こんにちはー!!
プラチナゲームズの造形担当(自称)の松下です!!
もうすぐ発売の『ASTRAL CHAIN(アストラルチェイン)』のトレーラーはご覧いただけましたでしょうか??
いやーーカッコいいですよね!!
敵の力をもって敵を打ち倒す! ロマンでしかないですよね!! あの“危うさをはらんだ諸刃の剣を兵器として運用している”という設定だけでご飯3杯はイケますね!

そんな夢が詰まった『ASTRAL CHAIN』で、僕は人類の叡智の結晶である「レギオン」と人類の存在を脅かす「キメラ」の造形を担当させていただいております! 純度100%人外担当ですね!!
そこで今回は、僕のこだわりをブチ込みまくった『ASTRAL CHAIN』の人外達への並々ならぬ愛をレギオン編、キメラ編の二部構成でただひたすら徒然なるままに語ろうと思います!!

レギオン編

桂正和先生からいただいたレギオンのデザイン画です!! 複雑な面構成、流れるような曲線美、そして桂先生のデザインと誰もが認識できるフェイスマスク!!
ZETMANやタイバニ世代の松下にとっては堪らないですね!!

このデザインに詰まった魅力を最大限に引き出せるように、本作のアートディレクターであり同期であり親友でもある木村と話し合ってモデル化していきました。

ラフから精度を上げていく過程のCGハイモデル

造形のフローとしては、まずはボリュームを見るためにざっくりZBrushでゴリゴリと造形してからそれぞれのパーツを一度リトポし、Mayaでそれらのパーツにエッジを追加しスムーズメッシュに変換してからZBrushで最終調整をする、というやり方で進めていきました。
(*ZBrush:直感的な3Dモデル制作に特化したツール。有機的な表現に向くが、ポリゴンメッシュが複雑になるため、リトポ(リトポロジー)を行って面構成を整理してからMayaの作業を行っている。Maya:3DCG制作のためのさまざまな機能を統合したDCCツール)

一見、二度手間に見えるこの作業ですが、レギオンは生物感とプロダクト感が共存したデザインであり、ZBrushとDCCツールのどちらかだけでやるとデザインの魅力を殺してしまうと判断したので、手間を覚悟でこの手法を取りました。結果、時間はかかりましたがキメラとの差別化も出来て満足のいくものになりました!

完成したハイモデルです!!
絵の面構成や良さを抽出しながらもアクションゲーム映え、立体映えするバランスに仕上げてみました!!
中でもこだわったのがレギオンの脚。普段は空中に浮いているのですが地面に踏ん張ることもあるので、細すぎたら頼りないし、太すぎると浮いた時の造形の流れが美しくないので、何回もゲーム画面で確認しながら調整したフェチフェチポイントですよー!
顔もちゃんと桂先生感がでるように造形したつもりです!(“参考資料”という名目でバーナビーとアルファスのフィギュアもバッチリ購入しました!)

そこからゲームモデルにしてテクスチャを貼ったのがこの状態です!!

ちなみにデザイン画にはないデカールやモールドなどは、ゲームを作っていくうちに警察の所有物、武器であることを市民にアピールする為に必要なのでは? という意見を反映した結果、現在の姿になっております!!(このデカール貼るのが地味に大変なんですよ!!!)

この一見動かなさそうなデザインのモデルですが、ゲームではそりゃもうエゲツないほどド派手に大暴れしてくれているので、それに耐えて破綻しないように涙ぐましいさまざまな工夫を施しております!!

例えば膝を曲げたときに膝裏のパーツがめり込まないように腿装甲そのものが変形したり、、、

手首を動かしても装甲にめり込まないように手首の動きと連動して装甲が動くように作ってあります。

なのでどのスクショを見てもらってもレギオンは破綻しないでバッチリポージングがきまっているはずです!!! 多分!!笑

というわけでレギオンに対する情熱を一方的に語らせていただいたのですが如何でしょうか???
レギオンは『ASTRAL CHAIN』の象徴ともいえる存在なのでとてもプレッシャーが掛かりましたが、同期の木村と散々2人で悩みケンカして試行錯誤したからこそ出来たモデルなので、最高にカッコいいものができたと自負しております!!
ぜひ遊んでもらって僕らがこだわりまくったレギオン達でキメラを倒しまくってください!
カッケー!!とか、すこ!!とか思ってもらったら最高に嬉しいし、僕らもそう思って開発してたので、それはもう同志ですね!!笑

次回は敵対勢力キメラについてご紹介できたらと思います! ご期待ください!!
ではでは!!


おまけ

やりたかったんや…!!!!
(素材だけ渡したら木村がいい感じにコンポジットしてくれました。ありがとう!!)

※右側の“プラチナマン”こと代表取締役兵器ケンイチは『ASTRAL CHAIN』に無関係のキャラクターであり、ゲーム内には登場しません。





matsushita松下祥風  Yoshikaze Matsushita
大阪芸術大学を卒業後、2014年にプラチナゲームズに入社。『NieR:Automata』では、敵キャラクターのモデリングを担当する傍ら、ディレクター・ヨコオタロウ氏が着用するマスク、通称“エミールヘッド”を制作するなど、モデリングの枠を越えて活躍している。