もっともショックを受けたゲーム体験は、FF7です。
およそ13年前、当時わたくしは小学4年生でした。
発売日は行列に並ぶこともなく、初めてコンビニ予約でソフトを入手しました。
親が早朝に受け取って来てくれた記憶があります。
その日の夕方、冷たい曇り空の下、ワクワクしながら下校しました。
家に着いて手洗いを済ませると、急いでテレビの前に腰を下ろし
爪を立ててカリカリと、丁寧にパッケージの包装を剥ぎ取りました。
三枚組のディスクの一枚目をCDトレイにセットして、いざ電源ON。
プレイステーションの起動音が鳴った後
最初に流れたのは、おなじみのプレリュードでした。
(おお~) ←小4の感想
相変わらず興奮しつつも、そこで、いったん和みました。
いつもと変わらないFFだな、という安心感がありました。
ところが、ニューゲームを選んで、ムービーが始まるや否や唖然としました。
(星がうねってる……! 宇宙! ホタルみたい!)
まず、画面に映し出されたのは、無数の光点が散りばめられた宇宙空間のような場所を彷徨う、主観映像でした。
小さな星の群れは、やがてエメラルドグリーンの光の粒子に変わり、ゆっくりと上っては消え始めます。
(なんか女の人が出てきた! ……こっちに向かって来た!!)
光の中に浮かび上がった女性の顔。
彼女は立ち上がって、カメラの方へと歩み寄ります。
カメラが後退することで、そこがひっそりとした路地の一角だと分かります。
(道路! 車が横切る! 歩行者の……足! 電飾! 時計台!!)
女性を捉えていたカメラは、足元から見上げるような低い姿勢で後退を続け、湿った空気感のあるリアルな街並みを映しながら上昇・加速し、一気に上空へと引き下がります。
(広っ……!!!)
街の中心にそびえる巨大な建造物を、画面いっぱいの至近距離で横切ると、漆黒の空に伸びていくサーチライトや、煙突から吐き出される排気など、至るところに現れた幻想的な光源が、暗闇に相反して存在感を放ちます。
(臨場感ッッッ!!!)
一方、BGMは静かな導入を経て、映像の広がりに伴って徐々に華々しくなり、街の全貌が露になった直後で最高潮に達します。
(ッッッッ……………!!!!!!)
そこで、満を持して『FINAL FANTANTASY VII』のタイトルロゴが威風堂々と浮かび上がり――という流れです。
このオープニングムービーこそが、わたくしにとっての衝撃でした。
ゲームという体験で、生まれて初めて臨場感というものに圧倒されたのです。
まだ物語も始まってすらいないのに、心はすでに満たされていました。
以後、ゲーム(特にRPG)においてムービーは当たり前のような存在になっていますが、初めてFF7のオープニングを見たときの、あの感動を上回る体験に、わたくしは、まだ出会っていません。
ちなみに、ふと思い出しましたが、旅先などでわたくしがビデオカメラを回しているとき、ついついクセのように試してしまうのは「クローズアップから始まり、ズームアウトすることで全体が映し出される」という演出です。
そして、それがFF7の影響だったということを、今初めて実感しています。