私の就活

みなさま、ご機嫌いかがですか?
近頃お気に入りの腕時計を笑われがちで、悔しい思いをしている新人デザイナーの舟橋です。

NOOKAという腕時計、ご存知でしょうか?
針でも数字でもなく、ドットやゲージで時刻を見るこの時計。さまざまなカラーバリエーションやゴテっとしたスクェア状のフォルムに愛着を覚えるのですが、何よりもその「時刻の見づらさ」に魅了され、ここ1年ほど愛用しています。

その見づらさ足るや、いまだにパッと見ても正確な時刻を読み取るまでに数秒を要するほど。普通の時計なら1秒も掛からないところなのでしょうが、なんとも非実用的なモンです。岡本太郎の椅子たちじゃあありませんが、確実に「時刻を知らせる」ことを最優先に考えられたデザインでないところが……良い。良いんですよッ!

さて、今回のフレッシュマンブログのお題は「就職活動へのアドバイス」。

こんな捻くれた私のアドバイスなんて話半分に聞きながすのが吉です(笑)。
それはもう……戦慄ものですよ。

私は東京にある大学で4年間3DCGなんかを勉強していました。大学が設立された年に入学したので、第1期生の生徒として学んだわけなのですが、当然4年間、先輩は1人もいません。就職活動のノウハウを聞ける身近な存在もほとんどいなかったわけです。

そもそも就職活動を始めなければならない時期も曖昧で、気がつけば同じように就職活動について疎い仲間たちとガツガツ作品づくりに励む3年目の冬を過ごしていました。ただ漠然とポートフォリオを作らなければならいない事はアタマの片隅にありましたが、それについても「今取り掛かっている作品を入れられなくちゃ意味がない!」と自分に言い聞かせ、ポートフォリオ作りはどんどんと後回し。未だイメージの沸かない就職活動より、パソコンに向かった分だけ密度を増す作品づくりの方が遥かに手ごたえがあったし、何より楽しかった……。

そんな私でしたがさすがに周りが動き出すと落ち着かなくなり、2008年の2月とうとう重い重い腰を上げることになります。会社説明会やエントリーの空きが埋まり始めた頃、どう考えても焦らなければならない時期に、私の頭が導きだした答えは、「まずは1社から」。

……。
『あろう事か』の用例として採用してください。

頑固な私は(やはり作品づくりが忙しかった、というのが理由の8割ほどをしめているのですが)そもそも一度に何社も受けようという気持ちになれなかったのです。もちろん生活をしていかなければなりませんから、仮に入社試験に落ちてしまったら次の会社を探します。けれどどうしても、「今イチバン入りたいところ以外の会社」の試験を受けることに、納得できなかったのです。

単純に「複数の事を同時に行うことが極端に苦手」という意識があったために複数社の同時受験を避けようとし、一方で「人生最初の就活くらい一点突破で!」などという意味不明な潔さが発動したのも一因。とにかく、周りにお手本となる先輩もいなく、先ずは自分の管理しきれる範囲で慎重に一歩ずつ、を勝手に胸に秘めスタートを切ったのです。

その後、やはり作品制作を散々ねばった挙句、そのままほぼ不眠不休で書類とポートフォリオを用意し、期日ギリギリに送付。ちゃんと届いたのかすら危ぶまれましたが、後日無事に面接の日程調整の連絡をいただいたのでした……。

こんな嵐のような就職活動をお勧めするつもりは毛頭ありません。真似しちゃだめです。けれど、それでも良かったなと思えるのは、今も当時も常にアタマにあったのは「自分だけの自分らしい就職活動」であったという事。それは重い腰を上げたあの2月から内定の通知をいただいた瞬間までのすべてにおいてです。

確かに大学に先輩は居ませんでしたが、その反面、セオリーなど一切知らぬまま、その時々に自分で必要だと思うことを必死に考え、文章や作品としてカタチにし、言葉にしてきました。

正直なところ、試験の途中幾度となく「失敗」を確信しました。しかしその直後に決まって脳裏によぎるのは「この失敗がベストなカタチだ」という思い。決して誰かの入れ知恵ではなく、自分が最善だと思った行動の結果の失敗であれば、その全てを次に活かせるという、妙な安心感と自信のようなものがありました。

面接の場では、終始「自分」というものについて問われます。他人から客観的な意見をもらったり、インターネットや書籍から情報を得ることもとても大切なことだと思います。けれどそれと同じくらい「自分らしい行動」をとることが大切だと、短い就職活動に強く思いました。

難解な腕時計をし、カレーライスを好み、年中短髪で、東京から大阪の会社を受けに行ったのは何故かと聞かれれば、答えは「私だから」なのですが、その「私」を言い換える事が出来たとき、体現できたとき、一歩目標に近づくことが出来るのではないでしょうか。

是非、心から納得のいく就職活動をしてもらえたら、と思います。

それでは、また次回ッ!!