコミカルだったので、遊び心をふんだんに盛り込みました。とにかくナチュラルに楽しくて、計算抜きの天然オチャラケ野郎という感じですね。ダンテもそうでしたが、このジョーが一番ナルシスティックな面があるキャラクターかも知れません。どんな場面でもとにかく自分が”主人公”で、それが楽しくて仕方がない…そんな彼を、僕も楽しんで作りました。
最後に「大神」の「イッスン」。彼はプレイアブルキャラではないですし、プレー中もほとんど見えないですが(笑)、ゲームをクリアした人なら、彼も立派な主人公である事が分かるでしょう。イッスンのコンセプトは「子供のくせにサイコーにエッチでサイコーに口が悪くて、だけど心根は優しく義理人情に厚い奴」という感じでしょうか。ゲームがアドベンチャーという事もあって自分が作った中で一番セリフが多く、ゲームを通じて最も深く掘り下げることが出来たキャラクターでした。これまでに挙げたキャラクターの中では唯一僕以外のクリエイターの手に渡ってないですし、今でもいつか続きを描いてみたいと思えるキャラクターですね。
…えーと、気付いたら誰も読まないレベルの文章量になってますね。まぁそういうワケでベヨネッタは女なのです。
以上を持ちまして、神谷英樹によるベヨブログ第一回目を終りにしたいと思います。次回はベヨのデザイナーの島崎が色々語ってくれる予定なので、ご期待ください。僕はまたスキを見計らって不定期で書いていきますので、宜しくお願いします。
それでは今後も「ベヨブログ(と勝手に命名)」をお楽しみに!!