こんにちは。
最近、少しでも運動不足を解消しようと徒歩で通勤をはじめたタナカです。
『ベヨネッタ2』ではエフェクトを担当させて頂きました。
さてさて、まずはエフェクトセクションとは一体何をしている人々なのか。
簡単に説明すると立ち上がる炎や煙、激しく降りしきる雨や深々と降り積もる雪、プレイヤーや敵が使う技の軌跡や魔法の表現などを作る人々です。
ゲーム内の空気感や臨場感を演出したり、プレイ自体の触り心地にも直結する大事なお仕事です。
中でも今回は『ベヨネッタ2』の戦闘中のエフェクトについてお話しようと思います。
まさにこの『ベヨネッタ』シリーズは戦って戦って戦いまくるゲームと言っても過言ではありません。
どんどんコンボを繋げて、敵を気持ち良く蹴散らしていくわけですが、この時にコンボを繰り出す度にエフェクトが発生します。
実はこの時発生するエフェクト、かなり絶妙なバランスで成り立っています。
どういうことかと言いますと、戦闘中のエフェクトにはある鉄則がありまして、それは『エフェクトがモーション(プレイヤーキャラの動き)を隠してはいけない』ということです。
『な~んだ、そんなの当たり前じゃん!』って思われた方もいらっしゃるかも知れませんが、これって結構僕らエフェクトを作る人間にとっては難しいんです。
『派手でかっこいいエフェクトを出して、戦闘を盛り上げたい!』という気持ちが僕らの中にはあって、ついつい盛っちゃうんですね。
とは言え、いくらかっこいいエフェクトでも、派手過ぎて邪魔になっては、ゲームがやり辛くなって元も子もありません。
プレイヤーはエフェクトだけを見てプレイしている訳ではなく、寧ろ、どちらかというと敵やプレイヤーのモーションを見てプレイをしています。
ですが、そのことを意識し過ぎてエフェクトを作ると、地味で縮こまったものになって、結果的にしょぼくなってしまいます。
ではどうしたのかと言いますと、ただ派手に盛ったエフェクトにするのではなく、消え際をすっきりさせて、余韻が微かに残るエフェクトにしようと考えました。
何やら分かりにくい言い回しになりましたが、言い換えると、
つまり『キレのあるエフェクト』です。
出は早く派手めにして、消え際はあまり引っ張り過ぎず余韻を残すように意識して作ります。
一瞬で発生して目には残像しか残りませんが、後に余韻となるエフェクトを残すことによって、画面を長い間占領せずに、出たエフェクトをプレイヤーにより意識して貰えるようにするのです。
これが『キレのあるエフェクト』です。
ですが、百聞は一見にしかず!!
だらだらと説明するより実際見て頂いた方が分かりやすいと思います。
まずは『キレがないエフェクト』です。
続いて『キレのあるエフェクト』です。
どうです? 何となく分かって頂けたでしょうか?
最初は上の方でプレイしてみたのですが、思った以上に画面内に残ってしまい、結果的にモーションを見にくくしてしまいました。
そこで『キレ』を意識して下の方のエフェクトのように、全体的に早めに消しつつ、消え際の余韻をすっきりさせました。
自分でもニッチなこだわりだなと思ったりするのですが、この差が重要なんです!!
この小さな積み重ねが、コンボをどんどん繋いでいった時に効果を発揮します。
混戦の中では特にこの効果を実感できます。
ただこればっかりは残念ながらここでは説明しきれません。
僕たちが作っているのはゲームです。
実際にコントローラを握って、手に汗握る戦闘を体感して頂いて初めて、分かって頂けるのかなと思います。
このニッチなこだわりが実際のプレイ感覚にどう影響しているのかは、是非皆さん自身で体験して頂きたいと思います!
僕たちは最高のアクションを楽しんで頂こうと、こだわれる所はとことんこだわって、この『ベヨネッタ2』というゲームを作ってきました。
こんなニッチな切り口ではありますが、少しでも興味をお持ちになった方は是非、『ベヨネッタ2』をプレイしてみて下さい!!