謎多きプラチナの特殊部隊、VFXセクション!

皆さん、はじめまして!
グラフィックデザイナーの中島と申します。周りの人たちからはジーマと呼ばれています!

新人グラフィックデザイナー第五回目の記事である今回は、ボクが所属しているビジュアルエフェクト(VFX)セクションについてお話ししようと思います。
まだこのセクションに配属になって5ヵ月ちょっとのド新人ですが、どうか最後までお付き合いください。


そもそもVFXってなに?
簡単に言うと「特殊効果」のことです。具体的には雨、霧、煙などの自然(気象)現象だったり、攻撃や爆発に伴う炎、衝撃波、煙などを指します。
VFXセクションの仕事はこういった現象・画面効果をデジタル上で制作し、用意されたキャラクターや背景といった素材に適用することでビジュアルの完成度を高めることです。
ここまでの説明を聞いて、いまひとつピンとこないという人や、「あまり興味がわかない・・・」と思う人もいるかもしれません。ですが、これが実はとても大切なセクションだったりするんです!

 
VFXの役割
ゲームを面白くする要素と聞いてイメージするものは何でしょうか?
キャラのデザイン?カッコいい動き?人それぞれ様々なものを思い浮かべると思います。
VFXも様々な形でゲームの面白さにかかわる役割を担っていますが、その中で特に大きく影響を与える要素が3つあります。それは、操作感・空気感・視認性です。

①操作感
これはゲームをプレイした時の気持ちよさを指します。これまでのプラチナゲームズ的に考えれば派手さにもつながっていくものです。
ド派手な技でド派手に敵をブっ飛ばす、敵やステージのギミックがカッコよく発動する・・・こういった爽快感はゲームの根源的な面白さとも言えると思います。ですが、動きやキャラの外観だけではプレイ時の小気味よさや、動きの勢い・衝撃の表現には限界があるため、エフェクトで補います。
技に合わせて衝撃波や軌跡を出したり、重い物が落ちてくれば粉じんや破片を飛び散らせたり、敵が死ぬ時は爆発させたり・・・といった具合です。技や動きのもともとのイメージを最大限に増幅し、印象的で触って気持ちいいと思ってもらえるように装飾を加えていきます。

②空気感
これはちょっと説明しにくいのですが、そのゲームの中の世界を取り巻く雰囲気のことを指します。最終的には「臨場感」につながっていく部分です。
雨が降る、熱気が立ち上る、霧で視界がかすむ・・・などなど、シチュエーションに応じて様々な要素を加え、架空の世界に説得力を与えていく作業です。その世界の温度や肌触りを感じ、よりプレイヤーがそのゲームに入りこめるように演出します。
このように環境や空間を演出し、ゲーム全体のビジュアルイメージを整えていくのも実はエフェクトの仕事なのです。

③視認性
これはエンターテイメントとして特に重要で、わかりやすさを指します。
暗かったり視界が悪い空間でもプレイヤーがどの方向へ行くべきか、どこに注目すべきかを見失わないように演出します。また、プレイヤーや敵が攻撃を放ったときに、どのタイミングでどこまでの範囲に攻撃が出ているのかを見えるようにするのも仕事です。動きだけでは何が起こっているかわかりにくい箇所に、エフェクトを加えて伝わりやすくすることもあります。

 
まとめると、VFXセクションはゲーム全体のビジュアルにおける演出家と言えると思います。
他セクションが用意してくれたキャラクターや背景をエフェクトでデコレートしたり、ビジュアル的に物足りない部分、もっと盛り上げられるでしょ!という部分を補填して最大限にカッコよく、気持ちよく感じてもらえるように演出していきます。ですが、あくまで本来の主役はキャラクタ―や背景です。エフェクトは画面内で邪魔にならないように主張を抑える必要があります。(と言いつつも、たまに画面を覆い尽くすほどド派手なエフェクトが出るのもプラチナの売りなんですが・・・。)
ゲームに不可欠でありながら、主役たちを引き立てるために存在する名脇役と言えるかもしれません。

 
プラチナゲームズにおけるVFXセクション
プラチナではVFXの存在を重要視しているため、このようにひとつのセクションとして存在していますが、企業によっては、専門のセクションを持たずに他セクションの方が兼任しているところもあるようです。
エフェクトはアクションゲームにとって重要な要素です。一度、『ベヨネッタ』や『ヴァンキッシュ』などのプラチナのゲームからエフェクトが一切なくなった状態を想像してみてください。かなり寂しいビジュアルになると思います。本当に社内では縁の下の力持ちとして他セクションと同等に大きな存在感を持つセクションなのです!

 
VFXセクションへの配属
と、ここまで知ったようなことを語ってるボクですが、もともとはエンバイロメント(背景)セクションへの配属を希望していました。
架空の世界を構築したり、造形的に演出していく作業に憧れを持っていたからです。
新人は約半年間の研修後に、それぞれどのセクションへ配属になるのかが明かされます。プラチナでは今までVFXに新人(未経験者)が配属になったことはないという話を聞いていたため、このセクションへの配属はないだろうと考えていました。そんな中でVFXへの配属が告げられた時は本当に驚きました。なのでプラチナ志望の皆さんには、プラチナでは思い切った人事を行うことがあるということを覚えておいてほしいです。もちろん、会社もイジワルでこんなことをするわけではありません。様々な判断基準から「この人ならきっとこのセクションで活躍できる!」という確信を持って配属を決めているのです。結果的に、ボク自身はVFXセクションに配属になって本当によかったと感じています。ゲームの空気感やビジュアルの印象の采配をにぎっているという点で、VFXは背景に勝るとも劣らない影響力を持っています。結果的に自分がやりたいなーと思っていた内容からブレることなく、今まで経験がなかった手法を学ぶことができるという点で、とても新鮮で貴重な場となっています。

これからプラチナに入社するグラフィックデザイナーの皆さんも想像通りの配属になるとは限りませんが、心配する必要はありません。
必ずプラチナは皆さんが活躍できるステージを用意してくれるはずです。

 

最後に趣味で描いた絵を載せておきます。
こんなアナログな絵を描いている人でもデジタルの最前線に投入してしまうのがプラチナ流です。

journey_to_the_center_of_the_earth

mirai_no_eve