大正ロマンとフューチャー感

「ジョン・レノンみたい!」
「ハリー・ポッターみたい!」
「ガンジーみたい!」
           ・・・。(!)
みなさま、ご機嫌いかがですか?
慣れないハンカチを携帯してみても、結局ズボンで濡れた手を拭いてしまう新人おおちゃくデザイナーの舟橋です。
さてさて、今回のお題は『こだわりの逸品』について。


本末転倒ですが正直なところ、いつも「こだわったフリ」に終わることが多いのですよ。一周して最終的にはやっぱりスタンダードが1番!がほとんどです。長時間繰り返して使う道具類は特に基本的でありふれた物が良いですね。
デッサンをする時も色々と海外製の鉛筆を使ってみたけれど、今はuniばかり。液晶タブレット!?なんとハイカラな。私の手にはIntuos3がイチバン馴染みます。わざわざ買った無線マウスも使わず、DELLのPCに付属していた有線マウスとはかれこれ5年以上のお付き合い。
作業の安定性を求めるあまり、容易に手に入り、性能も最低限備えた物に落ち着いてしまいます。スタンダードがスタンダード足るには、相応の魅力があるわけですし。
そんな私にもコロコロと変えたくなってしまう道具があります。もったいぶるほどのモンじゃあないのですが、それはズバリ「眼鏡」です。
「顔の中心」という非常にデリケートで重要なポジションにいながら、そ知らぬ顔で機能性と装飾性のバランスを絶妙に取っていやがる「アレ」は・・・奇跡ですよね!
オシャレの一環であったり、自分の気持ちを投影する道具であったりで、基本的に主張のある眼鏡を選んできて幾年月。現在は6代目と8代目が活躍中です。「メガネ外すとダレだかわからない(笑)」そんなグッッサリくる一言を浴びせられたのも一度や二度ではありませんが、それだけ私+メガネ=「ようやく舟橋」なのでしょう。果たしてオレがメガネを掛けているのか、メガネがオレを(略)。
それでも一日中着け続けるものですから、見た目も大切ですが、やはり邪魔にならず視界も広くて疲れないという点は重要で、それらの条件を最も満たしていた6代目(その名をCOBRA。若手眼鏡職人が実験的に作ったとのこと)を会社に掛けていくことが一番多かったのです。が、この2009年秋、またしても運命の出会い(ウソです。探し回っていました)があったのです。
それが8代目となる丸眼鏡。正円と直線のみで構成された潔さのようなものに惹かれました。丸眼鏡そのものはトレンドでも何でもないし、毎年どこかしらの雑誌には「今年は丸眼鏡が来る!」なんて書かれている印象すらあります。決して何かに感化されているわけではないですが、どういう訳か、一時は丸眼鏡が欲しくてたまらなかった。
たしかにジョン・レノンのものは印象的ですが、丸眼鏡はそんなに外人を連想されるのでしょうか。私としてはその眼鏡を「大正ロマン」などと呼んで、どちらかと言えば日本のノスタルジーを感じていたりするのですが。
「大正ロマン」は6代目COBRAと同様、新進気鋭の若手眼鏡職人の手による一品だと思っていました。限りなく無駄を排除したとても洗練されたデザインで、ノスタルジックなのですが、どこかフューチャー感すら漂わせていたものですから。ところが店員さんの話を聞いていると、若手どころか長熟練の職人による作品だったと分かりとても驚きました。古典的なものには普遍性があるのか、とにかく細身でシンプルな眼鏡を堅気に半世紀近く作り続けてきた職人の生み出すものは、20そこそこしか生きていないヒヨっ子の目には革新的なものに映るのだと、その事実に図らずも気付かされたときは、心から「勉強になりました」と思ったものです。
・・・アレ?これも「一周した」ことになるのでしょうか。いずれにせよ、古きを知ることの大切さを身をもって実感する秋の1日なのでした。
それでは、また次回。