サウンド職から見たゲーム会社の魅力

はじめまして、本日のフレッシュマンブログを担当させていただきます、
ミュージックコンポーザーのゆかぷんと申します。

 
簡単に自己紹介させていただくと、

・座右の銘は有言実行
・吹奏楽部→音楽短期大学出身の元打楽器専攻生
・DTM(作曲)はほとんど独学(短大で芸大和声と作曲法をやった程度)
・特に好きなゲームはFFTパラサイトイヴMGS2クロノクロス
・特に好きなゲーム音楽作曲家は浜渦正志氏、下村陽子氏(大学が同じ)、光田康典氏(初めて買ったサントラはクロノクロス)、Tim Follin氏(ECCOヤバイ)
・趣味は音ゲー(音ゲー歴12年目)
・マイブームはプロテインダイエット(下っ腹が減ってきた)
・メガネ
・かなりの猫派
・ゲーム音楽以外ではDEENPerfumeフュージョンくらいしか聴かない
・所属サークルはプラチナクッキングサークル

以上になります。これで私の約9割は紹介できました、ありがとうございました。
それではこれでブログを終わります。

 
 
ガッ!!!ヽ(#゜Д゜)ノ┌┛∑(ノ´ェ`)ノ

 
 
終わりません。
改めまして、本日の本題ゲーム会社の魅力というものを
サウンド職であり、新人である私なりの解釈でお話ししていきたいと思います。


yukapun_desk
↑サウンドの中で一番汚い(とウワサの)私のデスク

 
ゲーム会社の魅力を一言でいうと…

 
やっぱりゲームを開発できるということが一番の魅力だと思います。

 
 
何のひねりもない答えですが…
今まで私たちが遊んできたテレビゲーム
「この曲イカスわ~(死語)」とか「ここのステージの背景すごく好き」だとか
レベル上げで徹夜したりとか、スフィア盤のAP貯めるために徹夜したりとか、
いやーあの頃は楽しかったです。徹夜でゲームして昼まで寝る生活。※典型的ダメ人間
社会人になってから、気付いたら寝ているし暇があったら寝ているのであまりプレイできていません…

 
そうやって今まで遊んでたゲームを、ゲーム会社では創る側になって仕事をすることができます。
ゲームが好きな人はきっと一度は憧れた職業だと思います。
ゲームが好きな人たちが集まっているので割とすぐに仲良くなれます。

そして、プラチナゲームズの社員は特に、見た目は普通のお兄さんお姉さんなのに、その中身は!
好きなものに対して深~い知識とこぼれるほどの愛情を注ぐ人がたくさんいます!!
彼らの知識はとどまるところを知らないので、そういった仕事以外のところでも、いろんなことを吸収したり、勉強することができると思います。
ゲーム業界以外から来られた方も多いので、その他の業界のことも知ることができたり…。

また、様々な開発機器や開発ツールを扱うので、「あっ、私今ゲーム開発してる」という実感がわきます。
そして「好きなことを仕事にしている」という実感もだんだんわいてきます。
もちろん、好きでもつらいことがたくさんあるのが仕事なんですけどね。

 
サウンド、特にコンポーザーとしての立場から言うと、作曲の作業自体は家でDTMしてるのとほぼ同じです。
家で作業してるときはおそらく1人ですよね。曲の雰囲気や内容を考えるのも自分です。
趣味でやっているのであれば、締め切りもあまり関係ありませんし、曲ができたら音楽投稿サイトにアップするだけで他の方に気軽に聴いてもらうことができます。

しかしこの業界では、ディレクターゲームデザイナーが企画を考えゲームの中身を組み立て、プログラマーグラフィックデザイナーがそれをガシガシと具現化し、そこからさらに様々な可能性が生まれ、それらを踏まえた上で色々な制約・条件の中、サウンドが音を制作していくことになります。
ちなみに出来上がったBGMやSEは、ミドルウェアというものを使って自分たちで組み込んでいきます。

上記の制約・条件というのは、コンポーザーではそのゲームのジャンル、世界観、絵柄、シチュエーション、どんな展開になっていくのかといったことで、全部ひっくるめてぴったりまるっと音で表現する必要があります。

これがまた難しいのなんのって…………
私の能力と表現力が乏しいだけなんですけど…………

これはゲーム業界へ就職したいと考え出したころから覚悟を決めていたはずなのですが、実際にお仕事として、新人といえどもプロとしてやっていると、本当にこんな短い曲でも大変な労力をかけて作業しているんだなと改めて思い知らされます。
こんなに苦労しているとは、正直やってみるまで理解していませんでした。

そして、考えて作って考えて作ってうなされながら試行錯誤してつくって、上司にチェックしてもらってやっとOKが出たときはとても嬉しいですし、その後のディレクターチェックでもOKを頂けたらあとはモリモリ作っていくだけです。

だけではなかったです。これでもかというくらい、作品をブラッシュアップしていきます。
楽曲を一旦終わらせて次の楽曲を制作し始める時はいつも軽く燃え尽き症候群になっています。

 
 
以前、プロジェクトに配属されて間もないころ、ピンチのときにかかる「あせり曲」というものに1カ月程挑戦しましたが、音楽の能力、音楽経験の不足で結局やり遂げることができなかったことがあります。
この頃はもう自分があせってましたし、毎日作っても作ってもボツになっていくことに絶望していて、本当に逃げたくて仕方がありませんでした。

この時は、結果として「ギブアップ」という選択をせざるを得なかったです。
「すみません…全然曲が浮かびません」と上司に相談し、別に怒られるわけでもなく、分かったじゃあ別の曲やろっか、と言っていただきましたが、自身の力不足を痛感しましたし、もっと勉強しないといけないと思いました。
今でもあせり曲というワードを聞くとドキッとしますし、正直なところ作れるかどうかさえわかりません。
でも次に機会があったときは必ず自分の力でやり遂げてみせます

私は、作曲において「コード感・コード進行」に最も重点を置いてドラマチックな展開を心がけていますが、やはりそれだけでは偏った視野の狭い考え方になってしまって、狙った曲なんて作れないんですよね。
しまいには上司に「ゆかぷんさんの作るメロディは小難しい(苦笑)」と言われてしまう始末で、いつも私の固定観念破って投げ捨てるのは上司・先輩方からのアドバイスだったりします。

こういう直属の上司や先輩とのやり取りで、色々な技を盗むこともできます。
このゲームにとって一番良いものをつくる」というのが根底にあって、
音楽として聴いたらカッコいいけど」というだけではダメなんですよね。
ゲームがあって初めてBGMとして成り立つということを常に念頭に置いています。
ステージの絵やキャラクターの動きを思い出すと、自然と音が聴こえてくるあの現象…

 
 
ゲーム会社のサウンドではそういったことを大切にして毎日制作に励んでいます。
また、上記は他の職種にも共通するところがあると私は思います。

ゲームデザイナーだったら、ゲーム自体のシナリオやシステムを考えるだけではなく、ステージの敵の配置やパラメータの設定なんかは制作の終盤になっても調整が必要で、本当にこれでいいのか?という自問自答全セクションを含む仲間との話し合いや相談など、いろんな角度から物事を見ていくことを大切にしているんだろうなと思います。

プログラマーだったら、あの(文系の私からはサッパリ意味のわからない)文字列からいろんな表現が生まれるんですけど、組んではバグが発生しそのバグを直したら別のところにバグが発生し(以下略)トライアンドエラーでゲームを創っていきます。ゲームデザイナー顔負けのアイデアが出たり、社内限定の特別な便利ツールを作ったり、特許レベルの新しい表現方法をあみだしたり、上限が全く見えなくてどこまで進化するんだろう?と思います。

グラフィックデザイナーだったら、(グラフィックデザイナーの中でもお仕事は色々わかれていますが)とある巨大モンスターの目がめちゃくちゃ小さくて、普段はほぼ「ああ、目だな」くらいにしか認識されないようなところでも、アップになると瞳の部分がすごく綺麗でクリスタルみたいな輝きを放っていてびっくりしたりとか、端っこに一瞬ちらっとしか見えないような岩でも手を抜かずに全力が尽くされていたりしてこだわりと熱意が伝わってきます。

 
それぞれが分担して各々の作業をしていますが、バラバラに作業するだけではゲームは完成しません。
それぞれの長所を最大限に引き立て合いながら日本国内だけでなく世界中に届けられるゲームを創る。
それが「ゲーム会社でゲームを開発すること」の魅力であると考えます。

(ちなみに先程のあせり曲については、上司に3日でラフをあげていただき、事なきを得ました。)

 
 
最後に、昨年東京と兵庫で行われた
「ベンヤミン・ヌス ピアノリサイタル Pianoschlacht II mit Kammermusik -浜渦正志作品集-」
というリサイタルに行き、ドイツの若手実力派ピアニストのベンヤミンさんと浜渦さんにサインを頂いた写真を載せて終わります。

autograph

尼崎の会場に2番乗りして一番前に座ることができ、奏者の手元はもちろん息遣いやアイコンタクトがとてもよく伝わってきて、なにより皆さんの超絶技巧演奏は圧巻の一言で、とても力強く迫力のある演奏を聴くことができました。
ベンヤミンさんのアイコンタクトは正直男女問わず惚れると思います。私は惚れました(笑
そしてなんといっても、憧れの作曲家にお会いでき、サインと握手までしていただいたことが何より嬉しかったです。

 
それでは、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました!
フレッシュマンブログは今後まだまだ更新されますのでお楽しみに!!!