その瞬間、ゲームは面白くなる。

はじめまして。アーティストの肥田です。

hidabobo
※忠実に描くつもりだったのですが何故かムキムキに…

これは私の仕事用スカイプのアイコンです。自画像ではないです。一応私の名前に因んでいます。
他の方も、スカイプのアイコンが名前に因んでいたりして、見ていて面白いです。こんな所もゲーム会社独特だったりするんでしょうか。

私はエンバイロメントアーティストとしてプロジェクトに配属されました。
エンバイロメント、即ち背景モデリングです。

配属されるにあたり、楽しみにしていることがありました。
この記事をご覧になっているような方なら一度は考えたことがあるのではないでしょうか。

開発者になったら、発売前のゲームを遊べるのではないか、と。

考えたことないですか。そうですか。
ともあれ私もついに配属、テストプレイの資格が与えられることと相成った訳です。

私はコントローラーを手に取ります。わくわくです。
この瞬間のために就職したといっても過言ではないですから(過言です)
わくわくしない方が無理というものです。

そして念願の初プレイ。

小一時間ほどプレイして私は悩みました、ええ悩みましたとも。
しかし、悩み抜いても私の中の結論は変わりませんでした。

 
「このゲーム、そんなに面白くないのでは?」

 
いやいやそんなはずは…
しかし、その疑念は間違いではなかったようです。

なぜなら、そこかしこからそういった声があがっていたからです。あがりまくりです。
時には直接、時にはスカイプや会議で。
ゲームデザイナーからプログラマー、アーティスト、サウンドまで、みんな言いたい放題です。

「ここのギミック、面白くないね」
「ボス体力多すぎます、戦闘が長い割になんにもなくてつまらないです」
「新しく追加された遊び、意味分かんないです。真面目につくってください」

等々。ここまでくるといっそ気持ちが良いというものです。

もちろんみなさん暴言を吐いているわけではありません。
そうやって出た意見一つ一つをしっかり話し合って、どうすれば良くなるのかを検討するのです。
本当にしっかり話し合います。故に仕事中の社内は昼休みより賑やかです。(おい)

やがて、そのようにして話し合いで出た案が反映され、ゲームは日ごとに面白くなっていきます。

これは、見ているだけでも相当に楽しいです。

しかし見ているだけでなく、自分の手でゲームをもっと面白くすることが出来たなら、
こんなに嬉しいことはないでしょう。

とはいっても私は新人。つまりはフレッシュ要員ですから、今はひたすら作るのみ。
そう思っていた時期が、私にもありました。

問題の事件は定期チェックの際に発せられた一言に端を発します。

 
「このステージ地味やね。ボスも見づらいし」

 
私の作成したステージでした。

 
そこから私は色々試しました。
ステージの壁の色味を変えてみたり、配置されているオブジェに手を加えてみたり。
しかしどれもあまり効果的ではなく、むしろ下手にいじったせいで統一感がなくなっていきました。
正解が分からなくなった私は、あるいは迷走していたのかもしれません。

耳をすませば、先輩方の声が聞こえます。
「あいつ、全然つかえないっすね」「ほんまにな」
夢でした。本当にこの夢見ました。それくらい追い詰められていたのでしょう。

というのも、その頃の私は「私の担当ステージなのだから、私がなんとかしなくてはいけない」と、おこがましくもそんな風に思っていた部分があったからです。

悩んでいた私に、先輩が声をかけてくれました。

アートは、どんな感じ?」

アートワーク、即ちステージの元となるデザイン画です。
ラフ段階のものも含めてもう一度見直すと、使えそうな要素がいくつもありました。
それらを置いてみると、下手に自分でいじっていた時よりもずいぶん統一感が出たように感じました。

また、VFXアーティストの方は私が突貫で置いたそのオブジェに対し、すぐに特殊効果を付けて、雰囲気をぐっと引き上げてくれました。

ディレクターからステージの明度を下げて欲しいとの要望がきました。
「今キャラクターモデリング班の方でボスの明度上げてもらってるから」
それに合わせて、こちらのステージの明度を下げると、
コントラストがはっきりして、見事にボスが見やすくなりました。

自分一人では難しかったことが、他の方々の助けを借りつつ、どんどん出来ていきました。
いや、「助けを借りつつ」というのがもう、間違っていたのでしょう。

もちろん私が頑張らなくてはいけないのは道理なのですが、私の担当ステージである以前に、みんなで作っているゲームの中の1ステージであることを、私は気付くべきだったのです。

そうして改善されたステージは、
「良くなった、ボスも戦いやすくなった」との評価を頂くことが出来ました。
あらためて自分でプレイしてみても、「良くなった」と思えます。

この時初めて、私はみんなで、ゲームを作っているのだということを、強く感じることができました。
何より、皆さんと連携し、協力しながら作っていくことが、とても楽しかったのです。

後から聞いた話ですが、最初から面白いゲームなんてほぼ無いと、先輩は言っていました。
そこからゲームの核が出来て、肉付けがされていって…
そうやって少しずつ、面白くなっていく、面白くしていくそうです。

長々と書きましたが、結局何が言いたかったのかというと…

この会社で働くのは大変です。当然大変ですけど、
その分やりがいがあって、本当に楽しいです。

そんな感じで私は今日も悩みながら、しかし色々な方と相談しながら、働いてます。
ではまた、次回。
 


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